telling, Diary ―私たちの心の中。

「私はフェミニスト」とは言えない私だけど。

最近、ネットをにぎわせた「一重まぶた」をめぐる論争。その中で”炎上”したあるツイートをきっかけに、「フェミニズム」という言葉について考えさせられました。本当は分かり合えるかもしれない人々が、「フェミか」「フェミじゃないか」で分断させられているとしたら――大事なのは安易な「線引き」をしないことなのではないでしょうか。

女の努力は男のためのもの、という勘違い

最近、ネットで話題になった「一重まぶた」論争の中で、次のような趣旨のツイートが話題になっていた。

「日本人男性の約7割が一重まぶたもしくは奥二重の女性が好きといわれいてる。一重まぶたの女性はもっと自信を持ってほしい」

男性のものと思われるアカウントによって投稿されたこのツイートに、友人のギャルが怒りを表明していた。

「女の努力は全部俺らのためのものって勘違いしてる男、世界で一番許せない」

かっこいいなぁと思って、LINEで「素敵な考え方だね。フェミニストのよう」と伝えた。彼女からの返信は「え、そうなの?私ってフェミニストだったんだ。よくわからないけどこのツイートは腹が立っただけ」。

反省した。別に「あなたはフェミニストね」なんて言う必要はなかったな。ラベルは関係ない。彼女の素敵な考え方をストレートに讃えるだけでよかった。

かくいう私も「私はフェミニストです」と誰かに言ったことはない。ただ、自分や身の周りの人たちが受けたセクハラやパワハラ、女性蔑視の態度やふるまいについて当事者たちの話を聞き、意見を言い合い、自分や彼女たちがどんな行動をすれば少しでも救われるかを考えることはする。それを「フェミニストだ」「フェミ的思想だ」というのであれば、そうなのかもしれない。

でも、私自身はできれば肩書を背負わずに物を考える方が気持ちが楽だ。

「フェミニスト」という言葉に抵抗がある人へ

以前、知り合いから「あなたはフェミニストになるためにどんな勉強をしているの?どんな本を読んでる?」と聞かれたことがあった。

「フェミニストになるための勉強」というのを,私はしていなかったので、「とにかく周りの人たちと会話している。みんながもやっとしていることや体験を深く深く話し合い、時々それをテーマに記事を書いたりもしている。話題の本を読むこともある」と答えるとそれきり返事はなかった。

何かまずかったのかもしれない。その人の期待している答えではなかったのかも。

何かを学ぶ、というのに有効なことの一つに「読書体験」がある。自分の中の割り切れない感情に答えを出すためのヒントが落ちていたり、そもそもその感情ごと吹っ飛ばすような威力を持っていたりする。

ただ、ジェンダーに関する書籍を1冊も手に取ったことのない友人ギャルが、くだんのツイートに対して抱いた感情も、私は大切にしたいと思う。

彼女がウン十年生きてきた中でぶつかった悔しいこととか、解せない経験から導き出した「哲学」を「それ、俗に言うフェミってやつだよ」なんて安易な言葉に押し込めることはしたくない。

吐き出してくれた感情に、「はいこれどうぞ」と何かしらの書籍を手渡すだけで解決もしたくない。

なぜ怒りが込み上げてきたのか、そもそもなぜあのツイートは生まれたのか、丁寧に丁寧に話し合って意見しあって。書籍を手にするのはそれからでも遅くないのではないかと思う。
誰かの大切な大切な経験を聞かせてもらえることは、書籍の情報に近いくらい価値があるとも思う。

「本を読んでなくてもいい」と言いたいのではない。ただ、1冊も本を読まずとも、フェミニストと名乗らずとも、女性たちが抱いている「違和感」にたどり着く人もいる。そしてその人たちが声をあげたり感情をあらわにすることは、誰にもとがめられることではない。

「ジェンダー」とか「フェミニスト」とか、言葉にちょっと抵抗がある人へ。
あなたの抱いた気持ちに正解も不正解もないよ。傷ついたとか、もやもやしたとかいう事実を「それはフェミです」「フェミではありません」と線引きなんてしないよ。
信頼できる友だちと共有しあえたらよいけど、もしもそういう人がいなかったら、この場所で吐き出してくれても嬉しい。書いてみたら整理ができるかもしれない。一緒に考えることもできる。

それでも気持ちが晴れなければ、次はぜひ本屋さんへ。心を押し上げてくれる栄養ドリンクがずらりと並んでるから。

フェミニストでも、ジェンダーのプロでもないあなたやわたしかもしれないけれど、私たちの体験は誰にも侵されない私たちだけのもので、あなたがとても勇気ある素敵な人だってことは私たちがちゃんとわかってる。

現在肩書き無し。30歳の夏、港区での彼氏との同棲を解消、同時に8年マネージャーとして勤務した芸能事務所を退社する。ライター業ではお笑いやサブカルチャーに関するコラムをwebサイトに寄稿など。
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