花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか。

花屋さん、今日はどのお花がおすすめですか。―01ビオラ―

そこにあるだけで、癒しをくれる花。贈りものとしての役割が大きくて、ついつい“特別なもの”と思ってしまいがちですが、たった一輪、暮らしの中に飾るだけでいつもの空間がやさしくなる気がします。花のある“ちょっと幸せ”な日々。そんなフラワーライフをお助けしてくれるステキな花屋さんをお訪ねして、おすすめの花をお聞きしていくコーナーです!

 花を飾るには、器だってコスメの空き瓶や、お気に入りのマグカップなんていうラフなものでもまったく問題なし。ゆるやかに変化する色合い、やわらかな茎のライン、光に透ける葉脈や花びらのしなやかさ、ほのかに漂う香り。そうした魅力はただのモノにはない、花が生きている植物だからこその魅力です。仕事帰りに花屋さんに寄って、花を選んで、一緒に家路に着くところから心弾むひとときがはじまります。

小さな平屋の花屋さん「北中植物商店」

 都内はもう桜も満開を過ぎつつありますが、今回のお花屋さんにうかがったのは、パラパラと雪も散らつく2月下旬。東京は三鷹にある「北中植物商店」は、花を担当する小野木彩香(おのぎ・あやか)さんと、造園など庭づくりを担当する北中祐介(きたなか・ゆうすけ)さんご夫婦のお店です。店はなんと、今どきはめずらしい平屋造り!

 平屋の横手には川が流れ、その向こうには緑豊かな公園が。鳥の声も聞こえたりしてのんびりとした空気が漂います。靴を脱いで上がると板張りの廊下があって、そこには小野木さんのセンスで選ばれた季節の花々が並びます。

 そしてその横には畳の和室!

 和室にはハーバリウムやドライフラワー、花のヘアアクセサリーなど小野木さんが丁寧に手づくりした花のアイテムが、古い日本家具の上に品よく配置されています。

 畳に座り込んでじっくりゆっくり選ぶことができて、癒やし度MAX! 小野木さんの明るい人柄もあって、いつも必要以上に長居してしまう……反省。さてさて、小野木さん。今日はどの花がおすすめですか?

和室の入り口にはヤドリギのドライ。黄色の水晶みたいな実ものがきれいです。ちなみにヤドリギの下でキスをした男女は結ばれる……なんていうロマンチックな神話があったりします。

今日のおすすめは「ビオラ」!

 フリルのようなヒラヒラとした花びらがかわいいビオラ。1月下旬から4月頭ごろまで花屋さんの店頭をカラフルに彩っています。紫色を見かけることが多いですが、小野木さんのイチオシは黄色。明るい色合いが春らしくて、元気の出る感じがおすすめの理由です。

花びらに入っているラインもキュート!
横から見た姿だって愛おしい。

 しかし、小野木さんがビオラをおすすめする理由は可愛さではありません。この花、見た目はこんなに儚(はかな)げなのに、実は意外に強い子なんです。

 よ〜く見てみてください。右側に蕾(つぼみ)がついているのがわかりますか? ビオラには1本の茎にこうしていくつか蕾がついていることが多くて、咲いている花がしおれてきたら次の蕾が咲いて……というように、次々花が咲くので長い間楽しめるんです。これも、小野木さんがビオラをおすすめする理由のひとつ。

生けても、押し花にしても

 わりと平たい形をしているので、押し花にしやすいというメリットもあります。花だけにしても、茎を残して押してもきれい。

 1本だけ飾ってもかわいいですが、ほかの花と組み合わせてもステキです。

 あわせた花は白のラクスパーと紫のビオラ、もふもふした毛がかわいいラグラス。ガラスのピッチャーにざっくりと生けるだけで絵になります! 鮮やかな黄色が部屋のなかに春を連れて来てくれるようで、心がパッと明るくなる気がしました。黄色のビオラ、いいなぁ。

不動産の営業から、花屋さんに

 黄色のビオラをおすすめしてくださった小野木さん、実はもともとはまったく花に興味がなかったそう。不動産の営業として働いていた21歳のときに「逆に興味のないことをやってみよう」と思い立ち、近所のフラワーアレンジメント教室に通いはじめました。料理でもなくピアノでもなかったそのワケは、当時はネイルにハマっていて、そのネイルを辞めないでもできることだったから。意外な理由……!

店の前でパシャリ。明るくてやさしい小野木さんとのトークも癒し。雪がやんだばかりの屋外でかなり寒そう……ご協力ありがとうございました!

 はじめは店舗を持たないスタイルでスタートし、自宅の平屋をアトリエにして生け込みやワークショップ、イベント出店などを行っていました。そして数年経ったある日、自宅の近くにご主人が越してきました。そこから知り合って、ご結婚。庭の仕事をしていたご主人と共同経営の「北中植物商店」を自宅の近くに借りた平屋でオープンさせたのが3年前の話です。まさに運命。そうしていまのレトロかわいい花屋さんが生まれたのでした。

 小野木さんは花束の書籍を出したり、最近では花の定期便「はないろあそび」という新しい取り組みもはじめられたりと、花の魅力を伝えることにも意欲的です。「はないろあそび」は毎月花が届くだけでなく、届いたあと花束にして飾る方法や、プロカメラマンによる撮影のコツまで掲載されたペーパーがつくのが個性的。届けて終わりではなくて、届いたあとの楽しみも提案したい想いから生まれたおもしろい発想です。

 小さな盆栽や鉢ものも季節によっていろいろ。ミニ盆栽、最近気になります。買って帰りたい衝動をこらえて取材は終了しました。

 ということで、今回は「北中植物商店」の小野木彩香さんに、春の花「ビオラ」をおすすめしてもらいました! 次はどんなお花屋さんで、どんな花に出会えるか。「今日はどのお花がおすすめですか」を聞きに、これからも花屋さんを訪ね歩きます。

●今回お訪ねした花屋さん

「北中植物商店」東京都三鷹市大沢6-2 http://www.kitanakaplants.jp/

編集者。台湾に心奪われ隙あらば旅に、あげく勤めていた出版社を辞めて台北に語学留学。台湾や植物関連の書籍制作に携わる。ラブ台湾、ラブ植物!