およねの美味しいさじ加減 #2
およねの美味しいさじ加減 #2

「小1の壁」で母子ともに八方ふさがりに。「夫の無職」ですべてが変わった!

35歳のとき、夫の無職をきっかけに「自分軸で生きる」と決め、料理動画の投稿を始めたおよねさん。インスタグラムに投稿した「肉巻きおにぎり」の動画が再生回数2500万越え、レシピ本「禁断の爆速ごはん」を出せば即重版と、現在は「爆速レシピクリエイター」として活躍しています。この連載では、紆余曲折あったおよねさんだからこそ見つけられた、人生が美味しくなるヒントをお届けします。今回はおよね家が直面した「小1の壁」から、キャリアと家庭の両立についてお話ししたいと思います。
35歳、「どん底」だった2児のワーママが30万フォロワーの“爆速レシピクリエイター・およね”になるまで 【レシピ】食べたら絶対 しいたけシューマイ

前回は、私が爆速レシピクリエイターになるまでの山あり谷ありをお話しました。なかでも私にとっての「どん底」は、2021年の秋。夫が体調を崩して会社を退職、ちょうど私自身も資格試験の勉強のために業務委託の仕事をお休みしていて、いきなり夫婦そろって収入ゼロに! じつはあの年、我が家でもう一つ大きな事件があったのです。ズバリそれは、長女の「小1の壁」。

繊細な娘が気がかりで三度の転職

第一子である長女を出産したのは28歳の時。それまでベンチャー企業で毎晩遅くまで働いていた私は、育休中、毎日家で育児に専念する日々に、自分の社会的価値が下がっていくような焦りを感じていました。認可保育園へ入るための点数稼ぎもあって、子どもが1歳になる前にベビーシッターに預けて復職。にもかかわらず、その後、ワンオペ育児と激務に限界を感じて事務職に転職したのは前回お話したとおりですが、じつはもうひとつ理由がありました。それが、繊細な娘のことでした。

夫と長女(本人提供)

娘は新しい環境や人に慣れるのにとても時間がかかるタイプ。保育園にお迎えに行くと、他の子はお友達と遊んでいるのに、娘だけ毎回保育士さんにおんぶされ、あやされていました。もちろん毎朝登園拒否。クラスが替わる毎年4月はとくに激しく、泣きすぎて吐いてしまうほどでした。
娘が気がかりなのもあって残業のない事務職になったものの、32歳で第二子となる息子を出産し、相変わらずワンオペ育児で生活に追われていた私。もっと子どもと向き合いたい、でもキャリアも捨てられない、と常に葛藤を感じていました。その後、希望部署への異動がコロナ禍で白紙になったことをきっかけに退職。社会保険労務士の資格勉強をしつつ、平日3時間ほどの自宅でできる業務委託の仕事をすることにしました。

分厚すぎる「小1の壁」、親として必要だったのは……

そして、2021年4月。とうとう長女が小学校に入学しました。心配していたとおり「学校に行きたくない!」と全力拒否で、毎朝なんとか説得して教室まで送り届ける日々。授業にもついていけず、計算ドリルを買ってきてつきっきりで勉強を見たり、家庭教師をつけてみたり……。ところが、私が焦って無理にやらせようとすればするほど、娘はストレスを感じて大爆発。親子関係がどんどん悪化していきました。
通うはずだった学童も諦め、やっと学校に行ったと思ったら授業後すぐに帰ってきて、そのあとは私にべったり。資格の勉強もなかなかできず、「今年の合格は無理だな」「自分の思い描いていたキャリアは積めないんだ……」と私自身も追い込まれていきました。

転機となったのは、夫が無職になったこと。娘にばかり構っていられなくなり、やむを得ず放任していたら、本来の力を発揮できるようになったのか、テストの点数が上昇。親子関係も自然と良好になっていきました。今となって思えば、新しい環境でボロボロに疲れていた娘に、「もっと頑張れ」と追い打ちをかけていた私……。あの時、本当に必要だったのは、家が娘の安らぎの場所になるように、どーんと大きく構えて、寄り添い、見守ることだったのだと思います。

