【皆川玲奈の人生S字クランク#03】椅子フェチだと気づいた3年前の北欧旅行の話
●皆川玲奈の人生S字クランク #03
毎年まとまった休みがとれる夏から秋に、今年はどこに行こうかなと考えるのが楽しい時間です。コロナ禍で国内旅行、ましてや海外には行けないのですが、今は写真を見返してその土地の空気を懐かしんでいます。
旅行は考えている時間から始まります。
旅先を決める時は、今までに行ったことがない国で期間は5泊7日まで。そのほかの細かいことは特に考えず頭に思い浮かんだ国名から直感で決めます。
かけ足でめぐった北欧4カ国
3年前は北欧に行ってみたい!と思いつき、ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・デンマークの4カ国を行けるところまでまわってみようとプランを立て始めました。
ぎゅぎゅっと1週間に押し込んだので、かなり駆け足。移動が大半になってしまいましたが飛行機、船、山岳鉄道、バスと移動手段も多様で乗り物好きには大満足です。
ノルウェーは壮大な自然で空気がおいしく感じました。教科書に載っていたフィヨルドは山肌が荒々しく、想像できないくらいの水深があり、山頂の永久凍土を見たときは少し怖さも感じました。
スウェーデンではノーベル賞の晩餐会が行われる市庁舎やバロック様式の宮殿をのんびりと歩きました。向こうではお茶の時間をフィーカと呼ぶそうで、お茶をするのが大好きな私は、カフェのテラス席が空かないかなと目を光らせていました。観光客と争奪戦です。
フィンランドといえば私にとってはムーミンの街。着いてすぐにムーミンカフェに走ってしまうところは本当に子どもっぽいなと自分でも思いますが、ヘルシンキでは親日の雰囲気を感じ、日本語で話しかけてくれるカフェの店員さんがいました。
デンマークは1年のうちでも雨が降る日のほうが多いそうで、私が行った日も傘をさすほどでもない小雨が降り続いていました。人魚姫の像が水際にあったのが予想外で、間近で見ようとしたらごつごつした石の上でつるんと滑りそうになりました。
北欧で撮った約800枚の写真、写っていたものは……
《もしかして椅子フェチかもしれない!》
そんな穏やかな時間を過ごした北欧旅行でこんなに好きだったのかと気づかされたものがありました。
800枚近い写真の中で、多く写っていたのがショッピングモールや空港、ホテル、カフェの椅子です。
北欧インテリアの人気は根強いですが、日本での北欧のイメージとはちょっと違うように感じました。
鮮やかな色使いで、一つひとつの形も異なり存在感があり、でも全体の調和も感じられる、その空間にいるだけでわくわくが止まらなくなるんです。
ショッピングモールの椅子がこんなに目立ち、そこそこのビジネスホテルの部屋に流線形が美しい紫色のソファがあるなんて!
目を引いた椅子に座ってみて、「これはいいなぁ」と言いながら、座り心地を確かめ写真を撮る、を繰り返し……。
インテリアショップに売っていた椅子の足の絶妙に細いラインが素晴らしく、買って帰りたい……いやスウェーデンから東京までの配送に一体いくらかかるんだろう、部屋には椅子がすでに3脚もあるしと、最後は現実に引き戻され、仕方なく目に焼き付けることにしました。
北欧に来てまさか、こんなにも椅子に惹かれるとは思いもしませんでした(笑)。
見たいものをみて、食べたいものを食べて、五感を使ってその地を受け入れ、そこで予想もつかない出会いをするのが旅のおもしろいところです。
旅行でしか味わえないあの刺激が本当に恋しいです。
- ■皆川玲奈の人生S字クランク
1:限界を超えるまでアクセルを踏み込んだあの頃のこと
2:同期が教えてくれた”他人と比べない”ということ
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第1回【新連載:皆川玲奈の人生S字クランク】限界を超えるまでアクセルを踏み込ん
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第2回【新連載:皆川玲奈の人生S字クランク#02】同期が教えてくれた”他人と比
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第3回【皆川玲奈の人生S字クランク#03】椅子フェチだと気づいた3年前の北欧旅
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第4回【皆川玲奈の人生S字クランク#04】マニュアル車は手がかかるからこそ、愛
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第5回【皆川玲奈の人生S字クランク#05】アナウンサーに必要なものとは?