コロナ禍で出会えない今こそ考えたい! お見合い結婚って、ダメですか?

コロナ禍で続く外出自粛、そして接触削減――。見知らぬ異性と出会う機会が減少する今、婚活、そして結婚のカタチは、どう変わっていくのでしょうか。 「将来を考えない恋愛結婚より、見合い結婚の方が幸福」と話す、投資家で人間経済科学研究所・執行パートナーの大原浩さんに見合い結婚のメリットなどをうかがいました。

恋愛は本能、結婚は理性

――コロナ禍で知らない異性との出会いには積極的になりにくい中、婚活中の男女なら「知り合いが仲介するお見合いなら会いやすい」という人も増える可能性があります。お見合い結婚の利点を改めて教えてください。

大原浩(以下大原): 恋愛は本能ですが、結婚は理性なので、そもそも違うものと考えた方がいい。そのうえでお話しすると、お見合い結婚は保証がついていることがポイントです。マッチングアプリや婚活パーティーでの出会いは、人格を保証してくれません。その点、お見合いは自分と相手の双方を知っている人が仲介をしてくれます。しかも20代、30代の若者よりも男女の機微を知っている社会経験が豊富な人。

紹介は確かに煩わしい点も多々ありますが、自分の身内や知人に変な人を紹介しようとは普通、しません。恋愛市場より、信頼できる人と出会いやすい。だから安心感が違うのです。

――結婚はよく投資に例えられますが、リターンの最適化はあるのでしょうか。

大原: 結婚は長期投資と言えるでしょう。ちょこまか動いていたら、リターンは少ない。株の世界に例えると、スマホを使って1日に何回も株式の売買をすると、手数料などがかかり、長期的には儲かるケースは少ないでしょう。投資家として知られるウォーレン・バフェットは、何十年も同じような株を持ち続けて、大金持ちになったんです。

同様に、マッチングアプリを1日に何回も触って得られるリターンは少ないと私は思います。

結婚で大事なのは相手の年収より、人間性

――リターンという意味では、結婚相手の年収を気にする人は多いです。先ほどお見合い結婚では人格が保証されるという話がありましたが、この点はいかがですか?

大原: 年収を条件に挙げる女性は多いですが、あまり意味がない。収入は人間性以上に変わるからです。新型コロナウイルスの感染拡大で、堅調だった運輸業や観光業は大打撃を受けています。まさに一寸先は闇。感染症に限らずリスクファクターは様々あり、賃金が大幅に下がったり、失業したりする可能性は常にあります。だからこそ、大事なのは人間性。しかも、それはマッチングアプリより、見合いの方が圧倒的に担保されることは先ほど指摘しました。

――現状の婚活中の男女は、「見合い結婚」という選択肢はないように思います。

大原: 確かにそうですね。そもそもお見合いの件数が圧倒的に減っている。私が銀行員だった頃は、会社の上司が結婚を取り持つことは、少なくありませんでした。でも今は、一歩間違えればセクハラやパワハラ。核家族化が進んで近所に親戚も知り合いもいないから、見合い話を持ち込む人自体がいなくなっています。逆に言うと、持ち込んでくれる人がいたら、貴重な機会だと思って、話を聞いて会ってみたらいい。

お見合いでも“拒否”はできます!

抵抗感のある人もいると思いますが、お見合いは自分の意思が反映されない「取り決め婚」ではありません。双方に拒否権があるんです。本気で結婚を考えているなら、「結婚を考えています」と周囲に相談し、お見合いの設定をお願いしてみるのも一案です。

――理想の結婚をどう考えていますか。

大原: 多くの人は結婚の前提が間違っているように思います。相手が好きだったり、素晴らしかったりするからするものでは本来、ありません。「この人となら、一緒に生きていける」という人と、結婚はするものなのです。
そして長い間一緒に生活をしていくうちに、好きとか嫌いとか愛とかを超えて、お互いが、かけがえのない存在になっていく――。どんな悪いことが起ころうともこの人となら乗り超えていけると双方、思うようになる。これが理想の結婚です。

大事なのは、結婚後!「お見合い」に目を向けては?

だとすると本来、大事なのは結婚して以降です。結婚後の年月で、ぶつかることも当然ある。その点でも、お見合い結婚は有利です。大げんかや離婚寸前までいったとしても、仲介者など応援団がたくさんいて、困ったら間に入ってもらえるわけだから。心強いでしょ。

ここまで述べてきたように、結婚で成功しやすいのはお見合いだと私は思います。これまで否定的にとらえられてきたお見合い結婚ですが、withコロナ・ポストコロナの時代には、目を向けてみてはいかがでしょうか。

●大原浩(おおはら・ひろし)さんのプロフィール
1960年、静岡県浜松市生まれ。1984年、同志社大学法学部を卒業後、上田短資(上田ハーロー)に入社し、外国為替・インターバンク資金取引などを担当。フランス国営・クレディ・リヨネ銀行では金融先物・デリバティブ・オプションなど先端金融商品を扱う。その後、大原創研を設立して独立。2018年には財務省OBの有地浩氏と人間経済科学研究所を設立。著書は『銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由』(PHP研究所)など多数。

金融OL、編集者を経て、週刊誌AERAでライター業をスタート。同誌ほか、週刊朝日、朝日新聞、小学館の女性誌などで主に映画記事やインタビュー記事を執筆。著書に『バラバの妻として』(NHK出版)、『佐川萌え』(ジュリアン)ほか。食べることも料理を作ることも大好き