植草美幸流 婚活理論24

結婚願望がなかった男性、20代前半女性が結婚相談所へ。コロナは婚活をどう変えたか

青山の結婚相談所マリーミー代表で恋愛・婚活アドバイザーの植草美幸です。コロナ禍が始まって実に3度目の春ですね。状況はそれぞれですが、この3年間で生き方を見直し、婚活を始めたという人も多いのではないでしょうか。今回は、コロナ禍で婚活市場に起きた変化について見ていきましょう。
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価値観が激変し、婚活もダイバーシティ化?

新型コロナウィルスの感染者数が急拡大した第3波とともに幕開けした2021年。先行きが見えない不安が募ったことで、自分の働き方や人生観について見つめ直した方が多くいらっしゃいました。

そうなると「婚姻数が増えたのでは?」と思われがちですが、実はコロナ禍が始まってから婚姻数は下がっています。交際している人は結婚を控え、新たな出会いも減っているためです。

しかし、婚活は幅広い層に広がっています。今まで結婚願望がなかった方や、婚活をしてこなかった世代の方々が婚活を開始し、その価値観も大きく変動しているのです。まさに婚活の多様化、ダイバーシティと言えるでしょう。

ではどんな方が、どんな事情で婚活を始めているのか――。実例を挙げながらお伝えしていきます。

写真はすべてGetty Imagesより

「結婚願望がなかった男性」が婚活に参入

最近、婚活を始める男性が増えています。私の結婚相談所では、新規申し込みの男女比が6:4くらいの割合。女性が減ったというより、今まで結婚願望がなかった男性が婚活をスタートされたという印象です。

背景にあるのはリモートワークの普及です。働き方改革が急速に進んだものの、一人でマンションの一室にこもり、机に向かって仕事をするだけの日々。孤独を感じ、悶々と考える時間が増えたという声が聞かれます。寂しさというよりも「モチベーションの低下」「このままでは人間として成長できない、ダメになりそう」といった理由で行動に移される男性がいらっしゃいます。

リモート定着で「料理上手・家庭的」な男性が人気に

女性が“男性に求めるもの”の傾向も変わってきています。
ここ数年で、男女ともに「家庭的な人」が人気傾向になりました。夫婦でリモートワークをする場合、日中も同じ家で過ごすことになります。居心地がよく、一緒に家事ができるような人が選ばれるのです。

その影響で、プロフィールに「家事や掃除、料理ができます」と書く男性が増えています。私が担当する会員さんには、周囲と差をつけるために、「ローストビーフが得意です」「手作りケーキを焼きます」と具体的にスキルをアピールするよう、アドバイスすることも。パスタや卵焼きが作れるくらいでは、プラス評価にならないからです。

「ベランダでのプランター菜園」を趣味とする男性も、仕事が忙しい女性から人気を集めます。家庭的で3食を共にするイメージが湧き、一つ屋根の下で協力できそうな男性の評価が、かつてよりも高まっていることがうかがえます。

私が担当した営業職の女性と研究職の男性のカップルは、男性側は料理が得意ではありませんでした。しかし「仕事で試験管やビーカーを洗い、帰りには床掃除をしているので、洗い物や掃除、洗濯は得意だと思います」と主張。女性が料理を担当すればうまく家事分担できそうですね、というフィフティ・フィフティの話し合いができました。

家庭的でない男性は、女性の仕事に悪影響を及ぼす存在と捉えられかねない時代です。
一方で仕事とプライベートの切り替えが苦手で、「たくさん稼いでいるのに家庭が安らぐ場所にならない」と思う男性も。例えば経営者などは、ただでさえ仕事スイッチをオフにしにくいものです。職業によるところも大きいので、結婚後の生活をどう過ごしたいか、よく考える必要があるでしょう。

女性の平均年齢が若年化?20代前半から始める人も

また、コロナ以降、婚活する人が低年齢化しています。特に20代の女性が「就職したらすぐに結婚」と考えるケースが増加しているのです。

1986年に施行された男女雇用機会均等法以前に20代を迎えた女性たちは、社会に出る前に結婚して専業主婦になったり、就職しても結婚を機に退職する“寿退社”したりする方が多くいらっしゃいました。

その後、女性の進学率が高まり社会進出をした結果、「女性にとって結婚が仕事の妨げになる」と言われた時代が長くありました。仕事をまっとうする女性ほど「仕事がひと段落してからでないと、結婚は考えられない」となっていたのです。
その結果、20~30代の時がむしゃらに働いて地位を高め、出産可能か非常に微妙なアラフォーという年齢で結婚相談所にいらっしゃる女性が多くいました。

