ONE TEAM、計画運休、#KuToo……新語・流行語大賞から見える、2020年に「変進力」が必要な理由

今年の新語・流行語年間大賞は「ONE TEAM」。ラグビーワールドカップ2019日本大会が盛り上がった今年にぴったりの受賞となりました。その他にも「計画運休」や「軽減税率」、「タピる」、「#KuToo」など、2019年を象徴する言葉が多く選ばれています。変化が激しい世の中を彩る言葉から読み取れる、今の時代の”生き抜き方”とは? 激動の時代を生き抜く力「変進力」を提唱する、ディグラム・ラボ株式会社代表取締役の木原誠太郎さんにお話を聞きました。

流行語大賞で振り返る、2019年の日本

――新語・流行語年間大賞は「ONE TEAM」でした。木原さんは、今年の流行語で印象に残っているものはありますか?

木原誠太郎さん(以下、木原):「ONE TEAM」はとても前向きな言葉。ラグビーをまったく知らない人たちまで巻き込んで、大きな感動がうまれました。4年前の前回大会からのストーリーを受け継いで、うまくムーブメントを作ることができたのは、日本的美談だと思います。

ただ、ONE TEAMという言葉が選ばれた背景を考えると、2019年の日本が「突飛なものは求めていない」「無難にまとめる」という雰囲気なんだなというのも感じます。

数年前までは、お笑い芸人の一発ギャグが流行語大賞にたくさんノミネートされていましたが、最近では見かけなくなりましたよね。「一発屋」自体がいなくなっている。僕は40歳で、ずっと「個性を持ちなさい」と教育されてきた世代ですが、今の若い人たちにはそれがなくなってきているのかもしれません。

ディグラム・ラボで提供しているディグラム診断という性格診断テストがあるのですが、その結果を見ていても、2015年くらいから、「草食系」と言われる能動的に動かない性格の人が増えてきているというデータがあるんです。

今年の流行語の中には、企業側が変化を求められていることを表す言葉も多かったですね。
例えば、「計画運休」。東日本大震災の時は「這ってでも出社しなくては」と考える人が大半だったのではないでしょうか。
また、流行語には選ばれませんでしたが、今年5月にトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したのも、変進力を感じる出来事でした。

変化して進む力「変進力」とは?

――木原さんが提唱する「変進力」とはどんな力なのでしょうか?

木原:世の中の変化がとにかく激しくなっています。すでに、そこについていける人とそうでない人の差が出てきています。変化が早いと、変化を客観視することができなくなり、やがて変化から取り残されてしまいます。

私は変化に適応できない人を減らしたいと思い、JTと一緒に「変進力」診断を企画しました。

自分がどの程度変化に対応できるのか、客観的な判断を得ることで、激動の世の中をどう生きていくか考えるきっかけにしてもらえればと思っています。

――変進力診断はどんな方に受けてほしいですか?

木原:女性の方に受けていただきたいですね。よく男性はデータ分析が好きという話がありますが、今は女性の方がすごくデータを求めていると感じます。というのも、データを公開すると、女性からの反響が大きいのです。
女性はライフサイクルの潮目が早く、悩むことも多いと言われています。だからこそ、彼女たちから「ファクトがほしい」という声が上がるのかもしれません。

以前であれば、迷った時に占いに行く女性が、今はデータを求めるようになったという実感もあります。そういう方に、自分を客観的に知り、時代に置いていかれないようにするツールとして活用してほしいですね。

変進力が求められる2020年の生き抜き方

――2020年は、どんな変進力が求められるでしょうか?

木原:日本全体で優しさが足りていないと思います。みんなの優しさが底上げされるような変化があるといいですね。

――優しさが低くないと生きていけない世の中という気もします。そもそも優しさってなんでしょう?

木原:データではなく、哲学の話になってしまいそうですね(笑)。私は優しさの定義は50年前から変わっていないと思います。「自分にも他人にも、献身的に尽くす」というのが優しさではないでしょうか。性格診断用語で言うと「ナーサリー・ペアレント(NP)」と言われる要素です。
みんなが、自分や誰かを喜ばせるために行動できるようになれば、優しさがのポイントが上がるのではないかなと思います。

――具体的にはどんな行動をしたらいいでしょう?

木原:まずは、自分のことを理解する。変進力診断や、ディグラム・ラボのウェブサイトでできるディグラム診断など、性格診断のツールを活用するのもよいでしょう。そして、自分が興味のある対象を見つけて、そこに深く興味を持ち、人の話をちゃんと聴くことですね。
今の世の中、情報が多すぎるので、全てに深く関わるのは無理だと認識し、自分にとって大切なものに深く関わるといいと思います。

――興味の対象が見つからない場合はどうしたらよいでしょう?

木原:興味の対象がないなら、「まだ見つかりません」と断言してしまえばいいです。わからないことをわからないと認識することも、大事。見つかるまで、いろんな情報に接していけばいいと思いますよ。

●木原誠太郎さんのプロフィール
ディグラム・ラボ株式会社 代表取締役。2001年、株式会社電通リサーチに入社し、リサーチプランナーとして多くのプロジェクトに参加。その後、Newhands、ミクシィ、電通を経て、2013年にディグラム・ラボ株式会社を設立。現在は統計学と心理学を掛け合わせた性格分析ツール「ディグラム」の研究およびビジネス展開を行っている。メディア出演、著書多数。
ディグラム診断サイト

1983年生まれ。社会人13年で転職4回。バツイチ。恋愛・結婚・女性性・人間関係・生き辛さなどの話題に興味があります。お笑い・現代アート・バームロールが好きです。
熊本県出身。カメラマン土井武のアシスタントを経て2008年フリーランスに。 カタログ、雑誌、webなど様々な媒体で活動中。二児の母でお酒が大好き。
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