憧れバトン

ぱいぱいでか美さん「嫉妬はします。でも原動力にはしません」(前編)

誰しも人生で何人かはいる「あこがれた人」や「嫉妬する相手」。 「他人と比べない社会」を良しとする風潮の中で、それでも自分の中にある「羨ましい」「あの人みたいになれたら」の声に耳を傾けることで、次に頑張るべき課題や目標が見えてくるかもしれません。 今回は、奇抜な名前がちょっと目を引く、歌手でタレントのぱいぱいでか美さん(28)が登場。前編では、バトンを繋いだファーストサマーウイカさんと自分の違いなどについて話してくれました。

●憧れバトン04-1

――今回のバトンはファーストサマーウイカさんより。ぱいぱいでか美さんにこんな「嫉妬」をしているそうです。

【ファーストサマーウイカ さんから、ぱいぱいでか美さんへのコメント】
初めて「ぱいぱいでか美」という名前と出会った時耳を疑いました。
字面を見た時、「いやホンマかいな」と声に出して軽く引いたのも覚えています。
私も世間的には一風変わった名前ですが、ネーミングで「勝てない」と思ったのは後にも先にもでか美ちゃんだけです。
だって私は「ぱいぱい"ない美"」だから!
持たざる者、土俵に上がることすら出来ない!
これは誰にでもつけられるものでは無い、持つ者、選ばれし者の名。

「ぱいぱいでか美」…丸みを帯びてちょっぴりセクシーで、でも子供に言わせても怒られない圧倒的に甘美な響きなのに、対私にはとんでもない殺傷能力を持ち合わせている…!
実に「ぱいぱい」からの「でか美」の攻撃力がハンパない。「でか美」を命名したセンスに大いに嫉妬。素晴らしいお名前です。
そしてこの「ぱいぱいでか美」という名を引っさげ地上波のTV番組のレギュラーの座を射止めているのって本当偉業だと思うんです。もう大尊敬。
歳は下だけど、目指すべき姉さん、のように思ってます。ライバルというよりも「一緒に1日でも長くこの世界で生きていこうね」と、手を取り合って助け合っていこう、と言い合える最高の仲間!ずっとずっとよろしくです。

ぱいぱいでか美(以下、でか美): わー!この連載、読んでいたのでこうして自分にまわってくると嬉しいですね。私こそウイぽんに憧れているので、私に憧れてくれているというのが意外です。

顔をかしげるぱいぱいでか美さん

――ウイカさんについて、でか美さんはどんな印象をお持ちですか?

でか美: 年上ですけど「腹、決まってんなぁ」って思います。テレビでここまで活躍する前からBLLIE IDLEのライブに行かせてもらったり、食事をしたり話したりしていますが、この世界で生きていこうという気持ちが固まっていてかっこいいです。

――近くで見ていて感じることはありますか?

でか美: ウイぽんと私の違うところは、「誤解を恐れない」ところ。私は「誤解」とか「誤認される」ということはやっぱりすごく苦手なんです。なので、SNSなど自分で発信できる範囲であれば訂正しちゃう方。それが私だ、と思っているので、そのスタンスを変えようとは思わないけど、「誤解を恐れない」ってほとんどの人ができないことだから、そこがウイぽんの強いところなのかなぁって思います。
だからこそ、何を思って、どこに嫉妬してくれて私にバトンを渡してくれたんだろうって……。

ファーストサマーウイカ さん「誤解されるの、嫌じゃありません」

立つぱいぱいでか美さん

ーーウイカさんとしては「ぱいぱいでか美」という、奇抜なお名前でこの世界で戦っていこうというでか美さんの姿勢がすごい、ということですが。でか美さんは、人に「嫉妬」する方ですか?

でか美: 「うらやましいなぁ」と思うことはあります。でも、嫉妬をエネルギーにしないようにしています。

――どういうことでしょうか?

でか美: 妬み嫉みとか、「あの子を見返すために!」というような復讐心を自分の活動の原動力にしないようにしようと思っていますね。
憧れている人に追いついたりとか、むかついている人を見返せるかもしれない場面がくることも、この活動をしているとあるにはあります。けど、その「相手」は、何も思ってないんですよね。私のこと、どうとも思っていない。それってすごくむなしいことだなぁって気づいて。

――具体的に、そう思うきっかけがあったんですか?

でか美: 私がというより、周りを見ていて気づいていきました。
コンプレックスをバネにして活動する人が最近増えているような気がするんです、「昔いじめられていました」みたいな。
でも、結局その後、頑張って頑張って今している活動を自分なりに誇れるところまでいけたとしても、同窓会とかで「あの頃はごめん」なんて言われることはなかなかない、そういう話をすごくよく聞くんですよ。

――たしかにそうかもしれません。

でか美: 私も、壮絶ないじめとかではないけど、人並みに嫌な思い出はあります。でも、その子たちに「見てるよ、頑張ってるやん」って言われた時に、「やったぁ、見返せた」とは思わなかった。それよりも、長年の親友や家族に応援してもらえていることの方が当たり前だけど貴重で価値を感じるんです。

麗しいぱいぱいでか美さん

――ネガティブに思うこと自体あまりないのでしょうか?

でか美: いえいえ。それこそ私も、自分と同じぐらいの規模のライブハウスを埋められる人や、同じぐらいのフォロワー数のタレントさんがテレビに出ていたりすると「この番組に自分が出られないのはなんでなんだろう」って思ったりすることはあります。ググって大手事務所に所属してたら「だよね」とか思っちゃうことも正直ある(笑)。
けど、自分の心が黒くなっていくだけで、何も生まれないんですよねそれって。

――すごく冷静に自分を見てらっしゃいますね

でか美: 「うらやましい」って思うのは仕方ない、そういう感情は一旦受け入れます。でも、それをパワーにはしない。それよりも、お世話になってる方への感謝だったり、ファンの方に対して「この仕事決まったこと、喜んでくれるかな」って想像している時の方が頑張れるって気づいたんです。

――ポジティブなエネルギーだけをガソリンにしていきたいということですね

でか美: 成功した時に、その人(ネガティブな気持ちを掻き立てる人)たちのおかげになっちゃうじゃないですか。あなたたちの手は一切借りずにここまで来ました、って胸を張って言いたいんですよね。

***
後編につづく:ぱいぱいでか美さん「いつだって替えがきく存在がいるという覚悟でやっている」(後編)

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
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