NISAを始める前に知っておきたい投資のキホン
ノートで学ぶマネーの「常識」 FP fumicoの“Live colorfully”#48

【FP fumico】新NISA開始へ 資産運用の3大原則を知ろう

来年始まるNISAの新制度に向けて、投資初心者だけでなくすべての人が押さえるべき資産運用の3大原則があります。始める前に知っておきたい投資のキホンを、「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、主に20~40代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさんが、インスタでもお馴染みの手書きのノートとともに解説します。
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資産運用の3大原則

覚えておきたい「長期・積立・分散」

投資は貯蓄と違ってお金が減る可能性もあることは、みなさんご存じかと思います。その可能性をなるべく小さくできるのが、今回ご説明する「長期・積立・分散」の3大原則を守った投資スタイルです。

ちなみに、長期・積立・分散の反対は「短期・スポット・集中」。短期間で儲けようとして1社の株式に全財産を突っ込むようなやり方は、失敗した時の損失が大きく、万が一成功したとしても再現性は極めて低い。まさに“ギャンブル”といえます。
これから投資を始める方だけでなく、既に始めている方も、長期・積立・分散の3大原則は常に意識しておいてくださいね。

ドル・コスト平均法とは?

少額でコツコツ、悩まず続ける積立投資

投資信託については「♯8 つみたてNISAで『分散投資』を味方に!」「♯9 意外と知らない『資産運用』の“入口”」でご説明していますが、復習しておきましょう。
投資信託は、投資家から集めたお金を、日本国内や海外(アメリカ・世界全体・先進国・新興国など)の株式・債券・不動産・金(ゴールド)といったさまざまな商品に分散投資し、そこから生じた収益を投資家に分配する仕組み。少額でも分散投資できるのが強みです 。

新しいNISAでは、「生涯投資枠」1,800万円のうち、現行の一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」は1,200万円が上限とされていますが、つみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」については上限がなく、1,800万円すべてを積立投資に使うこともできます。このような点からも、国が「なるべく積立投資でお金を増やしてもらいたい」と考えていることが分かります。

積立投資であれば最初にタイミングと金額を設定しておけば、自動で購入手続きができますし、金融機関によっては100円から始められる。「投資にはたくさんのお金や時間が必要」と身構える必要もありません。

私自身、積立投資の良さを実感しています。最大のメリットは、「気にしなくていい」こと。我が家では、投資信託の積み立て以外に投資信託のスポット購入、個別株などの投資をしています。株式投資は、いくら長期目線でしていても、決算発表の時期や経済情勢に関する大きなニュースがあった時はソワソワして株価の動きが気になってしまいますし、投資信託をスポット購入した後に基準価額(投資信託の値段)が下がると「もう少し待ってから買えばよかった……」とガッカリ。

一方、投資信託の積み立てであれば購入のタイミングを毎回、自分で決めるわけではないので、「あのタイミングで買っていれば……」「あの時に買っていなければ……」と悩む必要がありません。
これは投資を続ける上では大きなポイント。2024年からのNISAは制度が恒久化され、長く付き合っていく仕組みになります。精神的な負担を小さくできれば気持ちが楽になり、投資のハードルが格段に下がります。

投資信託

気をつけたいのは投資信託のコスト

個人で株式投資をする場合、状況を判断するための知識や情報収集が欠かせませんが、投資信託であればプロにお任せ。その分、手数料が掛かります。
信託報酬は、ファンドによって異なります。アクティブファンドではファンドマネジャーと呼ばれる専門家が、投資先の企業や経済情勢を調査・分析して投資タイミング等を決めるため手間が掛かり、信託報酬が高くなりやすい。

例えば、インデックスファンドであれば信託報酬が年率0.1%を切るものもありますが、アクティブファンドには2%近いものも。2%ならそれほど高くないと感じるかもしれませんが、長く持てばそれだけ負担する手数料も増え、運用成績に大きな影響を与えます。アクティブファンドを選ぶ場合は、手数料に見合うだけの運用成績を残せているか、どのような基準で投資先を選んでいるかなどをしっかり確認しておく必要があります。

購入時手数料についても、掛からないファンドもあれば、3%以上掛かるものもあり、スタート地点から差が付いてしまいます。「つみたて投資枠」で購入できる投資信託は、ノーロードであることが条件となっていますから、この中から購入するファンドを選んでみるのもオススメです。
ファンドの特徴や手数料などについては「目論見書」という投資信託の“設計書”に書かれていますので、購入前に確認しておきましょう。

複利効果

「雪だるま方式」の複利は時間を掛けて

「雪だるま方式」について、実際に計算をしてみましょう。
元本100万円、金利5%(年率)の場合、単利であれば利息の額は100万円×5%=5万円。これは、何年経っても同じです。

一方、複利の場合、1年目の利息は100万円×5%=5万円で単利の場合と同じですが、2年目には最初の利息が元本に組み入れられるため、105万円×5%=52,500円の利息に。3年目には1,102,500×5%=55,125円……と毎年少しずつ利息の額が増えていくのです。最初は小さな雪玉が、時間を掛けて転がしていくうちに大きな雪だるまになるのと似ています。

SNSで見かけた家計管理方法をまねてみたものの、長続きしなかったという経験をお持ちの方もおられるかもしれません。投資も同じで、無理せず自分のペースで続けるのが一番です。面倒くさい・難しいことは誰であっても続きません。難しいことをするのが投資だと思う必要もありません。シンプルな仕組みでなるべく長く続けるのが、投資と付き合っていく上での最大のコツ。このことは強調しておきたいです。

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、12月22日に公開の予定です。

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『NISA&iDeCoはじめます! ファイナンシャルプランナーが教える 正しいお金の向き合い方』

著者:FP fumico
発行:KADOKAWA
価格:1,650円(税込)
FP fumicoさん初の著書が12月1日に発売されます。まとめノートと会話形式でスッキリ理解できる! 「3つの原則」で挫折しない! ファイナンシャルプランナーが教える、「お金と人生」に向き合うための、納得のNISA・iDeCo入門書です。

CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。