自分を変える、旅をしよう。

自由に旅した記憶は、普段の生活で自信をなくしたときに、きっと大丈夫だよと私に語りかけてくれる

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。後編も広告会社で人事の仕事をしているはるかさんにお話をうかがいました。はるかさんにとっての「旅」とは?
初めての旅でボランティアを経験。同調圧力から解放され、自分の生きている世界が全てではないと知った 9歳で母の故郷へ一人旅。飛行機は私を最高の世界に連れて行ってくれる頼もしい存在

●自分を変える、旅をしよう。#14 はるか(31)後編

リーマントラベラーの東松寛文です! 大学時代に初めての旅先のベトナムでボランティアをしたことで、さまざまな価値観を知り、自分の生きている世界の広さを知ったというはるかさん。僕と同じようにリーマントラベラーとして旅を続けるはるかさんに、後半では「旅」とは何か、聞きました。

――一人で世界を旅するはるかさん。旅にハマる前は、どんな考え方をしていましたか?

はるかさん(以下、はるか): けっこうネガティブな考え方です。笑
旅やバイクが好きというと、アクティブで明るい人と思われることが多いのですが、実はその逆で。幼少期から、こうあるべきという世間の固定観念に影響を受けやすい性格でした。家庭や教室や会社で、ここで認められないと自分はダメだと思いつめてしまったり…。

そうはいっても、社会で生きていく必要がある。そこで、弱いなら弱いなりに、ストレス対処法をたくさん持とうと、意図的に趣味や息抜き方法を増やしてきました。その中でも特に効果的だったのが、気ままな旅やバイクでのツーリングだったんです。

――そうだったんですね!旅やツーリングにはどんな効果があると感じますか?

はるか: 旅やツーリングをすると、世界はここだけではないと思えて気持ちが軽くなりますね。旅先だと行動的で気ままな自分になれて、自分のことを好きになれる気がします。「今」「目の前」に集中できるので、マインドフルネス効果もあるなあと。楽しい思い出は折に触れ自分を励ましてくれます。
定期的に日常から自分を解放して、深呼吸させることで、日常を生きていけるんだと思います。

モロッコのサハラ砂漠

――日常から自分を解放する、いい言葉ですね。

はるか: そのため、できるだけ普段の生活とはギャップのあるところに行くのが好きです。満員電車で家とオフィスを往復する日々だから、身ひとつでバイクに乗り込んで、ニュージーランドや北海道の最果てでキャンプする。モロッコのサハラ砂漠でラクダに乗り、砂の上に布団を敷いて、星空を見上げながら寝る。仕事のことは一旦忘れて、モヒート片手にキューバのカラフルな街を歩き回る……。
普段の生活が息苦しいとき、自信をなくしたとき、自由に旅をした日々が脳内で再生されて、きっと大丈夫だよと私に語りかけてくれるのです。

キューバのトリニダーのカラフルな街

――ところで、僕を知ったきっかけを教えてもらえますか?

はるか: もともと、東松さんのブログを読んでいて、同じ広告業界の会社員なのに、こんなにたくさん刺激的な旅ができるんだ!と、勇気づけられました。その後、知り合い経由で紹介してもらい、お昼をご一緒しました(笑)。

――そうでした!リーマントラベラーを知って、旅のスタイルや普段の生活で変化したことはありますか?

はるか: 東松さんのアグレッシブでまっすぐな働き方、休み方には、いつも刺激を受けています。「休み方改革」という考え方にもとても共感しました。それからは、休暇取得のための工夫や根回しをより積極的にするようになりました。イランやキューバへ行く時も、ブログを参考にしたり、いろいろ教えてもらったりしましたね。

―ありがとうございます!うれしいな。はるかさんにとって、“旅”とは何ですか?

