恋愛・結婚

「39歳婚」を実らせた女性たち 16年交際した元彼にピリオド

かつては女性の結婚適齢期について、クリスマスイブに売れ残ったケーキにたとえて、「独身女性は25歳から価値が半分になる」と揶揄されていた時代がありました。その後、1994年にはドラマ『29歳のクリスマス』が大ヒット、独身女性たちの意識は“30歳までには結婚したい”に変わります。さらに令和の今、女性の社会進出が進む中で、40歳までには結婚したいという「39歳問題」にも発展しているようです。
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30代になると仕事も充実し、プライベートも楽しくなってくる時期です。「結婚もしたいけど、今の生活を手放したくない」と思う人も多い。その一方で、周りの友人たちがどんどん結婚していき、加えて出産のリミットも近づいてくることもあり、焦る気持ちも出てくるでしょう。

実際、年齢を増すにつれて出会いが減っていくのも事実。独身のまま仕事のキャリアを積み上げていくのか、結婚して子育てをするのか、はたまた両方を手にしていくのか。正解はありませんが、どの道に進むかで、人生は全く違ったものになり得ます。

そこで、今回注目するのは「39歳婚」。20代・30代と独身生活を謳歌した一方、40歳を前に恋愛や結婚、出産への思いに悩む女性たち。そのような中で、40歳を目前に結婚を実らせた女性は、どのような出会いと交際を経てゴールインしたのでしょうか。その結婚生活とは一体どのようなものなのでしょうか。

今回、実際に40歳目前で結婚し、現在は幸せな結婚生活を送っている女性二人に、お話を伺いました。二人の39歳婚に共通するカギは「思い切って元彼との関係を清算したこと」でした。二人のケースを紹介します。

元彼と別れて1週間後、新たな出会いが……

37歳で今の夫と出会い、交際から1年半後にプロポーズされて、39歳の時に入籍。それから1年後の40歳で結婚式を挙げた、香澄さん(仮名・41歳)。

取材に答える香澄さん(ライター・田中撮影)

香澄さんには以前、21歳から16年間付き合った1歳年下の彼がいました。その元彼とは25歳から同棲もしていて、お正月やお盆には、彼の実家へ行き、先方の両親と一緒に過ごすほど、まるで家族のような関係でした。交際中に、その元彼から2回プロポーズされていますが、1回目のプロポーズの時は、ちょうど香澄さんが30歳になり、勤務するブティックの店長という大役を任されたタイミングで仕事に集中しなければならず、結婚を先延ばしにしたそうです。

2回目のプロポーズの時には、すでに彼とはセックスレスになっていて、結婚願望自体はあったものの、このまま結婚しても彼を男性として見られないうえ、子作りができるイメージも湧かなかったとのこと。元彼は、家族のような親友のような信頼できるパートナーであったことは間違いない。けれども、彼との結婚生活が思い描けないまま交際していても、もはやどこへ向かって一緒にいればいいのかが分からない……。そうしているうちに関係もギクシャクしはじめ、何度も何度も話し合った末に、結局は別れを選びました。

交際期間16年という、20代〜30代の大半を共にした彼との別れは、やはり大きな衝撃と喪失感をもたらし、言葉では言い表せないほど悲しい気持ちに襲われていたという香澄さん。

ところがです。彼と別れて1週間後のある日、同僚の女友達と二人で地元の居酒屋で飲んでいると、隣にも二人組の男性客が座っていました。そのうちの一人の男性がのちに香澄さんの夫となる5歳年上の和也さん(仮名)だったのです。

二人は4回のデートを経て、出会いから1ヶ月後に交際をスタートさせました。香澄さんが37歳の時です。

バツイチ・結婚願望なしの彼からプロポーズ

和也さんには結婚歴がありました。30代の時にお互いの浮気が原因で泥沼離婚。その後、海外へと渡っています。帰国後、日本での仕事や生活も落ち着いてきた頃に、香澄さんと出会いました。

それでも、前の結婚生活で苦労したことや、長身イケメンでモテるタイプの和也さんには、当時結婚願望はなかったといいます。それまでに少し付き合った彼女といえば、スマホを勝手にのぞいたり、「今どこにいるの?」と束縛したりしがちな女性が続き、交際自体に疲れていた部分もあったようです。

しかし香澄さんとの交際は、とても落ち着いた大人のお付き合いでした。連絡こそ毎日取り合いますが、会うのは週に1回ペースで、お互いの仕事やプライベートの時間も尊重。また、当初和也さんのことを「もしかして遊び人では?」と疑っていた香澄さん。体の関係を持ったのは交際から3ヶ月後だったといいます。和也さんは「こんなに待ったのは初めてだ」と言っていたのだそう。

そして交際から1年半後、世の中はコロナ真っ只中だったクリスマスイブの日に、香澄さんは自宅で和也さんから指輪とともにプロポーズされます。晴れて39歳の天赦日に、入籍しました。

16年間付き合った元彼と別れた直後は、「もう結婚する事はないだろうと思っていた」という香澄さん。ところが元彼との関係をすっぱり終わらせた1週間後に、結婚につながる出会いを果たしていたのです。

いま40歳を過ぎ、「彼が子ども好きなので、授りたい」と思っています。二人とも職場でも重要なポジションにいてとても忙しくタイミングが合わないという現実があり、今すぐにも妊活に取り組みたいとのこと。ただ、年齢から考え、もし子どもを授からなくても「それはそれでいいよね」という意思確認が二人の間ではできているそうです。

9年ぶりに再会した男性と、39歳で交際0日婚!

