38歳女性の「再婚活」実録 壮絶な離婚越え、ある「転換」が人生を変えた
女性にとって、20代はまだまだシンプルに恋愛を楽しめる時期かもしれません。しかし、30代半ばにも差し掛かると、キャリアアップなどを重ね、仕事も充実してくる一方、結婚や妊娠、出産のタイミングに真剣に向き合う時期となってきます。
そんな人生の選択や葛藤の多い30代に、人生をいったんリセットする”離婚”という決断をするのは並大抵のことではありません。そしてその辛い経験を糧に、再び婚活にチャレンジする女性には、初婚の女性とはまた違った境地があるようです。
振り回された最初の結婚生活
子どもの頃から歌やダンスが好きで、エンタメ関係の仕事をしてきた香織さん(38歳、仮名)は、「今思えば、昔から付き合う彼氏はダメンズばかりだった」と、振り返ります。
最初の結婚相手は、俳優を夢見て活動していた同い年の拓也さん(仮名)。仕事関係で知り合って意気投合し、29歳から3年間の交際を経て、32歳の時に結婚しました。
大恋愛の末の結婚だったので、夫の経済状況などはあまり気にしていなかった香織さんでしたが、それまで実家暮らしだった拓也さんといざ一緒に暮らし始めると、俳優としての収入は月5万円ほどだということが発覚! 香織さんもエンタメ関係の仕事で収入が不安定だったため、生活していくのが日に日に厳しくなっていきました。
でも、拓也さんに対して「結婚したからといって俳優という夢を捨てて欲しくない」という健気な思いから、香織さんは自分が働く決心をし、就職して今までしたことのなかったフルタイム勤務を選びました。資格取得などにも挑戦してキャリアアップし、経済的に拓也さんを支える妻となりました。
拓也さんが舞台の地方公演の際には、数ヶ月会えないこともあったといいます。お金がなくて、結婚式や新婚旅行をすることもなく、子作りを考える余裕もなかったそうです。好きだったから頑張れたのでしょう。
ところが、ある日を境に、拓也さんのファンの女性たちが“結婚している”ことに勘づき始め、その矛先が妻である香織さんへ向くようになったのです。職場で待ち伏せされたり、ひどいメッセージが書かれた郵便物が自宅に届いたりと、どんどんエスカレートしていきました。それでも、「拓也さんには俳優業に集中して欲しい」という思いから、香織さんはファンから攻撃されていることを拓也さんには一切言わず、一人で耐え続けていました。
しかし、一人で抱え込みすぎた結果、食事が喉を通らなくなって夜も眠れなくなり、心身ともに限界を迎え、遂には職場で倒れてしまったのです。結婚から9か月経った頃でした。
搬送先の病室に駆けつけた拓也さんに、「なぜこんなことになったのか?」と問い詰められ、遂にファンからの攻撃が常態化していたことを伝えました。すると、拓也さんは「俳優業をやめて、就職して家計を支える」と言ってくれたそうです。
でも、香織さんは拓也さんに「俳優としての夢を叶えて欲しい」との思いは変わりませんでした。本当に好きだったからこそ、極限の状態にあってもそう思えたのでしょう。
その後、二人は何度も話し合った末、離婚という苦渋の選択をしました。
最後までお互い好き同士でしたが、拓也さんに俳優の道を突き進んでもらうために出した結論です。たった11か月間の結婚生活、香織さん32歳の時でした。
この辛い離婚経験を通して、香織さんは「好きだけでは結婚生活は送れない」ということ身をもって悟った、とふり返ります。
離婚後、出会うのはDVモラハラ男ばかり…
離婚後1年ほどは精神的なショックが大きく、また恋愛する気などは起きずに、読書をして穏やかに過ごしたり、住まいや仕事を変えて生活を立て直したりすることに注力していた香織さん。
時間の経過とともに、徐々に心の傷も癒えてきて、そのうち友達に誘われて相席ラウンジへ行ったり、マッチングアプリに登録したりして、少しずつ恋のリハビリもするようになりました。
その後、34歳にしてマッチングアプリで出会った1歳年下の彼氏ができました。
最初は優しかった彼ですが、付き合って3ヶ月後あたりから貶める言葉を言ってくるようになりました。華奢な香織さんに「そんなに細くて子ども産めるの? 嫌なんだけど」などと言ってきたり、彼の家に置いていた彼女のスキンケア用品が気に食わなくなったからと、ある日突然全て捨てられていたりしたそう。彼のいわゆるモラハラ行為に気づき、付き合って1年目に香織さんは別れようとしましたが、なかなか彼が別れさせてくれず、ズルズルと2年間付き合うことに。
その後、36歳の時には、今度は相席ラウンジで知り合った彼と付き合いましたが、DVをされるようになり3ヶ月で破局します。
離婚、モラハラ男、DV男と続き、自分の男運のなさに疲れ果ててしまいました。
