注目映画「ボストンストロング」 “ダメ男”再起の物語。
●PeLuLu×telling,
全米を感動させたヒーローはちょっと“ダメ”な奴
ボストンで暮らしていたジェフ・ボーマンは、元恋人エリンの愛情を取り戻すため、彼女が出場するボストンマラソンの応援に駆けつけるが、ゴール地点付近で発生した爆弾テロに巻き込まれ、両脚を失う大ケガを負ってしまいます。意識を取り戻したボーマンは警察に協力し、ボーマンの証言をもとに犯人が特定されると、ボストンストロング=新しいヒーローの誕生として脚光を浴びますが、耐えられない傷と受け入れられない現実に苦悩します。自分の無力さと不甲斐なさに絶望する中、本当の強さと勇気の正体を見出していきます……。
過剰にドラマチックに描くことを避け、人間くさい“フツウの男”の愛と再生のドラマは、誰もが共感せずにはいられません。
ジェイクが挑んだ“フツウの男”
本作品の主人公であるジェフ・ボーマンを演じるのは、メジャーからインディペンデント映画まで縦横無尽に活躍する実力派俳優のジェイク・ギレンホール。近年の出演作では個性的な役柄がつづいていますが、本作品では身体と精神に大きな傷を追った普通の男を熱演。義足を装着し、ジェイク史上最もチョイダメで平凡な男が最大の試練に立ち上がる姿が描かれています。「カリスマ性があるだけじゃなくて、とても愛情にあふれていて、ユーモアのセンスがある。同時に奥底に深い闇もあるね」と語ったジェイクは、実際のジェフと時間をかけて交流し、モノマネではなく、根底にある人間性や弱さまでも繊細にすくい上げました。
“フツウの物語”だからこそ共感できる!
この映画の冒頭で主人公のボストンは、朦朧とした意識のなかで、両脚を失った真実を粗野な友人の雑な作法で唐突に告げられます。それでも失くした足のジョークを飛ばすぐらい強くしたたかで、この映画の原題「Stronger』を体現するような人物として描かれています。
しかし、他者から“強さ”を強いられるほど、主人公のボストンは弱さを露呈していきます。「人は強くもあり弱くもある」という当たり前の事実に気づくことによって、主人公は初めて前を向いて歩きはじめます。
考えてみれば、それは映画の外にある私たちの人生そのもの。主人公と同様に、「人間の弱さと強さ」に、いま一度向き合うキッカケを与えてくれるかも。本作品を、ぜひ映画館でお楽しみください。
- ●「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」 TOHOシネマズシャンテほか全国で順次公開中。監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン 脚本:ジョン・ポローノ 原作:ジェフ・ボーマン、ブレット・ウィッター『STRONGER』 出演:ジェイク・ギレンホール、タチアナ・マスラニー、ミランダ・リチャードソン、クランシー・ブラウン 配給:ポニーキャニオン