熱烈鑑賞Netflix

韓国ドラマ「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」ダーティーな年上女とエリートの傲慢男が火花を散らしながらバディになる【熱烈鑑賞Netflix】

世界最大の動画配信サービス、Netflix。いつでもどこでも好きなときに好きなだけ見られる、毎日の生活に欠かせないサービスになりつつあります。そこで、自他共に認めるNetflix大好きライターが膨大な作品のなかから今すぐみるべき、ドラマ、映画、リアリティショーを厳選します。今回は、Netflixで今観るべき韓国ドラマ「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」をレビュー。エリート男性弁護士とタフでダーティーな女性弁護士がタッグを組むバディものがおもしろい!

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タフでしたたかな女弁護士クムジャ登場!

韓国ドラマの勢いが止まらない。一大震源地になっているのは、間違いなくNetflixだ。

多種多様なタイプのドラマがラインナップされているが、タフでしたたかなヒロインが見たい人には、「ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-」をおすすめする。日本のドラマにはなかなかないタイプの男女バディものでもある。

まず、男側の主人公は、エリート弁護士のユン・ヒジェ(Netflixドラマ「キングダム」主演のチュ・ジフン)。大手弁護士事務所の若きエースで、祖父は最高裁の元判事、父親も兄も現役の判事というサラブレッド。性格は傲岸不遜。彼の辞書に「謙虚」という言葉はない。

ハードワークに明け暮れるヒジェが、ふと立ち寄った午前5時半のコインランドリー(おしゃれなやつ)。そこには洗濯もせずに読書に耽る謎めいた美女がいた。雨の日に再会してから彼女のことが気になるようになったヒジェは、強引にデートに持ち込むと読書の好みが同じで意気投合。やがて二人は付き合うようになり、ロマンティックなキスを交わす――。

しかし! ヒジェは楽勝のはずだった財閥企業のドラ息子の離婚訴訟で、妻側についた無名の弁護士を見て、目をひん剥く。そこには恋人になったはずの女性がしれっとした顔で座っていたのだ!

女の名前はチョン・クムジャ(ドラマ「シグナル」や映画「国家が破産する日」など数々の作品で主演を張ってきたキム・ヘス)。すべては彼女が周到に企てたワナ!(ちゃんとヒジェの好みの作家まで調べ上げていた) クムジャはヒジェの部屋で手に入れた機密情報を使い、まんまと訴訟で逆転に成功する。身分を偽って証拠を入手するのは違法行為だが、彼女はまったく気にしない。目的を達成するためにはどんな汚いことでもやってのけるタフでダーティーな女弁護士なのだ。

謎の美女に恋に落ちたヒジェ(チュ・ジフン)。しかし……/Netflixオリジナルシリーズ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』独占配信中

今年50歳のキム・ヘスの美しさは必見

クムジャはいわゆる“強い女”キャラなのだが、チートでリアリティのない存在ではない。逆恨みしたチンピラに襲われたときも、ナイフで切りつけられ、何発も殴られ、蹴られ、壁や地面に叩きつけられて血を流しながらも、必死に反撃して逆にチンピラを救急車送りにしてしまうガッツと執念の持ち主である。それには彼女の幼い頃の境遇も深く関係している。

けっして“弱い者の味方”というわけでもなく、大金になるなら裁判で戦ったドラ息子の仕事だって喜んで請け負うクムジャは、まさに「ハイエナ」。あるときはチャーミング、あるときはウィットに富んでいて、それでいてほとんどのシーンはエネルギッシュ。あらゆる意味で、今年の9月で50歳になるとは思えないキム・ヘスの魅力が満ち溢れている。おかっぱ&メガネの女助手、イ・ジウン(オ・ギョンファ)との掛け合いも楽しい。

どこまでもエネルギッシュなクムジャ(キム・ヘス)/Netflixオリジナルシリーズ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』独占配信中

エリートのビジェは雑草育ちの年上女、クムジャに鼻っ柱を徹底的にへし折られるのだが、それでもなんとかやり返そうとする。二人は攻守を入れ替えながら、激しく火花を散らしていくのだが……。なんと、ヒジェが属する事務所がクムジャを引き抜き、二人はチームを組むことに! 高スペックの強い男とそれに輪をかけて強い女が組んだ男女バディが誕生!

どちらかがアシスタント的になるわけではなく、両者が張り合っているんだけど、女性側が圧倒的に強いという男女バディはなかなか珍しいと思う。かたやエリートで年下で金持ちで高級スーツに身を包んだ高慢ちきな男、かたや雑草で年上で貧乏で赤いジャージの上下を着て歩いているようなタフな女。両者の関係性は「ハイエナ」のティザーポスターにもよく表れている。ビジェは高そうな「正義の女神」像(剣と天秤を持つ司法・裁判のシンボル)を愛でているのに対して、クムジャは大量の本に足をかけている。行儀の悪さはともかく、それだけ彼女が経験と努力で現在の地位を掴み取ったということだろう。

韓国は男尊女卑社会なのだが、その上で「ハイエナ」のような作品が出てくるところに韓国のエンターテイメントの成熟ぶりを感じる(ちなみに男女平等の度合いを調査したジェンダー・ギャップ指数は2019年に韓国が日本を追い抜いた)。どんでん返しの連続のストーリーも飽きさせないが、クムジャとビジェの「あー、そうなるんですね!」という展開もある(クムジャがビジェの髪、ビジェがクムジャの胸ぐらを掴みながら、今にもキスしそうな韓国版ポスターも最高)。全16話あるので、たっぷり楽しんでもらいたい作品だ。

クムジャ独特のファッションにも注目。肩掛けスマホはトレードマーク/Netflixオリジナルシリーズ『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』独占配信中

ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-
出演:キム・ヘス、チュ・ジフン、イ・ギョンヨン
原作・制作:チャン・テユ、キム・ルリ

ライター。「エキレビ!」などでドラマ評を執筆。名古屋出身の中日ドラゴンズファン。「文春野球ペナントレース」の中日ドラゴンズ監督を務める。
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