部屋探しにも変化の波?テレワークが増えるなか、"新しい生活様式"に合った部屋探しに起きているニュースタンダードとは?
部屋探しにも意識の変化の波
――コロナ禍に部屋探しの方法も変化があったのでしょうか。
アットホームラボ磐前淳子さん(以下、磐前): 以前にも増して、オンラインで物件を絞り込んで検索する方が増えていますね。
部屋の内見も、担当者とオンラインで詳細を話し合った上で出向くなど、極力対面で話す時間を短くして、最終判断だけを現地で行う人も増えました。転勤や入学など、どうしても今、引っ越ししなければいけない方のなかには、一度も内見をしないで決めるケースもあります。
検討時に問い合わせた物件数も年々減っていて、2019年は平均4.8物件でしたが、2020年はさらに事前の絞り込みが進むのではと予想しています。
――自粛生活やリモートワークの定着で在宅時間が長くなり、新しい生活様式に変わっていくなかで、どのような部屋が求められているのでしょうか。
磐前: 日当たりや周辺環境、セキュリティなど、コロナ以前よりも居心地のよさを重視する方が増えています。以前は朝晩しか在宅する時間がなかったので、北向きの部屋であったり、1階でも問題ないという方も一定数いましたが、意識に変化が見られるようになったと感じます。
テレワークに必要なスペース
――テレワークの普及によって部屋探しの条件はどのように変化していますか。
アットホーム三留香澄さん(以下、三留): 通勤のアクセスのよさや都心など中心エリアは変わらず人気ですが、郊外を選ぶ方も増えつつあります。会社に出勤する日数が少なくなり、郊外で家賃を抑えたり、広めの部屋に住んだりと、家と会社の往復だけではない、より快適な暮らし方について見直すタイミングになっているのかもしれません。
また、出社しなくてもいいテレワークに快適さを感じる一方、課題も出てきています。家族や同居人がいらっしゃる方は、仕事に集中できなかったり、相手が仕事をしている場合は静かにしたり、声を掛けるタイミングも迷ってしまうという声もよく聞きますね。
さらにオンライン会議で部屋の背景を気にする方や、部屋の動線上、同居している方が画面の近くを通って映り込んでしまうケースもあります。機密情報のやりとりが同居人に漏れていないかも心配です。一人暮らしの場合は仕事部屋と寝室が一緒で気持ちの切り替えができないという声も上がっていますね。
――その場合、どのような部屋がいいのでしょうか。
磐前: テレワークでは「スペース」や「オンオフの切り替え」がひとつのポイントになると思います。
家具の配置や動線を工夫してプライバシーを確保したり、今まであまり注目されていなかった「サービスルーム」がある間取りもおすすめです。サービスルームは採光が不足していて建築基準法では居室とは認められない部屋のことを言いますが、間取りが「〇LDK+S」と表記されている場合の「S」にあたります。納戸として使われることも多いですね。サービスルームの大きさも1~3畳のものもあれば、6畳であっても採光不足でサービスルームとみなされる場合もあります。
また、スペースの問題だけでなく、自宅のWi-Fi環境が不安定だと感じる人や、会社の仕事なのに光熱費が自分持ちであることに不満の声も上がるようになり、もともと家賃にWi-Fi使用料や光熱費込みの物件の人気が高まりそうです。
――家で楽しめる趣味を始めた方も増えたそうですね。
磐前: アットホームの調査によると、料理やエクササイズ、ゲームやビデオ・テレビ鑑賞をする機会が増えたというお話しを非常に多く聞きますし、ほかにもオンライン飲み会、家庭菜園やガーデニングを始めたという方も増えたように思います。
外出自粛期間中に料理やお菓子作りにチャレンジしてみたら予想以上に楽しくて、今度は広いキッチンやカウンターキッチンなどこだわりを持って探す人も増えそうですし、ヨガや筋トレなどができるスペースがある部屋に着目する方も多くなるかもしれません。オンライン飲み会も、家族や同居人がいる方は気を遣わないスペースがあるといいですね。
――最後に、部屋探しをする方にメッセージをお願いします。
三留: はじめに一度も内見しないで決める方もいるというお話をしましたが、特に独身女性でしたらできれば直接、不動産会社さんの情報を聞いて、内覧して納得した上で契約していただいたほうがより安心です。オンライン上に間取り図も載っていますし、VRで内見できる物件もありますが、近所にどんな人が住んでいるか、どんな街なのか、駅までどんな道を通り、自分の足で歩いて何分くらいかかるのかなど、実際現地に行ったからこそ分かることがあるんですよね。何より安心して住んでいただきたいと思うので、最終的にはご自身の目と耳で確認することも検討していただきたいです。
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