その点で、私が在宅仕事で裁量労働制のフリーランスだったことは不幸中の幸いでした。会社員時代であれば、行き渋る娘の気持ちが落ち着くまで待つ、ということはできず、「もう会社に行かなきゃ」とイライラして、もっと娘を追い込んでいたと思います。また、「家に帰れば絶対にママがいる」というのも彼女の安心材料になったようです。さらに、放課後、クラスメイトと遊ぶときに「うちに来てもいいよ」と言える環境だったのも大きかった。人見知りの娘も自分の家でならくつろげ、自然と友達との仲が深まり、その子に会いたいから学校に行く、という好循環を作ることができました。

1社目の激務から逃れるために転職した私ですが、じつは1社目と2社目でワ―ママ(ワーキングマザー)のしんどさはほぼ変わりませんでした。会社に決められた時間通りに働き、それ以外は育児・家事でみっちり。自分を癒やしたり、これからのことを考える「余白」が全くなかったのです。
自分で仕事の量や時間を決められるフリーランスになってはじめて余白ができ、娘と向き合って、料理動画にも挑戦することができました。性格や家庭状況によっても違うと思うので、皆さんにフリーランスを勧めるわけではありませんが、行き詰まった時にはちょっと勇気を出して環境をガラッと変えてみると、新しい道が開けるかもしれません。

齋藤大輔撮影
齋藤大輔撮影

私と違う視点の夫だからできる子育て

さて、現在娘は小学校3年生に、息子は5歳になりました。二人の性格は真反対。慎重で口癖が「怖い」の娘は、ハトがそばを歩いているだけで固まりますが、無鉄砲で好奇心旺盛な息子はハトの群れに自ら突っ込んでいきます(笑)。娘の性格は夫譲り、息子は私に似ています。どちらに対しても「小1の壁」のときの反省を生かして、あれこれ口出しせずに見守るというのが我が家の育児方針ですが、先日、こんなことがありました。

明日の日直当番で失敗したら怖い、行きたくない、とぐずる娘。なんとかなだめて登校させ、帰宅後に「日直どうだった?」と聞くと、ケロッとして「うん、大丈夫だった!」と。そこで夫がすかさず「ね、怖い怖いって言ってたけど全然大丈夫だったでしょ」と。夫は自分で乗り越える力があることを彼女に自覚させていたのです。ただ寄り添い、見守るだけじゃない、一歩進んだ自信のつけ方で「なるほどな~」と感心しました。
夫いわく、「自分の性格にそっくりだから、成功体験を積み上げることが力になることがよくわかる。自分が言ってほしいことを娘に言っている」とのこと。夫は働き過ぎで体調を崩して無職になったあと、自分のペースで働ける今の会社に転職したのですが、そのおかげで家庭の時間が増え、こうやって私とは違うアプローチで子どもをケアできるようになりました。あの時、谷の底で人生を夫婦一緒に見直せたのは子どもたちにとってもよかったなと思います。

……と、こうやって書くと、お互い支え合う仲良し夫婦って感じがするかもしれませんが、ノンノンノン!(笑)
次回は、夫婦のあまりの性格のちがいにケンカが頻発し、夫婦カウンセリングを受けた時のお話をしたいと思います。ご期待ください⁉

今回紹介するレシピは、忙しいワ―ママたちに捧げたい「しいたけシューマイ」。なんとシューマイなのに包みません! フライパンに材料を順にのせたら、あとは蒸すだけというのもおすすめポイント。なんせ、調理中も娘や息子が色々話しかけてくるので、ほったらかしの工程があるのは大事なんですよね。

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しいたけシューマイ
しいたけシューマイ(主婦の友社提供)

(トップ写真:本人提供)

35歳、「どん底」だった2児のワーママが30万フォロワーの“爆速レシピクリエイター・およね”になるまで 【レシピ】食べたら絶対 しいたけシューマイ

『禁断の爆速ごはん ここまでやっちゃう100レシピ』

著者:およね
出版社:主婦の友社
定価:1,595円(税込)

2児を育てるワ―ママ。「巻かない棒餃子」「フライパンで完結するとんてき」など、ささっとラクに作れてちゃんとおいしいレシピを発信。2021年から始めたInstagramやTikTokで一気に注目が集まり、現在SNSの総フォロワー数は約30万人。Voicyにて「およねの人生を味わうラジオ」を毎朝7時に放送中。著書に「禁断の爆速ごはん ここまでやっちゃう100レシピ」(主婦の友社)。
エッセイスト/ライター。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)2024年7月発売。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。