ハイスペ男子が結婚したいのは「源泉系女子」 相手の年齢は気にならない!?

婚活中の女性にとって、男性が結婚相手に対して何を理想と考えているのかは気になるところ。それがいわゆるハイスペックな男性たちなら、正直なおさらだ。男性目線で結婚を考えることは、自分が結婚した後の生活をイメージすることにもつながる。そこで今回、「20~50代男性に聞く、恋愛・結婚観に関するアンケート調査」を発表したハイスペ男子総合研究所の吉沢詩乃所長に、アンケートから導かれる「男性が結婚したいと思う女性に求めるもの」を聞いてみた。平均よりも高い年収を得ている男性は、女性にも条件づけがなかなかに厳しいことが見えてきた。

「ハイスペ男子」と聞けば、当然ながら高年収で見た目が良く、性格もいい男性、と想像してしまう。吉沢詩乃所長にその定義を聞くと、「研究所では『あなたにとってハイスペックな方を探してください』とお伝えしています。年収もさることながら、趣味を全力で一緒に楽しめる方や、『ここは譲れない』という強い芯を持っている方など、思い浮かんだ理想の相手があなたにとっての理想=ハイスペ男子なんです」と話す。

とはいえ女性にとって結婚相手の年収は気になるところ。妊娠や出産といった働きづらい期間を考えるならなおのこと、相手の年収も結婚条件のひとつにしてしまうのがリアルというものだろう。

回答者の年収(「ハイスペ男子総合研究所」調べ)

2022年9月、同研究所は「20~50代男性に聞く、恋愛・結婚観に関するアンケート調査」を発表した。調査は335人に対して実施し、年収の最頻値は1,250万円だった(上記の表参照)。日本全体の同世代男性平均が約520万円(国税庁「令和2年民間給与実態統計調査」)なので、それよりも高めの年収を稼いでいる人たちともいえる。回答者のうち145人は、年収1,000万円以上の「ハイスペ男性」だった。そうした彼らに、「結婚願望はあるの?」「結婚相手に求めてることは?」という質問をぶつけている。

男性の結婚願望は「人生設計の一部」

問い「結婚願望はありますか?」 (「ハイスペ男子総合研究所」調べ)

調査によると、回答した全男性の58.3%が「結婚願望がある」と答えている。(年収1,000万円以上の男性に限ると60.8%。)その理由としては、「子供が欲しい」、「家族となると責任感を伴う適度なプレッシャーが、人生をうまく運ばせるスパイスになる気がしている」、「社会的信用が得やすい」、「楽しいことは2人で分かち合った方がより楽しくなるから」、「支えてくれるパートナーがいると仕事もプライベートもより充実するから」などが並んだ。「人生設計を踏まえて考えていることから、婚姻状態にありたいというよりも、家族が欲しいと考えている人が多いようです」と吉沢さん。
一方で、「結婚願望がない」と答えた人たちは、「自由でいたい」「仕事優先」など、独身時代と結婚後の自由度の違いなどを理由に挙げていた。

吉沢さんによると、男性は一般的に、20代よりも年齢が進むほうが結婚願望が増す傾向にあり、30代をピークにその後、50代にかけてゆっくりと結婚願望は下がっていくという。しかし、「ハイスペ男子」はどの年代においても結婚願望は強い傾向だという。

男性は女性の年齢を気にしている? 6割が考える理想の年齢差

「ハイスペ男子総合研究所」調べ

調査では、結婚相手を選ぶ際に重視しない条件として「出会ってからの期間」、「収入」、「年齢」などの20項目を並び替えてもらった。回答者全体では「出会ってからの期間」がトップ、年収1,000万円以上の男性に限ると「収入」が1位となった。

問い「お付き合いする相手や結婚相手との理想の年齢差は?」 (「ハイスペ男子総合研究所」調べ)

「年齢」は重視しない項目の上位5位に入ってはいるが、本当に相手の女性の年齢はそれほど気にならないものなのだろうか。別の質問で、自身と相手との理想の年齢差を尋ねたところ、年収1,000万以上のハイスペ男子の39.5%が「年齢は気にしない/関係ない」と回答している一方、57.4%が同年代もしくは年下を希望しており、年収1,000万円未満の男性も60.5%がそれと同じ回答だった。これを見るとやはり年齢は気になっているようにも見える。さらにもう一歩踏み込んで聞いてみた。

すると、「年齢は結婚の決定的な理由にはならない」と吉沢さんはきっぱりと言う。例えばスポーツ選手が若手女性アナウンサーと結婚するのは「若くてきれいな女性を選んだ」典型例とも見えるが、実際にハイスペ男子の考えはどうなのだろうか。「スポーツ選手もアナウンサーも、どちらも競争を勝ち抜き、努力とキャリアを重ねてきたからこそ活躍している人たちです。社会的な地位を確立している人ほど、ただならぬ努力をしているもの。『努力してキャリアを積み上げている』という意味では、ハイスペ男子と似ています」。若くてきれいなのが理由なのではなく、人間性や努力家であることが共通項となっての結びつきであると分析しているそうだ。

とはいえ、「もちろん容姿で相手を選ぶハイスペ男子がいるのは事実です」と吉沢さん。「ただ、若くてきれいな人というよりも、『ここまで仕事を頑張ったんだから、好みの女性を選びたい』という願望の表れでもあります。高い年収を得た男性の特徴ともいえますね」。

表面的な態度と内面にズレはない?男性が求める「素直さ」とは

「ハイスペ男子総合研究所」調べ
「ハイスペ男子総合研究所」調べ

相手を選ぶときに重視する性格では、回答者の男性全体、及び1000万円以上の男性ともにほぼ傾向は一致していた。付き合う人にも結婚相手にも、最も求めているのは「素直であること」。もしかすると、男性に従順な女性が求められているということ……?

