テレワークで地方移住の選択も。「費用」は本当に大丈夫?

新型コロナの感染の広がりで増加したテレワーク。出社しなくても仕事ができるのなら、と都心部から地方へ移住を考える人も出てきそうです。テレワークをする場合の諸経費とあわせて、移住にまつわる金銭面などについて、ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんにお話を伺いました。

仕事にまつわる諸費用 負担するのは個人?

――テレワークを導入する企業が増えています。在宅で仕事をするために、新たにパソコンを購入したり、ネット環境を整備したりする場合の費用は、誰が負担するものですか?

中村:会社がテレワークを推奨するのであれば、パソコンの購入や通信関係の費用は会社が支給する場合が多いでしょうね。セキュリティの関係もあるので、パソコンは会社が支給(貸与)するのが基本でしょう。自宅にWi-Fiがなかった場合の環境整備の費用については、どこまで会社に負担してもらえるのかは、確認しておいたほうがいいでしょうね。

会社によっては、水道光熱費の一部や食費補助などが出るところもありますよ。
今後はTwitter社のように希望者にはずっとテレワークを認めるところも出てくるかもしれません。会社側としても、オフィスを縮小できる利点がある。賃料が安くなれば、固定費の大幅削減につながりますからね。

――在宅ワークが進むと、出社の必要が無くなり、会社から近いところ、交通の便がいいところに住む必要がなくなります。

中村:これから先、テレワークがさらに普及することを考えれば、フリーランスで働けるくらいの設備は自己負担でも揃えておくといいかもしれません。環境が整っていれば、転職活動だってしやすくなるし、独立もあります。

――自宅で仕事をする場合、集中できないという人もいます。

中村:自宅で集中できないという人は、シェアオフィスを使うのも手です。1時間単位や平日だけ借りられるなど、いろいろあります。その際のシェアオフィス代を出してくれる会社もあれば、そうでないところもあります。私も長年シェアオフィスを使っていますが、集中できるからとても便利です。
私のオフィスには、オーストラリアやニューヨークの会社の仕事を日本でしている外国人のリモートワーカーもいて、彼らの自由な働き方、生き方にはすごく刺激を受けました。実力があれば、国境を越えて好きな国に住むことができる時代なんだなって。そういえば、私も日本の仕事をアメリカでやっていた時期がありましたっけ。あなたにもきっとできます。
好きな国に住んで自由に働くためにも、コロナは早く解決してほしいところですね。

地方移住で大切なお金のこととは?

――毎日出社する必要がなければ、会社から離れた郊外や地方に移住する人も増えそうですね。

中村:増えるかもしれませんね。都市部は便利でいいけど、狭いワンルームマンションに何日も閉じこもって仕事をしていたら、気分がめいってくるでしょ。地方にいけば、自然は豊かだし、同じ家賃の額で広々とした家を借りることだってできるわけですから。

――地方への移住を考える場合、準備しておくことはありますか?

中村:一番は、戻るための引っ越し費用をちゃんと用意しておくこと。地方に引っ越しはしたはいいけど、やっぱり移住前のところに帰りたいなと思うかもしれない。その時にマンションを借りるなら新しく敷金や礼金、引っ越し費用などがかかります。

地方での暮らしは、気をつけなければいけないところもありますよ。

――どんなことですか?

中村:意外と見落としがちなのが光熱費。都市部のワンルームマンションのときと全然ちがってくる。ワンルームマンションならエアコンも一部屋だけで十分でしょうが、戸建てだと部屋数が多くて広く、建物の断熱効果が低い。光熱費はどうしてもかさみます。床暖房を使えたりするとさらに高くなりますね。

――車も必要ですしね。

中村:車は、家賃と合わせて住居費として考えて、都心での住居費の範囲内に収まるようにしましょう。家賃と車関係の費用と合わせて、手取り収入の25%以下にするのが目安。これを超えると、家賃は安くなっても生活は苦しくなっちゃう。車を買う時は新車ではなく中古がおススメ。2、3年して東京などへ戻ることになった場合、車を売るかもしれないでしょ。それを考えると、高いお金を出して新車を買うよりも、まずは中古。そして買う時は必ず現金で。ローンを組まないよう、気をつけてくださいね。

「交際費はケチらない」

中村:地方に移住するにあたって大事なことがもう一つ。交際費はケチらないほうがいいわよ。

――なぜですか?

中村:出社して都心に行けば同僚や友人に会うから、十分なコミュニケーションを取れる。けど、自宅にばかりいたら、何日も人と会わない&話さなくなるかもしれない。地方移住で周りに知り合いが誰もいなくなったら、さらに人とのコミュニケーションの機会は減るかもしれません。

もちろん、離れて暮らす友達などとオンラインで話すこともあるでしょう。ですが、個人的には、オンラインだけではなく、地域のリアルな人間関係が必要だと思います。そのために仕事以外にも気の合う仲間を新たにつくりましょう。食事や飲み会に誘われたら参加する。たまには、洋服やメイクにもお金をかける。ずっと家にこもって仕事ばかりしていたら、毎日出社していたときよりもお金は貯まるかもしれないけど、人とのつながりは希薄になっちゃいます。
引越し先では、必ず近くの何かのコミュニティーに所属するのを目標に、調べて積極的に活動しましょう。

大切なのは、どこで生きたとしても、仕事をして収入を得ること。その中から将来のために一定額の貯金をし、健全な生活をする。楽しい時も悲しい時も気持ちを話せる友人、困った時に助け合える友人がいること。移住を考えている人は、今からしっかり準備をしておいてください。可能性は無限です。

いま、働く女子がやっておくべきお金のこと

著者:中村芳子

出版社:青春出版社

ファイナンシャルプランナー。東京・下北沢のオフィスで多くの人のお金の相談にのり、人生の悩み解決のお手伝いをしている。早稲田大学商学部卒。メーカー勤務を経て1985年に独立系ファイナンシャルプランニング会社に転職、女性FP第1号に。91年に友人と「アルファアンドアソシエイツ」を設立。『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』(青春出版社)など著書多数。
明治大学サービス創新研究所客員研究員。ミリオネアとの偶然の出会いをキッカケに、お金と時間、行動について真剣に考え直すことに。オンライン学習講座Schooにて『文章アレルギーのあなたに贈るライティングテクニック』講座を開講中。
働く女子のお金のトリセツ