スペシャル対談03

【ふかわりょう×小原ブラス スペシャル対談】大切なのは肩の力を抜くこと。芸能界を"浮力"だけで乗り切るふかわさんがブラスさんに贈った言葉とは? (前編)

TOKYO MXで放送中の「5時に夢中!」でMCを務めるふかわりょうさんと水曜レギュラーの小原ブラスさん。実は2人はtelling,でコラムを連載しているという共通点があります。そこで今回は、生放送終了直後の「5時夢(ゴジム)」スタジオにおじゃまして、お話をうかがいました。前編では、ふかわさんから見たブラスさんの印象や芸能界で生き残るためのヒントなど、金言が満載です!

穏やかな水面に一滴のしずくのようにブラスが落ちてきた(ふかわ)

――ブラスさんは「5時に夢中!」の黒船特派員になって1年。ふかわさん、ブラスさんの印象を教えていただけますか。

ふかわりょうさん(以下、ふかわ): 穏やかな水面に"ブラス"という一滴のしずくがぽつんと落ちた、そこからの波紋の広がりをほかの曜日も含め、すごく感じています。ブラスくんは今まで接したことのない雰囲気の人ですね。

――具体的にはどういうことでしょうか

ふかわ: 風貌だったり会話の感触だったり。声を張らなくても言葉が引力を持っている人という印象です。MCとしてというだけでなく、何度も話しかけたくなってしまうような雰囲気だと思う。

顔に手を当てるふかわさん

小原ブラスさん(以下、ブラス): 僕は、ふかわさんに対してはおこがましいですがけど「助けられている」というのが強いです。番組の中でトークを振られて、それに返して、次のもう1ターンの返しがうまくできなかったりしても、オチを用意してくださっているんです。ふかわさんがそうしてくださっているからこそ、すごく肩の力を抜いて番組に臨めています。

――それはレギュラー当初からですか?

ブラス: 昨年末の忘年会でふかわさんに声をかけていただいて。「そんなに肩に力をいれなくていいんだよ、案外大丈夫だから」と。生放送では余裕な顔をしているんですけど、余裕な顔って、余裕がないからしてたりもするんですよね。でも、ふかわさんにはそれも見抜かれていた。最近は、失敗してもいいやぁって気持ちでやれるようになりました。

ふかわ: ブラスくんの「何を考えているかわからない見た目」というのは芸能界にとって大きなアドバンテージになると思う。毎回打席に立てばヒットを打てる人だからこそ、"ヒットを期待されちゃってる"んですよね。
実はブラスくん、いろいろな番組に出るときに、話が重複しないように、エクセルでトークネタを管理しているらしいんですよ。
今は仕事への姿勢としてそういう時期なのかもしれないけれど、準備してきたことを手放して打席に立ったときこそに、新たなブラスくんが出てくるんじゃないかなという期待を込めて、そういう言葉をかけました。僕自身にも、そういう時期はあったので。

語るブラスさんとふかわさん

――準備することや「これはしちゃだめ」にとらわれすぎないことで新しいステージにいけることもあるんですね。

ふかわ: 僕が接してきた多くの出演者の方、たとえば「5時に夢中!」で言えば(岩井)志麻子先生なんかもそうなんだけど、何度も同じ話をすることに抵抗がない人はどんどん活躍していっているんだよね。以前話したことも「そんなの関係ない」って堂々と、ワクワクしながら話せる人は強いし、残ってる気がする。

失敗したときのほうがよかったこともあるかもしれない(ブラス)

ブラス: 生放送の中で「失敗したな」と思うことはやっぱりあって、その度に「今後の仕事に響くわ……」って落ち込むんですね。マネージャーさんに電話をかけて「僕のどこがよかった?」ってしつこく聞いちゃったり(笑)。
ただ、自分にとっての失敗も後で振り返ると意外と「そっちのほうがよかったのかも」ということもあるんです。「5時に夢中!」って、もしかすると"失敗を見せる番組"なのかも。普段は無難にこなしている人が時たま見せるミスをみんなは見たがっているのかもしれない。

ふかわ: その瞬間瞬間は失敗だと思っても、俯瞰で見たら全体のカラーにうまく染まっているっていうこともあるからね。

笑うブラスさんとふかわさん

今はもう"浮力"だけでやっている(ふかわ)

――ふかわさんご自身、の20代の頃はどうだったのでしょうか。

ふかわ: 20歳でこの世界に入って、最初はやっぱり力は入っていましたね。30歳になってようやく力を抜くことができました。だからブラスくんに「力抜いた方がいいよ」と言って「わかりました」と明日からできるようになるわけじゃないこともわかっています。今、25年目ですけど、今はもう、"浮力"だけでやっていますね(笑)。

――そんなことはないと思いますが......。

ふかわ: いやでも、そうなんです。周りを信じることの大切さもわかりましたから。

ブラス: このまま力を入れてやりすぎていたら、どこかで、もう全ての仕事が嫌になってしまう瞬間がくるんじゃないかという怖さもあります。

ニットを着たブラスさん

ふかわ: ブラスくんは器用にこなせるタイプなだけにね。でも、番組によって、話すトーンや組み立てを変えるとか、いろいろやってみるおもしろさはあるでしょ?多分この先もどんどん吸収していくと思うし、伸びしろはさらにあると思います。

ブラス: そんな、過大評価ですよ。

ふかわさんとブラスさんのツーショット

ふかわ: ひとつ、ブラスくんにお願いなんだけど、これからますます飛躍していくだろうし、取材を受ける機会も増えると思う。そのときに、ちょっとでいいから、僕の名前を出してくれないかな(笑)。「ふかわさんに忘年会で声をかけてもらったのがきっかけで......」とかね。

ブラス: わかりました。みなさんこれ、けっしてパワハラじゃないですよ?(笑)

●ふかわりょうさんのプロフィール
1974年生まれ、神奈川県横浜市出身。大学在学中の1994年にデビュー。テレビ、ラジオ、エッセイのほか、ROCKETMAN名義でDJを行う。現在、TOKYO MX「5時に夢中!」、AbemaTV「AbemaPrime」、J:COM「ふかわりょうのフニオチナイト」でMCを務めるほか、TBS「ひるおび」コメンテーター、NHK-FMのクラシック音楽番組「きらクラ!」パーソナリティを務めている。   
http://happynote.jp/

●小原ブラスさんのプロフィール
1992年生まれ。ロシアの政治家家系で育ち、5歳から日本(関西)に移住。 かつては動画配信サービス〈ニコニコ動画〉で有名な配信者であった。学生時代は家庭教師の経験もあり、見た目は純ロシア人ながら、関西育ちの新おねえタレント・コラムニストとして活動中。TOKYO MX「5時に夢中!」(水曜レギュラー)など、バラエティーから情報番組まで幅広く出演している。
https://twitter.com/vlasx

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。
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