一方で、今の20代はというと、「結婚して生活基盤を早く固め、末永く仕事を続けていこう」という考えにシフトしています。共働き前提で生涯働き続ける時代だからこそ、結婚は早いほうがいいと考えている。多くの企業で長期の育休取得が可能になっていたり、男性の育休取得も推進されてたりすることも後押しとなっていそうです。

30~40代の婚活苦を見聞きしていたり、コロナ禍による経済的な将来不安も重なったりして、「夫婦ともにダブルインカムでリスクヘッジしたほうが安心」という考えに至っている印象もあります。

また、コロナ禍より後に社会人になった世代は、入社と同時にリモートになった影響で、先輩やメンター社員との関係性も薄く、仕事の楽しさややりがいを感じにくくなっています。「自分は仕事に生きる」と言い切れないからこそ、結婚して家庭を築くことへのモチベーションが高いのです。

実際に、薬学部在学中の女子学生が「卒業すると多忙になるから」と在学中に結婚相談所で婚活を開始され、卒業までに社会人男性と結婚を決めた事例もあります。IT企業に勤める20代カップルが、大学生のうちに婚約をされたという知人の例も。
これからは優秀で実力のある若いカップルほど、早期の結婚を選択される時代になっていくのかもしれません。

あらゆる婚活の場の中でも結婚相談所は30歳以降の女性が多い傾向でしたが、いよいよ20代の女性が乗り出すこととなります。業界は活性化する一方ですが、30~40代女性の婚活は厳しさが増すことが予想されるでしょう。

50代の初婚・再婚で「第二の人生」も

20代女性が増加傾向にある一方で、50代での婚活も増加しています。特に再婚・再々婚など、一度結婚した人は何度でも結婚する、という事例が目立ちます。

人生100年時代。20代のころに結婚しても20~30年経てば、夫婦の価値観もそれぞれに変わっていきます。女性が経済的に自立していれば、「我慢して結婚生活を続ける必要がない」と前向きに離婚を選択することもできるのです。

また、収入や資産がある条件のいい50代の男性は、大きく年の離れた若い女性と再婚されるケースが多いです。20~30代で家庭や育児のための結婚をしたのち、第二の人生を歩む。俳優の吉田栄作さん(52歳)と内山理名さん(40歳)が13歳の年の差で結婚されて話題になりましたが、結婚相談所なら驚くことのない年齢差という印象です。

30代以上で収入が高い女性が、同世代で自分以上の条件を備えた男性を望まれる場合、男性側は5~10歳若い方を望み、ミスマッチが起こりやすくなります。一方で、自分より経済的・社会的に高いスペックを持つ男性との、いわゆる上昇婚を望む場合、10~20歳年上の50代再婚男性とマッチングするのは理にかなっていると言えます。

一方、50代初婚で婚活に挑まれる方も、この1年で急激に増えました。私が担当した50代の女性の方は、コロナ以降は趣味の旅行に行けず、長く介護をしていた両親が亡くなり、孤独感から相談にいらっしゃいました。家庭を持っているきょうだいから、「独身なのだから親の遺産を譲ってほしい」と言われたこともきっかけになったのだそうです。

元V6で俳優の坂本昌行さん(50歳)も、元宝塚の女優・朝海ひかるさん(49歳)とご結婚されたニュースがありました。今の50代は若々しいですし、そもそも50歳は人生100年時代の折り返し地点でしかないのですから、ぜひ一歩踏み出していただきたいものです。

植草美幸さん、齋藤大輔撮影

以上、時代背景をふまえてコロナ以降の婚活の傾向をお伝えしました。

私の結婚相談所でのカウンセリングで、「今日のあなたがいちばん若いのよ」とお伝えすることがあります。あらゆる年齢や性別に婚活が広がっているのは、誰もが自分軸で結婚を選択する時代になってきているのからでしょう。どんなきっかけであっても人生観や結婚観について考えたなら、行動を起こしてみてはいかがでしょうか?

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結婚相談所マリーミー代表取締役、恋愛・婚活アドバイザー。 1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピー設立。2009年、結婚相談所マリーミー設立。自ら婚活している男女にアドバイスし、成婚に導いている。セミナーの開催、テレビやラジオも多数出演。著書に『なぜか9割の女性が知らない婚活のオキテ』『男の婚活は会話が8割「また会いたい」にはワケがある!』『モテ理論』など。
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