「私、仕事が大好きなんだよね」本音だけど本音じゃないワーママの日常
よく、周りの女性たちからこんなことを聞かれる。
「どうやって、育児と仕事を両立しているんですか?」
パワフルなワ―ママに見えているのかな、といぶかしく思いながら、多少の罪悪感と共に、努めて爽やかにこう答えている。
「私、仕事が大好きなんだよね。夫が私より料理上手だし、娘たちも手伝ってくれるし、助かってるんだ」
これは本音であり、本音ではない。
2019年4月、大手企業向けに「働き方改革関連法」が施行され、この4月には中小企業が新たに対象となる。働き方改革に対する企業の取り組み状況に関する調査では、働き方改革に取り組む企業は6割を超えているそうだ(帝国データバンク調べ)。
法案の効果はこれから期待したいところだが、実際、長女が保育園に通っていた12年前と今では、男性の育児参加率(という表現自体どうかと思うが)は上昇した。その頃、保育園のお迎えで会うパパはだいたい2人ほど。20年現在は、4割ほどがパパになった。
私の両親は、自営業で共働きだ。だから、母親が働くことは自然なことだったし、お店の従業員さんから頼られる母を、本当にカッコいいと思っている。地方から上京した私は、自分が好きなものを沢山の人に知ってほしいという思いから、PRのプロフェッショナルを目指した。仕事は本当に楽しくて、達成感も感じていた。ちょうどその時、夫と出会い、幸せなことに27歳で長女を授かった。今でも、本当に幸せな出来事だったと思っている。
でも、いつだって、隣の芝生は青く見える。産休育休を経て、仕事に復帰したが、初めての子育てに戸惑うと同時に、保育園からお迎えコールが鳴るたびに職場に迷惑をかけることも多くなった。熱が出た長女を保育園にお迎えに行き、夫が帰ってきたら看病を交代して会社に戻ったこともあった。長女が小学生の時には、鍵を持たずに学校に行き、私たちが帰るまで玄関の前で待っていた、なんてことも。そんな日々を過ごすうちに、「沢山のご迷惑をおかけしながら、働かせていただいて、いいのだろうか…」という気持ちが日に日に大きくなった。
娘に憧れられる母になりたい
仕事と育児の両立に悩み、転職が重なった。そんな中でも、多様な人たちとの出会いを通じて、本当に少しずつ、自分が描きたいと思えるキャリアが見え始めた時、次女を妊娠したことがわかった。
結局迷惑をかける可能性があるんだから、働いている時間は目一杯パフォーマンスを出そう、と吹っ切れた。仕事は私にとって、なりたい自分に近づくための手段でもある。全力でやらないと、自分自身が納得できない。そして、いつか、娘に憧れられる母になりたい。そのためにもっと努力したいと思った。
今でも、自分がやっていることはワガママなのかもしれない、と感じることはある。子育てと仕事を両立するようになって12年。夫も私の仕事好きを理解してくれ、お迎えや作り置きの料理で応援してくれる。娘たちも、お手伝いで協力してくれる。
私たち家族なりの「時短術」もでき始めた。例えば、小学校の宿題で毎日出る音読は帰路に娘に電話口でさせたり、習い事は通う必要のないオンライン英会話を活用したり。さらにこれは私と娘のWIN-WINな取り組みとして紹介したいのだけど、娘が欲しいものがある時に私が購入し、その代金は娘が夕食の用意をすることで返済できる制度を作った。例えば、1600円の本を買いたい場合には、一旦私が購入して本を与える。娘が1回夕食を作ると200円返済でき、8回で完済できる仕組みだ。
実際には、娘たちに寂しい思いや大変な思いをさせていることもあるだろう。でも、今やっていることが、みんなにとってプラスの未来に繋がると、強く信じている。
最近、長女からは少し呆れられながらこんなことを言われている。
「ママってさ、ほんと仕事好きだよね」
-
第3回「やりたいことは何なのか?」本当の自分を見つめなおすコーチングのすすめ
-
第4回振り切って生きていく「オタク女子」からみる多様化の価値観
-
第5回「私、仕事が大好きなんだよね」本音だけど本音じゃないワーママの日常
-
第6回五島列島でリモートワークを体験。東京に戻って私が変わったこと
-
第7回女性が一生涯に経験する生理は約450回 「生理3.0」を生きる私たち