はるか: 私にとって旅とは、現実を生きるための究極の現実逃避で、サプリメントで、人生に添える花束です。それぞれの理由をお話します。

まず、現実逃避。いきなり逃避って言い切ってますが(笑)。私は世間のものさしに振り回されがちなので、定期的に、目の前の世界だけじゃないことを確認したいんです。そこで異なる文化や人との触れ合うことで、固定観念や自責思考を打破できるのが、旅だと思います。
特に最近は、新型コロナウイルスによる外出自粛生活が続き、考え方が内側に閉じこもっていく感覚があって。
広い大地を縦横無尽に移動して、現地の文化や人々に接することが、自分の内面を広げてくれていたんだなと、改めて感じました。

キューバ・ハバナにて

――自分の内面を広げる感じ、よくわかります!

はるか: 次に、サプリメント。旅をすると、自信がついて自分を好きになれます。旅はハプニングがつきもので、決断の連続です。だから、無事に行って帰ってくるだけで、達成感を得られるんですよね。
例え、仕事で落ち込むことがあっても、「ベトナムでのセクハラやインドでの詐欺も、なんとか切り抜けたしな」とか、「ニュージーランドを一人でバイクで一周できたしな」とか思うと、自信がわいてきます(笑)。

――旅先だといつもと違った自分を見ることができますよね。

はるか: そうなんです。そして最後に、花束。旅は人生を彩ってくれます。自分の気持ちの赴くままに行動して、目の前の景色や出会いに胸を踊らせた記憶は、鮮明で、いつ思い返しても楽しいです。
それに、旅先で感じたことが、自分の描く絵や漫画にも表れます。旅に出る度に、友人もできます。なくても生きていけるけど、あると気持ちが安らぐ花束のように、旅は人生を豊かにしてくれると感じます。

はるかさんの旅漫画はInstagramで公開中 https://www.instagram.com/haruka180cm

――漫画がかけるのは本当にうらやましい!今は旅に出ることもできませんが、海外渡航が解禁されたら行ってみたい国はどこですか?

はるか: 解禁されればどこでも行きたいですが……、やっぱりダイナミックなバイク旅がしたい!インドのヒマラヤ近郊を、インド製のレトロかっこいいバイク、ロイヤルエンフィールドで周るのが夢です。世界中のバイク乗りの憧れなんですよ。ガレ道で酸素が薄くて大変らしいのですが、ロマンあふれますよね!情勢的に行けたとしてもかなり先になってしまいそうですが、それまで身体を鍛えておきたいと思います(笑)

また、中東の文化や美術が好きなので、ジョージアを始めとするコーカサス地方や、ウズベキスタン、トルコ、サウジアラビア辺りも行きたいです。あと、最近ハマった韓国ドラマ「愛の不時着」ロケ地である、スイスにも行きたいです(笑)。

国内では、近々バイクで四国一周をしたいと思っています。オフロードバイクで長野の林道を走るのも憧れます。知夫里島や礼文島などの離島もいきたいですね。
…全然休みが足りませんね(笑)

北海道・白い貝殻の道

――最後に、はるかさんのこれからの夢や目標を教えてください。

はるか: いつまでこんな旅ができるのかわかりませんが(笑)、もう少しだけ旅やバイク旅が続けらればうれしいです。今回の新型コロナウイルスの影響で海外渡航が叶わなくなって、行きたいところは行ける時に行かないと行けなくなってしまうと痛感しました。渡航が解禁されたら、多少無理してでも、旅を再開したいです。
また、細々と描いている旅漫画や写真をまとめて本にして、コミティアに出たいです!

――アグレッシブなリーマン旅を続けている、はるかさん。現在も世界中で新型コロナウイルスが蔓延していますが、早く以前のように自由に旅ができる日々が戻ってきますように。それまでは、旅以外のチャレンジを続けていきたいと思います!

初めての旅でボランティアを経験。同調圧力から解放され、自分の生きている世界が全てではないと知った 9歳で母の故郷へ一人旅。飛行機は私を最高の世界に連れて行ってくれる頼もしい存在
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー

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