遅咲き上等!

「男はずっと嫌いだった」自撮り熟女マキエマキさんが“それでも脱ぐ”理由

貝殻ビキニやレースの下着、海辺からさびれたホテルの一室まで、様々なシチュエーションの中セクシーなポーズでカメラの前に立つのはマキエマキさん。すべて、マキエさんの自撮り写真だ。 セクシュアルな世界観の作品ながらも、意外にも男性嫌いを公言している。40代をすぎてのチャレンジや世間の反応との向き合い方に迫った。

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ロケハンも衣装集めもすべて自前

「男はずっときらいでした。男はバカで気持ち悪いモノだと思っていた」
そう語るのは、自撮り熟女としてSNSで話題のマキエマキさん。

撮影場所のロケハンも、衣装集めも、すべて自前。ポーズも自分でセクシーに見えるような角度を決める。
彼女がこうした刺激的な自撮り写真の活動をはじめたのは2015年ごろから。facebookに投稿した仲間との「セーラー服姿の写真」がきっかけだ。飲み会のおふざけで着用したセーラー服での写真は意外にも好感触で、心に火がついた。

「で、セーラー服の次がもうこれ、貝殻ビキニです(笑)」

(C)マキエマキ

昭和の古き良きポルノ映画ポスターのオマージュのような作品でありながら、マキエさんがポリシーとしているのは「客体的でない、主体的なエロス」だという。その表現の根底にあるのは20代から抱いてきたジェンダーへの抑圧だった。「男の人ってね、主体的なエロスを怖がるんですよ。私の写真を見て叩く人っていうのはだいたいそういう人たちです」

(C)マキエマキ

主体的なエロス。異性を喜ばせることを前提としたエロではなく、自分自身の中にあるセクシュアルな気持ちの表現。そもそも女性にそんな感情があるということが信じられない、ましてやそれを自ら表立って形にするわけがないだろう、という考えの男性は、このマキエさんの堂々とした姿にひるんでしまうのだと言う。

自信がなかった20代

20代の頃はコンパニオンをしていたマキエさん。容姿を(男性向けに)商売にする職業を、なんとなく続けていることにもどかしさがあった。自分が何者でもないということ、若さと容姿という不安定なものの上に成り立っている生活。「自分が自分を信じていなかった」とマキエさんは言う。

そんな中、転機が訪れる。元々趣味だった写真を「仕事にしたい」と思い立ち、とある写真家の弟子になった。その後独立し、商業カメラマンとしてのキャリアがスタート。30代には人物インタビューや旅行雑誌などで活躍することとなった。
「自分の足で立てるようになってようやく、20代の頃の漠然ともやもやしていた気持ちがなくなり、自信がでてきました」
40代に突入すると、それまでずっと抱えてきた男性へのぬぐいきれない嫌悪の感情や、男性主導の性表現についての反骨感情が、自撮り活動で少しずつ解放されていくようになる。

男性のために脱ぐんじゃない

「(男性が嫌いだと公言する私に対して)男に消費されることが嫌だ、というくせになんで嬉しそうに尻を出しているのか、と言われることあります。でも、私が脱ぎたいから脱いでいるだけ。男の人に言われて脱ぐわけじゃない、誰かのために脱ぐわけじゃない。これは自分が昭和、平成を生きてきた中で向けられてきた、男性からのいやらしい目線への抵抗なんです。」

日本のアダルト作品でよく取り上げられる「女性が抵抗する」シチュエーション。嫌がっているのに、強引に……。そうした、異性の目線による「脱ぎ」に一石を投じたかった。

写真集を出して世間の反応が変わった

2019年2月、集英社より写真集『マキエマキ』を発売、SNSでの自撮り写真には女性からの支持のコメントも多く、6月に開催したイベントにも男性だけでなく多くの女性が来場した。

「写真集を出してからようやく、世間の反応が変わってきました。写真をやっているというと集まってくる、『俺が写真たるものを教えてやる』みたいな変なマウンティングおやじも減ってきましたよ」

男性に消費されるだけの女性性についてずっと疑問を抱いてきたマキエさん。それでも「女だから男に負けない」という姿勢のフェミニズムには苦手意識があった。言葉で真っ向勝負を挑むわけではなく「イロモノで結構」と開き直り、作品を発表しつづける。自分が脱ぎたいから脱ぐんだ、そう決めて活動をしてからの方が、直接的に男性に嫌悪感を示していた頃よりも強くなれた。その姿に女性ファンは勇気づけられている。
他人からどんな視線や言葉を投げられようと、自分で自分をおもしろがること、「私のエロは私が決める」その思いで、マキエさんはますます“遅咲いて”いく。

現在肩書き無し。30歳の夏、港区での彼氏との同棲を解消、同時に8年マネージャーとして勤務した芸能事務所を退社する。ライター業ではお笑いやサブカルチャーに関するコラムをwebサイトに寄稿など。
20~30代の女性の多様な生き方、価値観を伝え、これからの生き方をともに考えるメディアを目指しています。
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