しかし香織さんは、冷静になってこれらの恋愛を振り返ると、なぜこういったダメンズばかりにひかれてしまっていたのかが分かってきたそうです。
それは、自分の父親がいわゆるモラハラ気質だったことと関係しているようです。
例えば、風邪をひいた時に父から怒鳴られるなど、「本当は心配して欲しかったのに」という思いをすることが幼少期から多々あり、自己肯定感が低く育ちました。無意識下で“父に好かれたい”という思いが常に心のどこかにあり、父親=男性というイメージが潜在的にあったため、自分を否定する男性ばかりを選んできてしまったと思うに至りました。さらに、どこか背伸びして頑張っていないと、自分を好きでいてもらえないという不安もあったのかもしれません。
こういった幼少期からの環境により、人よりもダメンズ耐性があり、「自分だからこそ、こういう男性と付き合えるんだ」と思ってしまう部分すらあったため、モラハラやDV気質の男性と付き合うことが多かったのではないかと、今となっては思うのです。
親友の一言が、再婚相手との出会いに発展
年齢も30代後半となり、妊娠・出産のリミットを考えると、再婚への焦りがあったことは言うまでもありません。そんな香織さんに転機をもたらしたのは、親友の一言でした。
その頃、親友A子には筋トレが趣味のマッチョな彼氏ができたことで、「マッチョ男子はいいよ! 誠実で優しいから香織もマッチョと付き合いなよ」と。A子さんはおそらく気軽に言ったのでしょう。
親友からそう言われたので、香織さんはふと、今までマッチングアプリに“いいね”をしてくれた男性を見返していき、その中でマッチョな男性に絞って“いいね返し”をしていったといいます。
すると、5歳年上のある男性が、丁寧にメッセージをくれたことをキッカケに、お互いに長文のメッセージを毎日3〜4件送り合うようになり、それが2ヶ月続きました。遂に会うことになった時には、すでにお互いのことを熟知した状態だったといいます。初デートで彼が予約してくれたお店は、高タンパク・低カロリー・低糖質に特化した食事やお酒を提供する「筋肉食堂」で、とても健全でヘルシーなデートだったのがまた好印象だったそうです。
そして、6回目のデートで告白され、付き合うことに。香織さんが37歳、彼・剛志さん(仮名)が42歳の時です。香織さんは東京住みだったのに対し、剛志さんは関東郊外ののどかなエリアに住んでおり、休みの日は筋トレや趣味のマリンスポーツにあてていたそうで、これまで女性との出会い少なく、結婚歴はありませんでした。
話好きな香織さんがデート中にずっとしゃべっていても、剛志さんはまるで菩薩のように穏やかな顔でずっと話を聞いてくれるといいます。物事に対してカッとなって怒ることもない穏やかな性格で、香織さんのどんな意見も受け入れてくれる剛志さん。仕事も医療系の専門職で、経済的にも安定していました。
今まで付き合ったことのないような、とにかく平和なお付き合いができる剛志さんにひかれて、香織さんは次第に「結婚するならこういう人がいいのかも」と思うように。
交際から3ヶ月経った頃、香織さんの両親が「彼に会ってみたい」というので気軽な食事会を開いて剛志さんを紹介すると、両親はとても気に入り「早く結婚しなさいよ!」と猛プッシュしてきたことで、剛志さんも結婚する気が予定よりも早まったようです。
交際から半年後、正式にプロポーズをされ、付き合って丸1年の記念日に晴れて入籍! 香織さんは38歳になっていました。入籍する少し前には二人で一戸建ても購入、現在は結婚式に向けて準備中で、妊活にも取り組みはじめています。
「幸せすぎて、逆に不安になるくらいです」と、穏やかな笑顔で香織さんは語ってくれました。
これまでの彼氏や、以前の結婚相手とは、剛志さんは真逆のタイプの人でした。もともと香織さんは、個性的で少々破天荒なところがあったり、刺激的だったりする男性を好んでいたように思います。
ですが、最初の結婚で一度は絶望を味わい、心底苦労をして自分自身の生い立ちから振り返り、それまでの恋愛傾向を分析したことで、パートナーに求めることが変わりました。恋愛対象を以前とは異なるタイプにも広げたことで、剛志さんのような安らげる相手と巡り会えたのでしょう。苦労した経験は決して無駄にはならないということですね。
30代の離婚も再婚も、女性の人生を大きく揺るがし、また方向転換させます。つらい局面があっても、立ち直るチャンスはある! その気になれば、いつだって人生はやり直せるのです。
香織さんの離婚・再婚ストーリー、参考にしてみてくださいね。
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