女子アナの立ち位置。

【古谷有美】2020年は“おいとま”の年? 考えすぎず、自分や周りが喜ぶことをやる。

ミレニアル世代ど真ん中のアナウンサー・TBS古谷有美さんによる、テレビとはひと味違う本音トーク。今回は2019年総括編。今年は、古谷さんにとってどんな年だったのでしょうか。そして、2020年に向けた古谷さんのキーワードは「お暇(おいとま)」。そこに込められた思いとは?

●女子アナの立ち位置。

一年かけて、じっくり待てる自分になった

2019年も、いよいよあと10日ほど。はじめての書籍を出したり、何度かネットニュースにもなったりと(笑)、いろんな経験ができた一年でした。このコラムも、今回が今年最後の更新です。

一年を終えるにあたり、昨年末のコラムを読み返してみました。

20代の後半はなんだかあくせくしていたけれど、どんどん来る各駅停車にとりあえず乗ることをやめて、快速特急を待ってみたい。自分の好きなことを深めつつ、あえてチャンスを待てるようになりたい……そんなことを綴っています。

当時紹介した“Luck Is What Happens When Preparation Meets Opportunity”「幸運は準備ができた人にのみ訪れる」というフレーズも、とても大切な言葉のまま。まさに今朝だって、友達にちょうど「この言葉がすごく好きなの」なんて話をしていました。

つまり、自分の芯のところは、まったく変わっていません。でも、一年前に望んだ状況は、目の前にある。肩の力を抜いて待つことは、私の“当たり前”になりました。

19歳の私がした“予言”

このあいだ、中学時代からの親友と4人で集まったんです。そのうちの一人が、つけている日記を読み返したそうで。浪人時代、みんなで母校の学園祭に遊びに行った日の内容について、教えてくれました。

私たちは、お世話になった先生に受験勉強について励まされて「お前らは将来なにをやりたいんだ?」と聞かれたんですって。先生は続けて、友達のカナコに「お前はアナウンサーなんか向いてるんじゃないか?」と言い、カナコは「いやいや~」と流したらしく。で、その日のカナコの日記に、なぜか私たち3人がコメントを寄せていたんです。

「カナコがアナウンサーになったらいいって言われて、悔しかった。私も絶対なるぞー!」――19歳の私は、そのページにこんなことを書いていました。

コメントを書いたこともまったく覚えていないし、そもそも当時、別にアナウンサーになりたいなんて思っていなかったのに……。親友たちが「前から思ってたけど、みんみんってそう。叶えるって決めたことは、確実に叶えるよね」と、言ってくれました。もしかして、このとき書いた気持ちが深層心理に残り、知らず知らずのうちに、自分をアナウンサーに近づける道を選んできたのかな。

やってみたいことをなんとなく口に出すのも、幸運を待つ準備のひとつなのかもしれませんね。

好きなことを伸ばす“お暇”

さて、2020年はどんな年にしましょう。

今年ハマったドラマ『凪のお暇』じゃないけれど、ここらで一回、いままでの自分からお暇(おいとま)するのもありだなぁと思っています。社会人として、自分の気持ちがおもむくままに動くのは、よくないことだと考えていました。でも、そんなふうに言い続けていても面白くないな、って思えてきたんです。

たとえば、仕事のペースをゆるめて、好きなことをもっともっと深めてみるのもいいですね。これまでも「アナウンサーなのに尖ったお洋服を着る」「アナウンサーなのに個展をひらく」というふうに、自分の好きなことと女子アナのコントラストを楽しんできました。来年からは「アナウンサーなのに」なんて枕詞も感じさせないくらい、さらにのびのびと活動できたらいいな、と思います。

自分ではなく、人のために頑張るのもいい

だけど、人のためにも頑張れる一年にしたいです。

ここ数年は「自分の人生をどうしていこう」とか「もっといい人間になるためには、どうしたらいい?」なんて考えている時間が、とても多かったように思います。むしろ考えすぎて、このアクションをとったら何を得られるか、自分はどう変わるのかということが、よくわからなくなったりもして……。

そんなときは、自分への影響ではなく、周りに目を向ける。目の前の人が喜んでくれるなら、なんでも素直にやればいいと思えるようになりました。

著書のお話をいただいたときもそうだったけれど、つい「私なんかでいいのかな」と思ってしまうんですよね。このマインドはなかなか抜けません。でも、いろんなありがたいお話をいただくうちに「私なんか」なんて言っている場合じゃなくなってくるんです。

「私でいいでしょ、エッヘン」なんて、一生なれない。でもその代わり「この人のために頑張ろう」「こんな私でも、一生懸命やれば周りのためになれるかも」って考える。そんなふうに自分を鼓舞しながら、なんとかやっていきたいですね。

あっ、最後にもうひとつ。以前お仕事でお会いした占い師さんに「古谷さんは、2019年か2020年に絶対プライベートで“いいこと”があります」って言われているんです。どうなるでしょうか?
引き続き“Luck Is What Happens When Preparation Meets Opportunity”で、頑張ります!

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
ライター・編集者 1987年の早生まれ。雑誌『走るひと』副編集長など。パーソナルなインタビューが得意。紙やWeb、媒体やクライアントワークを問わず、取材記事やコピーを執筆しています。趣味はバカンス。好きなバンドはBUMP OF CHICKENです。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。