【古谷有美】一瞬だけでも忘れちまいたいぜ！―みんみん画伯×telling,
TBSの朝の顔、古谷有美アナ。またの名を「みんみん画伯」。インスタグラムに投稿される、繊細でスタイリッシュなイラストが人気です。telling,の「story」インタビューに登場した女性たちの言葉から、イラストをお届けします。
●みんみん画伯×telling,_Story がんを経験した看護師・大学院生（32）
一瞬だけでも忘れちまいたいぜ！
何年か前に観たグザヴィエ・ドランの「Mommy」という映画のワンシーン。
主人公の青年が、オアシスのWonderwallを聴きながら、スケボーで道路のど真ん中を疾走するんです。観たことのある方はきっと、うんうんあそこね、と思うはず。キリスト像のように両手を真横に広げて、ヘッドフォンで遮られた彼の耳にはもう、現実世界の音は届きません。その背中には、ぼろぼろになった翼がはためいているよう。
思春期ゆえの儚さや、過去も未来も揺らいでしまいそうな不確かさ、誰でもない誰かになりたい危うさ、そんなもので頭も心もごちゃごちゃなのに、彼を乗せたスケボーだけが、すいすいすーい、自由に進んでゆく。音楽含め、すごく好きなシーンのひとつです。
なにか不自由なことも、いっそなにもかも、いま一瞬だけでいいから、忘れちまいたいぜ！そう思ったとき、スケボーに乗れないわたしは、あのシーンを憧れの眼差しで思い描いています。
- ●みんみん画伯が読んだ「Story」記事はこちら
- 「今日を精いっぱい生きるだけ」というセリフが、染みました。
