コロナに負けなかった2020ドラマ! 野木亜紀子脚本、「カネ恋」「姉恋」「恋あた」「M」……イラストでイッキに
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2020年のベストは野木亜紀子脚本!「MIU404」「コタキ兄弟と四苦八苦」
2020年のベスト1ドラマは何かと聞かれたら即答で、ダントツで、野木亜紀子脚本「MIU404」(TBS)を挙げたい。
綾野剛と星野源のW主演。「アンナチュラル」(TBS/2018年)のプロデューサー・新井順子、監督・塚原あゆ子、脚本・野木亜紀子のチームが再集結して作られた。
野生のバカ、伊吹藍(綾野剛)とクールな志摩一未(星野源)。性格が正反対のふたりが回を追うごとに強いバディになっていく。女性でありながら第4機捜の隊長である桔梗(麻生久美子)が第4機捜や被害者と“ともに闘う”存在だったのも良かった。
このドラマを象徴的に表していたのがルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラ装置)のシーンだと思う。マシンの上を転がる球が軌道を外れて、その球を寝ていたはずの伊吹が華麗にキャッチするシーンだ。
ふと軌道から外れてしまった人々を見失う前に。伊吹と志摩は自分の足で、自転車で、メロンパン号で必死に追い、救おうとする。
「MIU404」
TBSテレビ/2020年6月26日~9月4日
脚本:野木亜紀子
演出:塚原あゆ子
プロデューサー:新井順子
主題歌:『感電』米津玄師
出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、麻生久美子ほか
https://www.tbs.co.jp/MIU404_TBS/
そしてもうひとつ、2020年の深夜に放送されたのが野木亜紀子脚本作品「コタキ兄弟と四苦八苦」(テレビ東京)。
名バイプレイヤー・古舘寛治と滝藤賢一が「自分たちがW主演のドラマを立ち上げよう!」と意気投合したところから始まったドラマだそう。くそ真面目な兄・一路とちゃらんぽらんな弟・二路。性格も見た目も正反対のちょっとダメな(※愛おしいタイプのダメ)おじさん兄弟の成長物語。
「コタキ兄弟と四苦八苦」
テレビ東京/2020年1月11日~3月28日
脚本:野木亜紀子
監督:山下敦弘
出演:古舘寛治、滝藤賢一、芳根京子ほか
https://www.tv-tokyo.co.jp/kotaki/
「姉ちゃんの恋人」の優しいメッセージ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をドラマに取り込むべきかどうかというのは全ての表現者(脚本家・演出家……)が悩んだところだと思う。
リモート撮影でドラマを作った「家政婦のミタゾノ・特別編」(テレビ朝日/2020年5月29日)、「Living」(NHK/2020年5月30日・6月6日)などに作り手の強い気持ちを感じた。
放送中に撮影が間に合わず放送延期、最終回がだいぶ延びたにも関わらず、最終回に見事伏線を回収した「浦安鉄筋家族」(テレビ東京/2020年4月11日~9月26日)も素晴らしかった。
10月にスタートした「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ/2020年10月14日~12月23日)では、主役の美々(波留)のマスクもいろいろなバリエーションで、ウィズコロナの現状をしっかり取り入れた。
同じく10月スタートした「姉ちゃんの恋人」(関西テレビ製作・フジテレビ系/2020年10月27日~12月22日)。マスク姿こそないが、今の状況があったから生まれたドラマだと思う。普通に暮らす人々が日々のささやかな幸せを愛おしく思う。
「できないことがあっても不幸なわけじゃない。きっと出来ないぶん、他の幸せもあるからゆっくり進んでいこう」
最終回の真人(林遣都)のセリフは時代への優しいメッセージだと思った。
TBS火曜10時の多彩な4作品
突然の、三浦春馬の訃報。お蔵入りさせず、ストーリーを変えて放送した「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS/2020年9月15日~10月6日)の最終回、九鬼玲子(松岡茉優)がロボットの猿彦に語りかける「会いたい、みたいです。猿渡さんに」が寂しくて、温かくて。
「今年はいろんなことがありました。甘いものは、人を幸せにします。」
こちらは「この恋あたためますか」(TBS/2020年10月20日~12月22日)のキャッチコピー。今年っぽいなと思う。
登場人物が皆誠実で、特に新谷(仲野太賀)の身の引き方が切な過ぎた!本当に好きだからこそ、相手の幸せを思えばこそという。というか樹木よ、まこっちゃんでも良かったんじゃないのか!なんていまだに思ってしまう(という人は私だけじゃないと思うが、どうか)。
キョーレツなはまり役ベスト3
強烈なインパクトを残したで賞、3作品。
まずは「M愛すべき人がいて」(テレビ朝日/2020年4月18日~7月4日)。特に姫野礼香(田中みな実)がどういう行動を起こすのか毎回楽しみだった。
「半沢直樹」(TBS/2020年7月19日~9月27日)の大和田暁(香川照之)。歌舞伎のような「はぁー?ふあーっ?」、「すみません最近ちょっと耳が遠くて」から一転落ち着いたトーンでの「はい、1000倍。思いっきりやり返しなさい」にぐぐーっときた。
そして南海キャンディーズ・山里亮太の短編小説をドラマ化した「あのコの夢を見たんです」(テレビ東京/2020年10月3日~12月19日)。妄想に入る前の山里亮太(仲野太賀)が本当に山里亮太に見える不思議。
他にも「アンサング・シンデレラ」(フジテレビ/2020年7月16日~9月24日)、「監察医 朝顔(2クールで放送中)」(フジテレビ/2020年11月2日~)、「真夏の少年」(テレビ朝日/2020年7月31日~9月18日)、「エール」(NHK/2020年3月30日~11月27日)などなど今年は素晴らしいドラマがたくさん。配信で見れる作品も多い。年末年始は見逃したドラマやもう一度見たいドラマに浸ってみるのもささやかな幸せ、って感じでいいかもしれない。
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