【ふかわりょう】不都合な真実
●ふかわりょうの連載エッセイ「プリズム」02
不都合な真実
畑仕事を一切せずに収穫された果実を頬張っているようで非常に申し訳ないのですが、甥や姪が可愛くて仕方ありません。ここまで育てるのもさぞ大変だったでしょうに。そこら辺の苦労をすっ飛ばして、「可愛さ」だけを享受できるのは、無責任な伯父の特権。
2人の兄のおかげで、甥や姪たちと触れ合う機会があるのですが、あまり子どもに強い関心を抱いていない私でも、孫と遊ぶおじいさんのように何でも言うことをきいてしまいます。そんなふうに彼らと接していて感じることがあります。それは、「男って、ほんとバカだな」ということ。
小学生の甥と、ひとつ下の姪。彼らのやりとりは、微笑ましいと同時に、男女の違いを痛感します。女の子の方が断然大人。甥は、額面どおりの小学生なのに対し、姪はすでに「女性」として扱わなければならない雰囲気をまとっています。40を過ぎた伯父に対して「りょうくん」と呼んできたり、甥と接するときとは違う筋肉を使うのです。女性の方が精神年齢は高いと言いますが、年下の姪の方が俄然お姉さんのよう。
嬉しそうにドリンクバーから2つの飲み物を持ってきた甥。誰かに渡すのかと思いきや、その2つのコップを口に近づけ、同時に飲み始めました。オレンジジュースとアイスコーヒー。無邪気といえばそうかもしれませんが、あまりに幼稚な発想と行動に、笑ってしまいました。
「それ、おいしいの?」
「まじ、ちょーうまい!」
「絶対まずいよ、それ」
姪の冷ややかな視線。私も小学生の頃はこんな感じだったかもしれません。もっと言うと、男って、ずっとこんな感じなのです。男はいつまでたっても子ども。2つのコップが別の物に変わっただけ。ご存じの方も多いでしょうが、男は、いつまでたってもバカなのです。
こんなだから、女性がしっかりしてきたのか。女性が甘やかすからこうなってしまうのか。いずれにしても、大人の男なんていないと思った方がいいでしょう。少年の心を持った大人、なんて単なる言い訳。男はみんなバカで、バカだからここまでやってこられたのです。
でも、そんなバカな男が好きなんですよね? バカでどうしようもない男が好きなんですよね? 私はそう信じています。真相はわかりませんが、このバカな男たちを面倒見られるのは、あなたしかいないという真実。どうかこれからもよろしくお願いします。
タイトル写真:坂脇卓也