4年ぶりに「M-1」出場の岩井勇気さん、 “楽しいと感じることが、やりたいこと”と考えればいい
コロナの自粛で得た“ヌンチャクの技術”
――エッセイを読むと、友人と飲みに行ったり、遊んだりというエピソードが出てきます。コロナ下での生活の変化が、書くことに影響していますか。
岩井勇気: コロナで以前とは生活の仕方が変わった部分もありますが、日常は変わらずあります。それに劇的に180度変わったわけじゃなくて、コロナに気を付けながら普段の買い物は行くし、電車にも乗る。だから、エッセイに書ける日常の出来事には事欠かないですね。
――日常が完全に無くなり「楽しくない」と感じて日々を過ごしている人もいます。
岩井: どんな状況でも「楽しもう」と思えば楽しめると思いますけどね。常に楽しめる視点を見つけようとするお笑い芸人という仕事をやっているからかもしれませんが……。
――コロナ下で新たに始められたことはあるんですか。
岩井: 打ち込みで音楽をつくったり、YouTubeでヌンチャクパフォーマーの願羽マサルさんの動画を見て、ヌンチャクを家で練習したりしていました。願羽マサル師匠のおかげで、ヌンチャクは割とうまくなりましたね。痛くない“ソフトヌンチャク”というので練習しました。コロナの自粛で得たものって言われたら、ヌンチャクの技術ですかね。
――生活面では今でも給与はお母さんに渡し、小遣いで暮らしているそうですね。
岩井: 単純にお金の管理が、面倒くさいんです。パッと使うこともないですし、もともとお金に執着がないんですよね。
うまい飯を食いたいとかもないですからね。食に興味が無いんですよ。ただ、いろんな肉を食べたいという願望はあるので「珍しい肉を食える」ってなったら、お金を出しますよ。そもそも、飯イコール情報を食べる、みたいに思ってるんです。たとえば、たくさんメニューがある店だったら毎回同じものを頼まず、それぞれの味を知る。そうした情報を得るために食べているだけですね。
漫才をする時間は無くならないように!
――結婚願望や、「家庭を持ちたい」という気持ちはありませんか。
岩井: 考えたこともないですね。ハライチっていう名前を使って活動している澤部にもう、子どもが3人いる。そして俺もハライチ。ハライチとして稼いだお金で澤部の子どもの育児をしているなら一応、俺も子どもを育てているとも言える。だから「まあ、いっか」と思っています。
――一人暮らしに疲れたと感じることは?
岩井: ないですね。一人暮らしを始めてから4~5年で一度、引っ越しもしましたし。最近はついに四角いビーズクッションを2つ買い、1つに乗っかり、もう1つに足をかけるという“最強の状態”を編み出したんです。それが、めちゃくちゃいい。
――今年は4年ぶりに「M-1グランプリ」に出場されます。
岩井: 漫才はずっと続けたいんですよね。だからテレビに出る人間としてチヤホヤされ、漫才をする時間が無くなるような事態にはなりたくないです。
努力もしないで楽しいことは…
――20代後半から30代前半の女性には「やりたいことが見つからない」「やりたいことはあるけど踏み出せない」という人も。岩井さんからアドバイスはありますか。
岩井: 人からの見られ方を意識し過ぎて、自分が何をしている時に楽しいと感じるかといったことが、うやむやになっている人が多い印象ですね。俺だったらアニメを見ているときや、漫才をしているときが楽しい。“楽しいと感じることが、やりたいこと”と考えればいいと思うんだけど。たとえば「家に帰って、Netflix見るくらいしか、楽しみがない」と言う人がいるじゃないですか。それって十分、楽しいことがあるから! 楽しいことを趣味からでもいいから、思うがまま突き詰めていけばいいんですよ。
――「趣味がない」と嘆く人も。
岩井: 趣味も突き詰めないと上澄みだけで、本当の面白さが得られない。努力もしないで楽しいことを得ようとするから、趣味が見つからないんだろうなって思います。
自分自身はオタク文化に触れてきたと思うんです。オタクと言われるくらいになるのには多分、努力も必要ですよ。「好き」や「楽しさ」だけじゃなくて、その中には辛いこともある。趣味がないと嘆く人は、それが嫌なんですよね、継続すること自体が面倒だし。「趣味こそ頑張れよ」と俺は言いたいです。
●岩井勇気(いわい・ゆうき)さんのプロフィール
1986年、埼玉県生まれ。幼馴染みの澤部佑さんとお笑いコンビ・ハライチを結成し、2006年にデビュー。ネタづくりを担当。「M-1グランプリ」では2009年より4大会連続決勝進出。芸能界きってのアニメ好きとしても知られている。現在は、「ハライチのターン!」(TBSラジオ)、「おはスタ」(テレビ東京系)などに出演。-
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