元テレ朝・竹内由恵さん “じゃあ今だ”と退社し 「すごく生きやすい」
移住後に出てきた「仕事への意欲」
――結婚後、一時は仕事を休まれていました。
竹内由恵: 結婚して静岡に行ったときは白紙の状態でした。専業主婦も視野に入れていた一方、仕事への思いもあって。ただ、静岡に住み始めてからの数カ月で仕事への意欲がすごく出てきたんです。立ち止まって考えることができたのでしょうね。だから、移住した半年後からフリーとして再スタートすることにしました。そこから半年ほどはラジオのレギュラーや、単発でのバラエティー番組などのお仕事をやらせていただいたりしたのですが、その後は妊娠・出産やコロナ禍があり、思うように仕事はできませんでした。その間に再び、仕事への向き合い方を考えられたのでよかったですね。
――出産後の仕事の進め方については、ご夫婦で話し合ったのですか。
竹内: 夫が心配性というか……。私は仕事をしたかったので、出産1か月後にイベントの司会をすることにしたのですが、夫は「乳飲み子を残して仕事に行くんだ」とショックを受けたみたいで。でも、その出来事は結果的にはプラスでした。私の仕事について話し合えましたから。私は「すごく働きたいけど、絶対に育児放棄はしない」と言えましたし、仕事の頻度や内容もその都度、相談することなども決めました。私の育児に対する姿勢についても夫は安心したいみたいで、今は「どんどん好きなようにやっていいよ」と言ってくれるようになりました。
「退社したことへの後悔はまったく無い」
――そんな仕事好きの竹内さんにとってはテレビ朝日を退社することは大きな決断だったのでは?
竹内: 新しいチャレンジをしたいと感じていたものの、辞める決断はできないという時期でした。本当に恵まれていて、当時は「報道ステーション」という大きな番組にも出演していましたし。その環境を捨てづらいと感じていたときに出会ったのが夫。結婚や夫の静岡転勤に後押しされて、「じゃあ今だ」と思って辞めたんです。
――同じくテレビ朝日のアナウンサーだった前田有紀さんは、局アナ時代を振り返って「暮らしを大事にできなかった」とインタビューなどで話しておられます。
竹内: 私もそうかもしれないですね。仕事ばかりの日々で、無我夢中。自分で選択するのではなく、ただ与えてもらった仕事を一生懸命やるようになり、工夫もしなくなっていました。もっと貪欲に、仕事でプラスアルファを出せるように努力していかなきゃいけないのに……。このままだと、自分も楽しくないし、仕事でも良いパフォーマンスできないと感じていました。今は気持ちにゆとりができ、様々なことを考えられるようになって、すごく生きやすいです。
退社したことへの後悔はまったく無いですね。前田さんはアナウンサーを辞めてフラワーアーティストへという道を選ばれました。私は前田さんにすごく憧れますし、素敵な生き方だと思いますが、メディアの仕事もすごく刺激があって、夢がある。「ここで頑張りたい」という思いが私は消えなかったので、フリーとして続けることにしたんです。
重要なのは“一歩踏み出すこと”
――小学館の「WEB Domani」で秋から連載を始められると聞きました。
竹内: ずっとエッセイを書いてみたい気持ちはあったんです。子育てがメインの身辺雑記の予定。子どもが寝ている間にカタカタとパソコンを打っているのが、今はすごく楽しいですね。
――竹内さんは退社されたり、静岡へ移住されたりと様々な決断をされました。一方、20代後半から30代前半の女性の中には「やりたいことが見つからない」「やりたいことはあるけど踏み出せない」という人も多い印象です。
竹内: 私も静岡に行って悩んだときに、これまでの技術を生かせる仕事に加えて、インスタでイラストや漫画を書いたり、珈琲の勉強をしたりを0から始めて。新たに学ぶことで、広がりや将来が想像できるようになったんです。何かを始めない限り、今後を展望することはできないと思うので、まずは一歩踏み出すことが大事だと思います。勉強を始めたり、いろんな人にアドバイスを聞いたりすることで、どんどん新たな夢が描けるようになると思います。
――ご自身の今後のキャリアは?
竹内: 再開した仕事を、しっかり頑張りたい気持ちが強いです。これまではテレビ朝日の社員だったから仕事をもらえていたので、今後は1からやらないといけない。だから今は、様々な仕事にチャレンジして、自分の可能性を広げたいと思っています。とはいえ家族との時間を大切にしたいので、夫に相談しながら、新しい働き方を引き続き模索していきたいです。
●竹内由恵(たけうち・よしえ)さんのプロフィール
1986年東京都生まれ。2008年に慶応大学法学部卒業後、アナウンサーとしてテレビ朝日に入社。「ミュージックステーション」「やべっちF.C.」「報道ステーション」などを担当し、19年に退社。現在はタレントとして活動している。