考察『六本木クラス』6話。葵(平手友梨奈)愛の名場面!問われる「強さ」の本質
「おまえはマネージャー失格だ」
『六本木クラス』第7話は、8月18日よる9時から放送である。「金と権力」を持つ長屋茂(香川照之)と、「金も権力」も持ってなかった宮部新(竹内涼真)の対立という軸が、どんどんねじれ(何しろ新は株式運用でけっこうな金を持ってるのだ)、物語のテーマ的にも盛り上がってきた。
新のひざまくらで、麻宮葵(平手友梨奈)が「社長の過去に胸が痛んだとき、好きだというこの気持ちが愛だと気がついた」と「愛」を確信するメロメロな場面も良かった! そんなロマンティックなシーンなのに、続けて「この人に手を出したやつらをみんな潰してやると誓った」とけっこう物騒な決意をするのも、葵らしくて最高の名場面だった。
だが、第6話、衝撃のラスト。その新と葵が衝突してしまう。
新と長屋の関係を知った長屋龍二(鈴鹿央士)が、二代目みやべを辞めると言い出した。
「もしおまえが父親や兄貴のせいで辞めるんだとしたら俺は全力で引き留めたい」と新は引き留めようとする。
だが葵は「ここを辞めるのを条件にお父さんと取引するみたいですよ」と説明して、龍二が辞めることに「賛成」だと表明した(というよりも、葵が、辞めるように誘導したのだ)。
これに対して新は、葵の胸についているマネージャーのバッチをむしり取って床に投げ捨てる。
「おまえはマネージャー失格だ」
仲間を大切にする意志とみるか、パワハラとみるか、ぎりぎりのラインに思えちゃう衝撃のシーンで7話に続いた。
新と茂の対立がむきだしに
第6話は、新と茂が考える「強さ」の違い、つまり彼らの信念の違いが明示された回だ。
新が示していたビジョンは、二代目みやべを長屋より大きくして茂の権威を失墜させるという作戦だった。
だが、今、中心となっている作戦は、二代目みやべを大きくすることではない。
株式の買い占めだ。父親の保険金を運用して増やしたお金で株式を買い上げ、専務と連携して経営的な戦術で会長を追い出す。権威を剝ぎ取る。
そして、もうひとつは、事実を隠蔽した元刑事に「証言してください」と説得する作戦。
株式の買い上げも、元刑事の説得も、直接的には二代目みやべを大きくする作戦とは関係ない。
特に、大金を使って株式を買い占めて会長を追い出すのは、新らしくないやり方だ。
新が、なりふり構わぬ攻撃を仕掛けてきたのだ。
それに対して、茂も、二代目みやべの入っているビルを買い取って追い出すという、なりふり構わぬ作戦を仕掛けてきた。
こうして、むきだしになった2人が対峙する場面。
2人の考え方の違いが明確に示された。
「どれだけ誰かが苦労して築いたものでも一瞬で壊すことができる。それこそが強さだ」
周りを支配し、ときには破壊できる権力と金こそが「強さ」だと、茂は宣言する。
一方、新は、「ぼくが考える強さは人が作るものです。みんなの信頼がぼくを強くする」と対抗する。
「商売ができなければ人もいなくなるんじゃないか」と詰め寄る茂。
これに対して、かぶせ気味に「人がいるから商売できるんです」と応じる新。
「強さとは何か?」という問いに対する姿勢が真っ向から対立する。新がさらに言う。
「この悪縁を断ち切るにはひとつだけ方法がありますよ。あなたが罪をつぐない土下座することです」
物語の最終勝利条件「新は、茂に、罪を認めさせて、土下座させることができるのか?」が、明確に提示された。
物語中盤で、最終話がどこを目指すのかをしっかりと示す構成、見事である。
しかも、次回第7話で、この立身出世・復讐の物語に、新と葵と優香の三角関係が、しっかりとシンクロすることが改めて示されるのだ。
株式買い占めを「新らしくない」と指摘したが、この後、第7話で、見事に、その違和感が回収される。それは、立ち退きを余儀なくされるピンチに対して新が出す奇策に結びつく。
第7話、新と葵の衝突はどうなるのか。そして、二代目みやべの危機を救う奇策は?
毎週木曜よる9時〜
出演:竹内涼真、新木優子、平手友梨奈、早乙女太一、香川照之、稲森いずみ 他
脚本:徳尾浩司
音楽:髙見優
主題歌:[Alexandros]『Baby's Alright』
監督:田村直己、樹下直美 他
ゼネラルプロデューサー:横地郁英
プロデューサー:大江達樹、西山隆一、菊池誠(アズバーズ)
原作:チョ・グァンジン『六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~』(『ピッコマ』掲載中)、テレビシリーズ『梨泰院クラス』(JTBC)
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