ノートで学ぶマネーの「常識」 FP fumicoの“Live colorfully”#45

【FP fumico】子どものお小遣い、定額制?都度払い? 渡し方のポイントは

キャッシュレス決済が広がり、マネーリテラシーが求められる世の中で生きていくこれからの子どもたちに、家庭ではどのようにお金に関する知識を教えればいいのでしょうか。「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、主に20~40代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさんが、すぐに実践できる具体的なアドバイスを、インスタでもお馴染みの手書きのノートとともに解説します。
【FP fumico】給与明細も「ちんぷんかんぷん」……お金についてまず何を学ぶべき? 【FP fumico】児童手当拡充へ 少子化対策は本当に現役世代を救うか?

お小遣いは計画力を身に付ける練習

2022年4月から、高校で金融教育が始まったというお話を以前しました(♯41マネーリテラシーは道しるべ)。
小さなお子さんがいるご家庭であれば、金融教育をしなくては……と焦りを感じられるかもしれませんが、特別なことをする必要はありません。一番大事なのは、「日常的にお金の話をすること」。子どもへのマネー教育は、大人が学ぶ以上に日常生活の中に“タネ”がたくさんあります。

「お金は際限なく使えるものではない」ことを知るためにもお小遣いは有効。限られたお金の中で、欲しいものの優先順位を付けて満足度を高めたり、計画力を身に付けたりする練習にもなります。

「無駄遣い」はしてはいけない?

渡し方についてはノートに書きましたが、あらかじめルールを決めておいた方がいいことも。
例えば、お小遣いで買うものと、親が買うものの線引き。学校で必要な文房具や補食にあたるおやつは親が買う。コレクションのためのキャラクターグッズや楽しみのためのお菓子はお小遣いで買うなど、事前に決めておきたいところです。
渡し方も含めて、一度決めたルールはなるべく変えないことも大切です。大人の都合でルールを変えてしまっては、子どもも「困ったことがあればルールを変えてもらえばいい」と考えてしまうからです。

渡し始めるタイミングはご家庭によりさまざまですが、小学校入学がきっかけという場合もあるでしょう。
小学校に入れば、親の目が届かない時間が増え、友達同士でお金に関するトラブルが生じる可能性もあります。お小遣いを渡す際には、貸し借りをしないことを約束しておけば安心です。

「無駄遣いをしてはいけない」と声を掛ける方は多いと思いますが、「無駄も経験のうち」といえます。
そもそも、子どもが欲しがるモノは大人からすれば「それって必要?」と首をかしげたくなるものが大半。ただ、それが“無駄”なものかどうかは親が決めることではありません。お金を使う前にストップを掛けるのではなく、買ったのに使っていなければ、「大事なお小遣いで買ったのに使わないともったいないね」と声を掛け、無駄になっていることを認識させればいいと思います。
どうしても無駄遣いが気になる場合は、「諦めのつく額」にするなど、渡す金額でコントロールすればいいでしょう。

キャッシュレス決済、どう教える?

キャッシュレス決済とどのように付き合わせるかは、私も頭を悩ませているところです。キャッシュレス決済の難しいところは、「お金を使っている感覚」を得にくい点。
使い過ぎてしまった場合、実際のお金を同額、目の前に置いてみたり、1週間の食費や光熱費などと比べてみたりしてはいかがでしょうか。
「使ってみて楽しい気持ちになった?」などの声掛けをして、価値がある支出だったか話し合ってみるのもいいかと思います。

「ゲーム課金」では、友人関係もあり周りに流されて使い過ぎてしまうという話も聞きます。親としても、「自分の子どもだけが輪に加われないとかわいそう」と感じてしまいがち。ただ、ノートにも書いたように、“よそはよそ、うちはうち”。ご家庭の価値観やお金の使い方のルールを家族全員で共有しておきたいところです。

小さな失敗が大きな失敗を防ぐ

お小遣いのところで話した「無駄も経験のうち」と同様、「失敗も経験のうち」。特にお小遣いの範囲内など小さな失敗であれば、後々大きな失敗を防ぐために必要な“学び”と考えられます。

最近では、成人年齢が18歳になったことに関連し、18歳・19歳の消費者トラブルが増えています。「子どもは知らなくていい」とお金の話を避けていると、知識も経験も身に付かず、いわば“丸腰”で社会に出ることになってしまう。これではクレジットカードを使い過ぎたり、怪しげな金融商品を買わされたりと取り返しのつかない失敗をしてしまう可能性があります。

「お小遣いをもらってすぐに全額使ってしまった」「友達が買っているからと、大して欲しくないものを買ってしまった結果、お小遣いが足らなくなった」といったコトは、むしろ学びのチャンス! 責めるのではなく、次からはどうしたらいいかを一緒に考えてみましょう。

お子さんがある程度大きくなれば、ふるさと納税を通じて寄付や税金の仕組みを学んでみてもいいですね。お金には「自分や家族のために使うもの」と「誰かのために使うもの」があることを、実体験に基づきながら学べばイメージしやすくなります。
将来の夢を話しながらライフプランを考え、その実現のためにはどれくらいのお金が必要になるのかを計算してみることもオススメです。
身近なところからで構いません。日ごろから、ご家庭でなるべくお金の話をしてみて下さいね。

お金を使う場面は積極的に見せる

我が家の子どもはまだ未就学児なので、「学ばせる」という意識ではなく、「クイズなどを出して、楽しみながら一緒に考えてみる」時間を持つように意識しています。
主に心掛けていることは、2つあります。

1つ目は、現金を使う場面を子どもにたくさん見せること。
スーパーでの買い物は利便性の高いキャッシュレス決済での支払いがほとんどですが、チャージする時に現金を見せ、「大事なお金を、このカードの中に入れているよ」と説明します。
野菜や果物の値段がものによって、時期によって違うのはなぜなのか、特売の日はなぜ安くなるのかを子どもと一緒に考えることも。
公共交通機関を利用する際や小さな店舗での買い物は、周りの迷惑にならない範囲で支払いをさせるなど、お金に触れる機会をなるべく持つようにしています。

2つ目は、子どもを子ども扱いしないこと。
年齢に合わせて簡略化はしますが、ニュースで「今日の日経平均は……」とあれば株価の話をする。株主優待の品が届けば「この会社を応援しているから、お礼がもらえたんだよ」と説明します。病院に行った後に、「医療費として掛かったお金は本来いくらだと思う?」と尋ねて医療保険の仕組みについて説明してもいいかと思います。日常の出来事も“教材”として使いましょう。

社会保険や税金のことを子どもに説明するのは意外と難しい。分かりやすく話すことは、自分自身の学びにもなります。

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、9月29日に公開の予定です。

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CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。