これについて吉沢さんは、自由回答欄の記述や、これまでのリサーチからこう説明する。「ここでいう『素直さ』は、どちらかというと『従順さ』というより『正直さ、誠実さ』に近く、コミュニケーションが素直に取り合えて、伝え方がまっすぐであることです」。

実は、男性が女性とのコミュニケーションで悩むのが、「察してちゃん」。女性側は言ってほしいことや、してほしいことを相手から引き出したい、言わなくてもわかってほしいという気持ちがある。しかし、男性にとってはこれが理解しにくく、相手の表面的な態度と本音がずれていないのかを常に気にしているという。「男性は、相手の幸せに責任を持ち、お互いの幸せをクリエイトできるかを考えて、結婚を考えています。それだけに女性側の伝え方が分かりにくく、コミュニケーションが不足しがちだと、この人を幸せにできるのだろうかと男性は不安に思ってしまうのでしょう」と吉沢さん。

とはいえ、女性としてはそれまでの自分をいきなり変えて、率直に考えていることを伝えはじめるのは少しハードルが高い。どうしたらいいのだろうか?
「そんな人は、周りの人へしてもらって嬉しかったことやお礼をふだんから伝えるようにしてみてください」と吉沢さんはアドバイスする。「不平不満など嫌なことを言うよりも、嬉しかったことへの感謝を口にしてみましょう。そのうちに、『気持ちを伝えても相手には迷惑じゃないんだ』と学べるはずです。研究所の婚活セミナー受講生のなかには、こうした会話に慣れたおかげで、同僚が仕事を手伝ってくれるようになったという思いがけない副産物に恵まれた人もいましたよ」。

自分からエネルギーを生み出す「源泉系女子」を目指す

結婚相談所などでは、どうしてもまずは条件で相手を選ぶことから始まるが、吉沢さんは「年齢などの条件よりも、男性は相手と自分がどんな関係になれるかといった人間関係の構築について重視する傾向にある」という。たとえば、同研究所の婚活セミナー受講生の場合、一回り下のハイスペ男子からプロポーズされるケースがあった。その彼女は自信にあふれ何事にも精力的に取り組むタイプで、自分の年齢が婚活市場だと高めであることは気にしていなかったという。「女性の若さというよりも、女性の内部から表れている自信がアピールポイントになっていました。誰かに幸せにしてもらいたいとは思わない、エネルギーにあふれた人でした」。うーん、女性の自信が、婚活に影響するとはどういうことなのか、さらに聞いた。

「自信のある女性」の特徴は、ストレスなど感情を溜め込まず、自分の意見をはっきりと伝えられることだという。「自分自身を幸せにできている女性が、実はモテる傾向にあります」。研究所では人からエネルギーをもらうのではなく、自らエネルギーを生むことができる女性を「源泉系女子」と呼んでいる。

「源泉系女子」とは、ハイスペ男性が求める姿そのものだと吉沢さんは続ける。同研究所が過去に行った別のリサーチでは、特にハイスペ男性は、結婚相手に家事や育児を完璧にこなす役割を求めるというよりも、心安げる場として家庭をつくってもらいたいと考えているそうだ。妻が夫や周囲への依存心が強く、「もっと〇〇してほしい」「〇〇が足りない」と不満が多ければ、夫は妻の精神状態や機嫌を常に気にかけねばならず、集中して仕事に打ち込むことができない。一方で「源泉系女子」が妻なら、家庭の中を妻は自分のエネルギーで満たすことができ、身も心も健康に保つことができる。年収の高い男性が特に口を揃えて「仕事を頑張りたい」と考えているなかで、家庭に対する心配ごとを取り除く女性を求めているともいえる。
「自分に素直になることで生きやすくなり、それが自信につながり、エネルギーに満ちたモテる女性へと成長していくのではないでしょうか。輝いている女性が選ばれるというのは、言ってみれば当然なことなのです」

吉沢詩乃さん(ご本人提供)

●吉沢詩乃(よしざわ・しの)さんのプロフィル
ハイスペ男子総合研究所・所長であり、株式会社はんなり・代表取締役社長。大学卒業後にリクルートへ入社、結婚情報誌『ゼクシィ』をはじめ『タウンワーク』『赤すぐ』などの法人営業を担当し、2013年退社。2014年に結婚したが、2017年に離婚。「圧倒的にモテようになる」という目標を掲げて徹底リサーチを開始し、「ハイスペ男子総合研究所」を設立した。継続した調査と分析力により、恋活・婚活女性のサポートを行っている。2020年に複数の事業を展開する経営者の男性と再婚。
著書に『たくさんのアプローチから最高の男性を選び出す!恋愛無双になる方法』(大和出版)などがある。

翻訳者、編集者。不登校しながらバイトとライブには出かける、元・明るい引きこもり。のちに日本の教育は無理とあきらめ、渡米。英語講師、広告制作ディレクター、雑誌や書籍の編集を経て、朝日新聞社へ入社。好きなものは小説とマンガ。1万冊の蔵書に囲まれて生活している。