神崎恵さんが語る恋愛・結婚・離婚「痛い思いをすることも大事」

幅広い世代の女性に支持されている美容家の神崎恵さんが、『神崎メソッド 自分らしく揺らがない生き方』(講談社)を出版しました。23歳で結婚、出産、そして離婚。シングルマザー時代を経て、30代後半になって再婚し、現在は3人の息子の母でもある神崎さん。自身の20代、30代、40代をふり返り、「人生って、何事も覚悟を決めることが大事。“整う瞬間”がある」と話します。インスタグラムのフォロワー数61万人を数える彼女に、生き方のヒントと恋愛・結婚観などについて聞きました。
【画像】神崎恵さん撮り下ろし写真 3児の母・神崎恵さんに学ぶ仕事と育児 「コンパスのような生き方をしたい」

「恋愛をしないといけない」に惑わされないで

――今回の著作には、神崎さんのこれまでの人生で大事にしてこられた生き方のヒントが詰まっていますね。

神崎恵さん(以下、神崎): 最近、人生って振り返ってみるとあっという間かもしれないと思うのです。私は24歳で長男を、28歳の時に次男を出産したので、20代は育児に追われる日々を過ごしました。30代は仕事と幼い子どもの育児の両立に奮闘し、40代となった今はやりたいことが多く、時間の短さに驚く日々を送っています。その限られた時間の中で、自分らしく生きるために心がけていることや、時間と気持ちのやりくりについて、大切にしていることなどを書きました。

――23歳で最初の結婚をされています。今の日本では恋愛をしない若者が増えているといわれ、晩婚化も進んでいます。思うことはありますか?

神崎: 将来、自分はひとりで生きていくかもしれないと考えている若い人が多いように感じます。そして、それに対して、多くの方が不安を抱いているなと感じています。

経済状況の不透明さもあるのか、40、50年も先のことを見据えて、怯えながら日々を過ごしている20、30代の人のことを思うと、何とも言えない気持ちになります。私が20代だった1990年代は、「とにかく今を楽しもう」という時代でしたから。

――神崎さんは恋愛において、どんなタイプでしたか?

神崎: 恋愛において、良くも悪くもペースを乱されることが多かったなと思います。でも、痛い思いをすることも大事だなって、今になれば思います。人によって、恋愛が私生活や仕事に良い影響を与えるか、そうではないかは違うので、自分がどちらのタイプかわかっていることは大事だと思います。振り返ってみて、成長を感じたり、色んなものを覚えたり、色んな人の気持ちがわかったりしたのは、失敗や痛い思いをした時だと感じます。

この前、仕事で女性たちと話していたら、彼女たちが口々に「今は恋愛をしていないけど、特にしなくてもいいよね」と言っていました。それを聞いて、恋愛をしていなくても、結婚をしなくても、人生が満たされることもたくさんあると改めて思いました。恋愛や結婚、仕事など、各カテゴリーがそれぞれ満ち足りているのではなく、トータルで満たされていると感じられることが大切。

私もいろいろな経験を経て、より自由でいいし、自分が恋愛をしたければすればいい。反対に、したくもないものを、無理にしなくても良いと思うようになりました。

美容の面では、「キレイになるには恋をすること」と聞くことがあります。たしかに心が安定したり幸せホルモンが分泌されたりと肌が潤うことはあるかもしれない。でも、恋愛をしなくても人はキレイになれます。そういう、「恋愛をしないといけない」プレッシャーには、惑わされなくていいと思います。

自分に失望したシングルマザー時代

――神崎さんは30歳の時、当時1歳と5歳の息子さんがいる中で離婚をされています。どう決心されたのでしょうか。

神崎: 自分の経験上、女性はその時が来たら全力でスタートを切れる強さを持っていると感じています。ちょうど今日インスタグラムを見ていたら、「離婚するまでにするべきこと」というタイトルの投稿が目に留まり、そこには、どういう手続きを踏みましょうとか、証拠を残しましょうとかではなくて、「1番大事なのは、腹を決めることです」とありました。 確かにそうだなと思いました。

何事においても、腹を決めるまでがすごく苦しい。離婚においてもそうでした。可能性が残っているかもしれない、自分が我慢したらどうにかなるかもしれないなど、「かもしれない」がいっぱい出てくるんですよね。

でも、「スタートをするべきだ」っていうタイミングって来るのだなと思いました。“整う瞬間”っていうんですかね。決めてからは、やるしかなく、体力と気力で突っ走りました。実際、腹を決めてからの方が気持ち的にとても楽でした。

――シングルマザーになった当時のことを教えていただけますか。

神崎: 最初、こんなにも自分は、 自分1人をも生きていかせる力がないんだって失望しました。私が離婚した当時は、女の人は家を守り、男の人はお金を稼ぐことが一般的な時代でした。初めて全部自分でやらなければいけなくなった時、“分担させられていたこと”が怖いなと思ったんです。

思い返してみると、子どもにつらく当たったり、イライラしたり……。自分のことを、情けない、みじめだと思ったのは、お金がないことからも来ていました。生み出すお金は限られていて、手元にあるお金が減っていくのを計算するだけだから、不安そのものでしたし、フリーランスとして子ども2人を養っていく、怖さも感じていました。その一方で、息子たちの存在が「頑張ろう」という気持ちにさせてくれたことも事実です。

しかし今は、会社など組織に所属しなくても女性が個人で、一人で仕事ができる時代になってきたと感じています。そこに希望はあると思っています。

「結婚をするか、しないか」の二択ではない

――著書内で、結婚と離婚について「重要なのは、できるだけ自分の人生に納得できるよう生きること」と語っています。

神崎: 小さい頃に読んだおとぎ話では、主人公の女性が好きな人と結婚して、「末永く幸せに暮らしました」と締めくくられていることが多くありませんでしたか? 将来は自然と結婚するものというイメージを持った方もいると思いますが、今の時代は必ずしもそうではないと思っています。

今は、女性が仕事をし、自立している時代です。生き方の選択肢も増え、パートナーとの関わり合いやパワーバランスが難しくなってきている部分もあるなと思うのです。「結婚をするか、しないか」の二択で将来を考える必要はないと思っています。

若い世代の方の質問や悩みを聞く中で、「将来ひとりで生きていくのが不安だから」、「親や周りから『結婚は?』と聞かれるから」といった理由で、結婚を考える人も多いように感じています。どうしても世間の目や、他人の物差しで測ってしまう部分があるのは仕方がないことかもしれません。でも、その点に気づき、それを分かったうえで自分の心を優先して生き方を選ぶことが大切なのではと思います。

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●神崎恵さんのプロフィール

美容家。1975年神奈川県生まれ。美容誌をはじめ、多くの雑誌で連載を持つ他、企業のタイアップやイベントの出演も多数。また、コスメブランドのアドバイザー、アパレルブランドとの商品開発など活動の幅を広げている。3人の息子をもつ母として、日々の暮らしや美容情報満載のInstagramはフォロワー数60万人超え。著書は、「老けない美容、老ける美容」(講談社)、「服が似合う顔が欲しい」(大和書房)など多数。著書累計発行部数は153万部を突破。

『神崎メソッド 自分らしく揺らがない生き方』

出版社:講談社
著者:神崎恵
発売日 :2022年07月30日
定価:1760円

同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。