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こんなハイジャック映画観たことない!Netflix映画『ブラッド・レッド・スカイ』に驚け

世界最大の動画配信サービス、Netflix。いつでもどこでも好きなときに好きなだけ見られる、毎日の生活に欠かせないサービスになりつつあります。そこで、自他共に認めるNetflix大好きライターが膨大な作品のなかから今すぐみるべき、ドラマ、映画、リアリティショーを厳選します。今回ご紹介するのは、Netflix映画『ブラッド・レッド・スカイ』。ネタバレなしに紹介するのは難しいハイジャック映画!とにかく見てみることをおすすめします。

●熱烈鑑賞Netflix 79

できれば何も知らずに観てほしい

「何も知らずに観た方がいい度」がマックスの超絶展開なので紹介がむずかしい。
『ブラッド・レッド・スカイ』である。2021年、2時間3分の作品。
何をもってネタバレと呼ぶかはむずかしい。
何しろ大河ドラマの紹介で、信長が死ぬことを書いたら「ネタバレ」と怒られる時代である。
そんな時代に『ブラッド・レッド・スカイ』をネタバレなしに紹介するのは不可能。

いまから、ぼくが伏せて紹介しようとしているポイントは、Netflixのキービジュアルでも明かされ、予告編でもバラされている。
詳細の「ジャンル」のところでもバレバレだ。
ツイートで明かしている人も多い。
そう考えれば、気にしすぎなのかもしれない。
知ってしまったからといって、つまらなくなるという映画じゃない。
でもなー、知らずに観てほしいのだ。

ネタバレにならないように紹介

だから、ネタバレにならないように紹介しよう。
映画が始まって最初の6分30秒、何が起こるのか。
スコットランドの空軍基地。
幾機ものヘリが飛び、銃を構えた狙撃隊がずらっと並ぶ。
ものものしい警戒態勢だ。
機長と副操縦士は死んだ模様だ、と報告が入る。
旅客機が着陸する。
操縦席には男がいる。
「機内の状況を説明してくれ」と大佐。
「起爆装置をつないだ」
爆破すると言うのだ。
何が起こってるのか。
ハッチが開いて、少年が降りてくる。
「撃つな」
保護される少年。
操縦席の男は言う。
「僕はテロリストじゃない」
大佐は応答する。
「動いたら撃つ」
救出された少年の顔。
「飛行機で何があったか教えて」と警察官が問う。

ここまでで6分30秒。
もうひとつ書いてもネタバレだと言われないであろうポイントを書いておく。
この場面から、時間軸は過去にさかのぼる。
少年と母が旅客機に乗る。
母には何か事情がありそうだ。
不穏な空気。
そしてハイジャックが起きる!

血まみれハイジャック犯。何が起こったのか?/Netflix映画『ブラッド・レッド・スカイ』独占配信中

観たほうがよいタイプ判定チェックリスト

このハイジャックの描写がめちゃくちゃ怖い。
冷徹であり、卑劣だ。
そして、この後は、予想を超える展開に突入である。
ここまで読んで、「観てもいいな」と思った人は、ぜひ、なるべく何も見ずに作品に飛び込んでほしい。
とはいえ、迷ってる人のために『ブラッド・レッド・スカイ』を観たほうがよいタイプ判定チェックリストを作ってみた。

□ハイジャックなどの限定空間での丁々発止なドラマが好き
□予想外の超絶展開が好き
□サバイブするために戦う母と子が好き
□クライマックスにむけて戦いがガンガン熾烈になっていくのが好き
□映画的な演出であれば、血とか殺し合いとかだいじょうぶ

上記項目で3つ以上該当すれば観てください!

ペーター・トアヴァルト監督って何者!

監督は、ペーター・トアヴァルト。ドイツ、ドルトムント出身、1971年生まれ。
『ブラッド・レッド・スカイ』の凝りに凝った演出と撮影で「この監督、何者!」ってなったので、2014年の監督脚本作品『ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない』も観た(アマゾンプライム)。

銀行強盗バディもの。
コミカルなトーンなのだけど、こちらも凝りに凝った演出と撮影でめちゃくちゃかっこいい。
たとえば、はじまりかた。
低い位置のカメラが左にパンしていく。床に座り込んでいる男。デスク。体操座りしているハンチング帽のおじいさん。
赤い光の点が動く。床に伏せている男性。床に伏せている女性。
「聞こえるか警察だ。両手を上げておとなしく出てくるんだ」
赤い点は、射撃隊のライフルの照準光だ。
銀行強盗の現場だとわかる。
血の跡。
柱の陰で、銃を構えている主人公が映し出される。
72時間前は、平凡な銀行員だった彼が、どうしてこういう状況になったのか、そしてこの先どうなるのか。
という鮮烈なオープニング。

そこから、暴力と、それに抗う力の暴走が描かれる。
「何事が起こってるんだ?」という予兆の見せ方、決めの場面の構図のかっこよさ、そして伏線を張り巡らせた伏線の回収の見せ方、すごい監督だ。
ペーター・トアヴァルトは、2008年の映画『ウェイヴ』の脚本も手掛けている。
ナチス的な擬似組織を作って経験させる体験授業を受けた学生が、教師のコントロールを超えて過激化していく。
1969年に行われた教室実験(つまり実話)をベースにした映画だ。

『我らはウェイヴ』もおすすめ

さらに、Netflixドラマ『我らはウェイヴ』にも、ペーター・トアヴァルトは脚本企画で関わっている。
独裁主義的な社会に抵抗するために立ち上がった若者が暴走しはじめて……という作品。
『ブラッド・レッド・スカイ』と『ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない』がめちゃくちゃ良かったので、「ペーター・トアヴァルト作品は全部観るぞー!」ってモードになって『我らはウェイヴ』も観ているんだけど、まあ、おもしろい。
青春ドラマとしても一級品(しかし不穏な未来は予告されてる)、カリスマ転校生モノが好きな人は、ぜひ1話だけでも試しに観てほしい。
ペーター・トアヴァルト監督は、「力の暴走」を一貫して描いているのだ。
『ブラッド・レッド・スカイ』も、そう考えると……とあれこれ語りたくなる要素満載なのだが、ネタバレになっちゃうからなー。
さっそく観てください!

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ゲーム作家。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「はぁって言うゲーム」「記憶交換ノ儀式」等。デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。
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