真船佳奈×医師・山本佳奈 生理はなぜ起こる?学校では教えてくれなかったメカニズムをお伝えします!【前編】
教えて山本さん!そもそも生理とは?
真船佳奈(以下真船): 「生理の“壁”」という漫画をtelling,で連載している私自身、先日、卵巣の手術を受けました。
働き盛りのアラサーの人って忙しくて、自分の身体に無関心になりがち。病院にあんまり行かないっていう人が多い印象。
しかも生理の教育は、小学校の時に女の子だけが集められて、おおまかな説明を受けただけで、その後きちんと教育を受けた記憶がないんです。そんな私が大人になり「妊活」を考えたときに、「排卵など様々なシステムがあるけど、実はよくわからないし、恥ずかしくて聞けない」という状態になってしまって…。山本さんとは、名前も年代も同じという縁もあるので、今回はぜひ、生理の仕組みなど様々うかがいたいです。
1ヶ月に一度、赤ちゃんが入っても傷つかないように子宮内にふかふかなベッドのような膜ができる。ただ、使われない場合は、体の外に排出して、また新しいベッドの膜をつくる――。それが生理という認識であっていますか?
山本佳奈(以下山本): 受精した卵子を育てるために、子宮内膜の準備をすることが「ふかふかなベッド」と表現されているんですね。
最初から説明すると、成熟した卵子は卵巣から排卵されて、子宮につながる卵管を通る。その卵管を通っている途中で精子と出会うと、受精卵になります。その受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮にたどり着き、子宮内膜にくっつきます。これが着床です。このときのために子宮の内膜は約1カ月をかけてどんどん厚くなるんです。
受精卵が着床しなければ、いったん内膜をはがしてリセットし、また内膜を厚くするというサイクルを繰り返します。この、いったんはがした内膜を出血とともに体の外に排出するのが生理で、平均的に28日周期です。
排卵しているかどうかを知る“確実”な方法
真船: 精子と卵子が出会う場所は、卵管なんですね。だから私、この間、お医者さんにいつか子供を持ちたいという話をした時に「卵管の通りも調べましょう」と言われたんですね。
山本: そこが不妊症の原因になることもありますからね。卵管になんらかの問題があって卵子が通れないっていうことは、そもそも受精できなかったり、受精できても受精卵が子宮内膜までたどり着けなかったりします。
真船: 生理と排卵の関係についてもお聞きしたいです。生理がある人が避妊せずに性行為をしたら、子どもができるものだと思っていました。ですが、病院に通ってから「そんなことがない」ということが分かりました。自分が排卵しているか否かを知る方法ってあるんでしょうか。
山本: そもそも生理があっても無排卵の人もいるので、生理のたびに毎回必ず排卵しているとは限りません。例えば「生理はある、でも1~2年妊活してるのに妊娠しない」となって原因を調べたら、実は無排卵だったと分かるみたいな感じですね。
真船: 把握のために基礎体温の記録を付けるよう医師に言われたんですけど、排卵しているかどうかは検査しないとわからないんですかね。
山本: 基礎体温は古典的な排卵期の把握の仕方ですね。アプリなどで生理の日にちを管理している人もいますが、排卵日は予想なので確かではない。
より確実なのは、排卵検査薬です。排卵期に増えるホルモンを見ることができます。
「子どもがほしいけど妊娠しない」となってから不妊治療のクリニックに行き、体温計で記録付けて――みたいな感じで妊活を始めると、時間をロスします。自分の体を知るという意味で、一度、排卵検査薬で調べてみるといいかもしれません。
栄養状態改善 先進国で早くなる初潮年齢
真船: 妊活直前にならないと考えないけど、やっぱり体の状態みたいなのを一回見ておくのも大事かもしれないですね。
排卵の回数については、生まれたときから決まっているとの話も聞いたことがあります。私、同年代の人と比べて初潮の開始した時期がかなり早くて。そういう人って、排卵も早く終わっちゃうんですか。
山本: 生理が終わる時期は個人差があるし、閉経が早過ぎると、それ自体が病気のこともある。生理が早く来たからといって、閉経も早いというわけではありません。体脂肪が少ないと生理は起きないので、日本を含む先進国では栄養状態が良くなるにつれ、初潮が早くなっています。
生涯、排卵する数はおっしゃる通り、そもそも決まっています。歳を取るとそれだけ卵子の数も失われていき、質も落ちます。ただ早く始まれば、その分、若くして終わるとは限りません。
●真船佳奈(まふね・かな)さんのプロフィール
1989年生まれ。テレビ東京社員(現在BSテレ東出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。テレビマン・漫画家という兼業生活を送り、番組内の挿絵やキャラクターデザインも手がけている。
●山本佳奈(やまもと・かな)さんのプロフィール
1989年生まれ、滋賀県出身。2015年、滋賀医科大学医学部医学科卒業。ナビタスクリニック(立川・新宿)に勤務し、医療ガバナンス研究所研究員も務める。女性の健康問題に関わりたいと、高校生の時に産婦人科医を目指し、現在は内科、女性内科を担当。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)がある。
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