アメリカでテラスハウスが人気!「はっきり言わない日本人文化」が面白い?

いま、アメリカで日本の「テラスハウス」が話題になっている。ニューヨークでも1~2年前から、日本語を勉強している20〜30代の人たちに「Do you know Terrace House?」と聞かれることが多くなった。ほとんどの人たちが異口同音に「すんごく面白いんですよ!」という。リアリティーショーが好きな国民性(?)もあるかもしれないが、アメリカ人とは異なる日本人の恋愛観や様々なシーンでのリアクションに興味を引かれるらしい。ニューヨーカーに取材すると、日本とアメリカの恋愛感の違いが見えてきた。

アメリカ人からみる「告白」の不自然さ

日本に何度か旅行したことがあり、日本人の友だちも多い30代男性Aに聞いてみると、「ああテラハね。見たことあるよ。テラハを見て初めて、日本人にとっての『告白』の大切さがわかった」と答えてくれた。彼によると、アメリカでは、カップルになるには自然に会話ができたり楽しい時間を過ごしたりするというプロセスが大切だそう。だから、「アメリカ人から見ると、『告白』はちょっと不自然かな」。気になる相手を見つけたら、気軽に「今度一緒に飲みに行こう」と誘う。すべてはそこから始まるのだという。

でも、これでは恋人同士として付き合っているのか、ただの気の合う友だちなのかわからない。どこで自分たちは恋人同士だと確認するのか聞いたら、「1、2カ月経った頃、自然に恋人同士のような会話が始まる」とのこと。どこかの時点でなんとなく恋人同士だという確認作業はあるらしい。日本人は誰かを好きになったら「告白」という儀式を経て付き合い始め、アメリカ人は気軽に付き合い始めて、お互いに相手を気にいるかどうか、お試し期間を経てカップルに落ち着く、という違いがあるようだ。

「気遣い」に好感、一方で理解できない部分も

昨年末に新婚旅行で初めて日本を訪れた20代女性Bもテラスハウスの大ファンだ。アメリカのリアリティーショーとは違う、同年代の日本人の恋愛観や好きな人に対するアプローチの仕方などが見ていて面白いらしい。日本人は他の人を気遣って、あまり自分本位な態度を取らないところに好感を持っているという。

テラスハウスを見たことがある20〜30代の女性たちに聞くと、ほぼ同じ答えが返ってくる。アメリカだったらいろいろと問題が起こりそうなシチュエーションでも、テラスハウスの中では喧嘩になったりすることが少ない。それがいいと。

一方で日本人の行動が理解できないという場面もあるようだ。Bが理解できなかったのは、お互いに好意を持っている男女がデート中、男性がいきなり女性の顔を自分に向けさせてキスをしたというシーン。Bの説明によると、女性はその男性に好意を持ってはいたが、強引にキスをされて傷ついてしまった(らしい)。Bにはこれが全く理解できない。「ちょっとこの男性は強引で失礼。そんなことをされたら、私だったらはっきり『やめて!』と言って、相手を向こうへ押し返す。それがアメリカ女性の普通のリアクションだと思う」と答えてくれた。

日本人男性と付き合ったことがあり、テラスハウスの純愛カップルに惹かれるという30代女性Cも、時々違和感を感じることという。「他人に思いやりがあるのはとてもいいと思いますが、誤解されても黙っていて、誤解を解こうとしないことがあります。私にはそれがわかりません」と話す。かつて付き合っていた日本人のボーイフレンドはいい人だったが、「ちょっと優柔不断だったかな」という。日本人だからアメリカ人とは違うと理解はしていても、意思表示をはっきりしてくれないところにちょっとモヤモヤしたらしい。

「はっきり言わない文化」 ネットでも議論に

議論はネット上にも及ぶ。テラスハウスはすでにアメリカのNetflixの人気番組として認知されており、ネットにはファンが意見交換するコミュニティまである。そこでも前述の、「お互いに好意を持っている男女がデート中、男性がいきなり女性の顔を自分に向けさせてキスをしたシーン」が話題になっており、議論がヒートアップしていた。

「女性が嫌がっているのに一方的にキスするなんて見ていて不愉快だ」という批判的なコメントが多かったが、一方では、「女性はこの男性に対する好意を何度も口にしていたから、男性はそれに応えて女性をリードしただけで暴力的にも嫌がらせにも見えなかった」と、男性を擁護するコメントも。また、「日本では男らしさが求められるところがあり、文化の違いだからいいも悪いもない」という意見があったり、「日本はセクハラに対する意識がちょっと遅れている」という鋭い指摘があったりと、なかなか考えさせられた。

アメリカ人に対しては丁寧なコミュニケーションを

アメリカ人は考えていることをはっきり言うし、感情も日本人よりわかりやすい。一方、日本人は相手の気持ちを汲み取ろうとするし、相手も自分の気持ちを察してくれるだろうと期待するところがある。日本人同士ならそれもある程度通用するが、アメリカ人には丁寧に言葉で気持ちや考えを伝えないと理解してもらえない。テラスハウスに対するアメリカ人の反応から、それをあらためて感じた。

アメリカのリアリティーショーはもっと大胆に自分をアピールしたり、喧嘩や駆け引きがあったりと、派手でドラマチックだ。日本大好きなテラスハウス世代の男女3人にアメリカのリアリティーショーに出てみたいかと聞いたところ、異口同音に「絶対イヤだ!」とキッパリ。「じゃあ、テラスハウスはどう?」と聞くと、全員「……」。「アメリカのリアリティーショーには絶対出たくないけど、テラスハウスならちょっと考えてみてもいいかも」ということかな。

ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。