Netflix『極工夫道』癒やししかない! 異例のスピンオフ
●熱烈鑑賞Netflix 84
心地よい数分間
Netflixアニメ『極主夫道』のスピンオフとして配信されている『極工夫道―極主夫への道―』。主人公である伝説のヤクザ・龍の声を担当している声優・津田健次郎が自ら(正確には津田健次郎役として)家事に取り組む1エピソード5〜7分程度のミニ番組だ。彼が取り組むのは包丁、障子の張り替え、洗濯……。あらゆるものを磨きまくる回やごみの分別をする回もある。津田の家事姿に重なるように、家事のコツが心の声的に語られる。
津田が暮らす家は庭の芝の緑がまぶしい立派な古民家。白いシャツに身を包んだ津田は、ここでいわゆる「丁寧な暮らし」というやつをしているらしい。落ち着いた低い声、端正な顔立ち。これはもう癒やし以外の何ものでもない。ちらちらと映る白黒の猫がさらに癒やし効果を高めてくれる。ついその声にうっとりしてしまって内容を聞き逃しても、たった数分だから何度でも繰り返し観られる。いざ内容に集中してみると、家事のコツが端的にまとめられていて、とても実用的。古民家のいろんなところを使って丁寧に撮られた映像も美しく、心に風が吹き抜けるような、なんとも心地よい数分間なのだ。
ニーズを掴まれすぎている映像
「おっ」と思ったのはエピソード3の「洗濯」の回。前半怒涛のように洗濯について心の声を語っていると思うと、途中洗濯のコツが文字として流れ、画面にはただ津田が縁側で台本(もちろん『極主夫道』の!)を読みながらくつろぐ姿が映し出される。この長文を津田が読みまくるという選択肢もあるはずだが、ここではそうしなかった。声だけではなく、津田の姿で保つという判断なのだろう。まったくもってそのとおりだ。ただ寝そべって台本を読む姿から目が離せない。
このスピンオフのプロモーション的にNetflix公式YouTubeにアップされた動画からも、視聴者のニーズがきっちり読まれていることが伝わってくる。「癒し‐津田健次郎がただただ笑っている映像」って! 本編でも、基本美しい標準語のナレーションが続く中で、ちょろっと本人の口から関西弁がこぼれる瞬間があり、「あざとい!」と思いながらも心掴まれてしまう。
分別監修にマシンガンズ滝沢が!
脚本・監督は藤澤浩和。『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(WOWOW)の脚本や競技ダンスをテーマにした映画『レディ・トゥ・レディ』の監督で知られる。1話ごとにきちんとオチのつく展開といい、美しい映像といい、今後の作品も楽しみになる。
とにかく丁寧に作られている印象の今作、洗濯の回なら洗濯監修、掃除の回なら掃除監修ときちんと監修がついている。なかでもエピソード5のゴミ分別の回で「分別監修」という初めて聞く役職にクレジットされていたのがマシンガンズの滝沢修一。芸人とごみ収集員の二足のわらじを履く彼がこんなふうに活躍しているのを発見したときは嬉しくなった。
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『極工夫道』
出演:津田健次郎