もうすぐ始まる新NISA
ノートで学ぶマネーの「常識」 FP fumicoの“Live colorfully”#47

【FP fumico】もうすぐ始まる新NISA 投資を始める前に本当にやっておくべきこと教えます

2024年1月から大幅に制度が拡充される新NISA。これを機にいよいよ投資を始めようという方もいるのでは? その前に本当にやっておくべき3つのポイントを、「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、主に20~40代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさんが、インスタでもお馴染みの手書きのノートとともに解説します。
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一時的に損失を抱えることもあるからこそ

NISAを始める前に知っておきたいこと……と聞くと、「投資信託や個別株の選び方」や「NISA口座の開設方法」、「経済指標や株価に関する指標、チャートの見方」などをイメージされる方も多いかもしれません(NISAの基本的な仕組みについては「#8 つみたてNISAで『分散投資』を味方に!」)。

もちろんそういったコトも大事ですが、何よりも重要なのは「自分自身を知ること」。
預貯金と違い元本が保証されない投資を行う以上、値動きは避けられず、一時的に損失を抱えることもあります。そういった時に一喜一憂しないためにも、今回ご説明するような3つのポイントについて、事前に考えておく必要があります。

①年齢・家族構成・性格……リスク許容度を知る

「リスク」とは値動きの振れ幅、つまり上がる可能性と下がる可能性の両方を指しますが、「上がる分にはいくらでも受け入れられる!」という方が大半でしょう。ですから実際には、「下がった時に、どの程度までなら普段通りの生活を送れるか」を知っておくことが重要です。
この点を考えずに投資を始めてしまうと、思わぬ急落の時に日常生活に支障を来たしたり、家計管理が立ち行かなくなったりする可能性もあります。
一方で、「これまで投資をしてこなかったためにリスク許容度が低い。だから投資は始めないでおこう」と考える必要もありません。知識を身に付けることで、少しずつリスク許容度を高めていくようにしましょう。

リスク許容度は数値化できるものではなく、相対的なもの。
例えば年齢であれば、一般的には若い方が、一時的にマイナスになったとしても回復を待つ時間的な余裕があるため、リスク許容度が大きいと言われます。
夫婦共働きの家族構成ならリスク許容度は大きく、教育費が掛かる子どもがいたり、自分1人で家族の生計を養っていたりすると、損失を被れば生活に影響が出る恐れがあるので小さくなりがち。
性格についても、「投資でお金が1円でも減ってしまうと思ったら夜も眠れない」という方であれば、リスク許容度は小さくなりますし、そういった方でも少しずつ投資の知識や経験を身に付けていくことで、大きくすることができます。

大事なのは、「ご自身やご家族の」「現時点での」リスク許容度を知ること。状況によって変わる可能性があることを知っておきたいところです。
そして、リスク許容度が小さい場合は、NISAでの投資の前に定期預金や個人向け国債など元本保証のある金融商品から始めるのがオススメです。
リスク許容度が少しずつ大きくなって来たら、やや値動きの大きな投資信託などにステップアップしていきましょう。

②まず生活防衛資金を貯めてから

生活防衛資金については、投資に回してはいけません。
「命金には手を付けるな」という相場格言があります。命金とは生活に必要な、文字通り命を繋ぐためのお金。SNSなどではNISAは全員・少しでも早く始めるべしとの言葉も目にしますが、焦る必要はありません。生活防衛資金を貯めるのが先です。
こちらも、生活防衛資金が貯まっていないのに投資を始めると、万が一まとまったお金が必要になった時に困ることになりかねません。
投資は、使い道や使う時期が決まっていない「余剰資金」で行うのが鉄則であることを覚えておいてくださいね。ただし、生活防衛資金が十分貯まっているにもかかわらず、余剰資金まですべて預貯金に寝かせたままでは、いつまで経ってもお金が増えません。バランスを取ることが必要です。

これまでにも公的な医療保険の仕組みなどをご説明してきましたが、会社員や公務員に比べると、自営業・フリーランスの方は保障が手薄です。このため、会社勤めから独立または起業するといった場合は生活防衛資金を増やしておいた方が安心です。一人暮らしだった方が結婚して会社勤めの共働きになれば、生活防衛資金を減らすことも可能です。
こちらもリスク許容度と同じく、その時の状況によって変化します。
どの程度の生活防衛資金を貯める必要があるかを考えるため、まずはご自身の1カ月の生活費や、お勤め先の福利厚生制度などについても確認しておきましょう。

③思い描く未来は? ライフプランを立てよう

以前「#9 意外と知らない『資産運用』の“入口”」で、金融商品には「安全性・流動性・収益性」の3つの特徴があるとご説明しました。ひとつの金融商品ですべてを満たすことはできないため、ご自身やご家族の金融資産全体で、組み合わせることになります。どのような特徴を優先するかはライフイベントの時期や優先度次第。
3年後に使う予定が決まっているお金であれば安全性を重視する必要がありますし、20年後に使おうと思っているお金なら収益性を優先してNISAの投資で準備することも可能です。
「人生で必要なお金はすべて、NISAで投資をして準備する」と考える必要はありません

国はこれまで何度も「貯蓄から投資へ」と呼び掛けてきたものの、「預貯金信仰」の根強い日本ではなかなか投資をする人が増えませんでした。今回はNISA制度を抜本的に拡充し、国の強い“意志”を感じます。
私たちとしても、預金ではお金が増えず、お給料の伸びよりも物価が上がる中で投資をしないのは、お金の価値が減っていく中で何も手を打たないのと同じこと。
新しくなるNISAを使わない手はありませんが、その前に“準備運動”を忘れずにしておきましょう。
次回も、NISAでの投資を始めるにあたって知っておきたいことをお伝えします。

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、11月24日に公開の予定です。

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『NISA&iDeCoはじめます! ファイナンシャルプランナーが教える 正しいお金の向き合い方』

著者:FP fumico
発行:KADOKAWA
価格:1,650円(税込)
FP fumicoさん初の著書が12月1日に発売されます。まとめノートと会話形式でスッキリ理解できる! 「3つの原則」で挫折しない! ファイナンシャルプランナーが教える、「お金と人生」に向き合うための、納得のNISA・iDeCo入門書です。

CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。