39歳で、久々に再会した男性と交際0日婚をしたアスカさん(40歳)は、都内でセルフ整体のインストラクターをしている女性です。

のちに夫となる3歳年上のタクさん(仮名)と初めて会ったのは9年前。知人の誘いからカラオケで知り合い、時々Facebook上では交流を続けていました。5年ほど前に一度、タクさんから食事の誘いがあったものの、当時アスカさんには同棲している彼氏がいたので、会うことはなかったといいます。

アスカさんは、元彼と4年間の同棲生活を共にする中で、少しずつ価値観のズレを感じるようになったといいます。特に合わなかったのが金銭感覚で、モヤモヤすることが積み重なっていきました。

その彼とは度々、結婚の話が出たこともあり、39歳だったアスカさんとしても“結婚のラストチャンスかもしれない”という思いがありました。が、「この人と結婚したとしても、うまくいくのだろうか?」という不安の方が大きくなり、交際自体にも行き詰まって、アスカさんから別れを告げて家を出ていくことに。4年間という短くはない同棲期間。引越し先を探して出て行くまで、気持ちも物理的にもかなり勇気が必要だった、と思い返します。

そして心機一転、一人暮らしのため借りたマンションが、偶然、そのタクさんの家と近所だったのです。そして、9年ぶりに「それなら食事に行こう」という話になりました。

久々とは思えないほど、仕事や趣味の話であっという間に時間が過ぎ、翌日も連続で食事をした二人は意気投合。そして3回目のデートで、アスカさんから恋愛話を持ちかけます。「毎年、誕生日に、Facebookで“結婚したい”と抱負を書かれていますが、今年は結婚できそうですか?」と、アスカさんが聞くと、突如タクさんが「いっそのこと、僕と結婚しませんか!?」と、返してきたのだそう!

あまりの驚きに、アスカさんは困惑しながらも笑ってしまったそうですが、ふと「私も40歳までに結婚したいと思ってたんだった……」という思いがよぎったのも事実。しっかりと考えた結果、次のデートで結婚のお誘いを快諾したということです。

そこから二人は、一般的なカップルの交際をすっ飛ばして、結婚へ向けて動き出します。両親への挨拶や、婚姻届の証人をしてくれる友人にサインをもらいに行ったり、同居をし始めたり……。

そして、二人は“面白いから”という理由で、「結婚するまで夜の営みはしない」という掟を作りました。どんなにいいムードになっても、一線は超えないように耐えていたといいます。こういったルールを作って一緒に楽しめるあたり、二人の息がぴったりであることが伺えますね。

そして、9年ぶりの再会から5ヶ月後、アスカさんが40歳になる2ヶ月前に、二人は晴れて入籍。交際0日のスピード婚となりました。

念願たったウェディングドレス姿で写真撮影するアスカさん(本人提供)

40歳の誕生日前日にウェディングドレス

アスカさんが40歳の誕生日の前日から、二人で温泉旅行に出かけたところ、ランチをしたお店がたまたまウェディングパーティーも行なっているお店で、ふと「そういえば私、まだウェディングドレスを着てなかったな……」と、気づいたアスカさん。どうにか40歳になる前までに、ウェディングドレスを着られないかと思い立ち、お店のスタッフに「今日、ウェディングフォトを撮れませんか?」と交渉。念願だった「40歳までにウェディングドレスを着る」という夢を誕生日前日に叶えて、綺麗な写真に残すことができました。「タクさんと結婚した時に、“人生のパズルが全てはまった”という感覚になった」と、アスカさんは幸せそうに話してくれました。

二人の今後を考えると、子どもについては欲しい気持ちもありつつ、「今の生活がとても平和で楽しく幸せなので、このまま二人で生きていくのもいいと思っています」とのこと。

過去の恋愛を清算することで、未来が拓ける

今回お話を伺った二人の女性に共通することは、「長年付き合った元彼との恋愛にしっかりと区切りをつけ、心機一転、自ら一歩前に踏み出したこと」だと思います。

女性にとってとても貴重な20代、30代の時間を費やしてきた彼氏との関係を清算することは、「もう二度と結婚のチャンスは巡って来ないかもしれない」、「生涯、独身のまま生きるのかもしれない」というリスクを含んだ大きな決断ともなり、とても勇気がいることです。それでも、ズルズルと続いた見通しの開けない関係を続けるよりも、自分の気持ちを切り替えて行動すると、今まで目が向いていなかった出会いにも視野が広がり、良きご縁やタイミングも掴むことができるのでしょう。

実際のところ、30代と比べて40代になると、出会いのチャンスがガクッと減ってしまうのも事実。出会いを求める男性から見て、正直なところ「39歳」と「40歳」というたった1歳の差でも女性にとっては大きなハンデになってしまうのです。

悩んでいる方へ、思い立ったが吉日です。「行動力」と「タイミング」を大切に、一歩踏み出してみましょう。そして、これまで出会ってきた人との縁を改めて見直してみることも、大切なアクションの一つですね。日々の生活の中における全ての出会いを大切にすることで、思いがけず自分ならではのウェディングストーリーが拓けていくかもしれません。

(トップ写真:アスカさん提供)

なぜ既婚男性ばかりに惹かれてしまうのか? 臨床心理士の分析で見えてきたこと マッチングアプリ以外にも「出会い」はある!? コロナ下の恋愛事情
一般社団法人日本合コン協会会長。東京ママパーティー主宰。唎酒師。 数々の合コン・婚活パーティーやママイベントの運営に携わり、恋愛心理やコミュニケーションに精通する恋愛アドバイザーとして活動中。 著書は6冊。一児の母。
“39歳問題”