俳優・三浦貴大さん「結婚願望はあまりない」 主演の「彼女のウラ世界」では恋人に去られるジコチュー役

男女のすれ違いを双方の目線で描いた『東京カレンダー』のウェブサイトでの連載「彼女のウラ世界」。そのドラマ版が3月22日から5夜連続で、フジテレビTWO(CS)とひかりTVチャンネルで放送されます。主役を務める三浦貴大さん(35)に、主人公への印象や、番組への思いなどについてお話をうかがいました。

――演じるのはエリート意識が高く自己中心的な性格のドラマのディレクターの主人公・西村敏郎。3年付き合った恋人の近藤明子はプロポーズした直後に去られますが、「理由」が分からず、混乱に陥ります。

三浦: 敏郎はあまり友達になりたくないタイプですね(笑)。「仕事も金も学歴も、顔も全部そろってる」といった台詞が1話にあるんです。冗談ならいいんですが、本人は真剣に言っているので、ちょっときつい。役作りでは、「自分がこいつ嫌だな」という像をなるべく練り上げていって、周りが「えっ」って思うようなことを普通にサラっと言えるような人間にしようと思いました。

ただ羨ましい部分はあります。自分の能力について勘違いかもしれないけど、しっかり自信を持っています。僕自身は何かやろうとしても、「どうせできないだろう」と思っちゃうタイプなので。

――5夜連続で敏郎と明子双方の目線から描かれる2つのストーリー。敏郎側の話がフジテレビTWOで放送された直後に、ひかりTVチャンネルで明子の話が配信されます。

三浦: それぞれ台本が分かれていて、明子側が「ウラ世界」という設定です。敏郎のストーリーからは分からない部分が、明子の部分で明らかになるのが、見ていても楽しいだろうなと思いますし、飽きずに見られるんじゃないかな。

(明子を演じる剛力彩芽さんとは)5年ほど前に一度、兄妹の役でご一緒させてもらっていますが、相変わらず、すごく明るい方です。だから、剛力さんが現場にいるだけで雰囲気が良くなりますし、芝居もナチュラルで大好き。共演していると、明子だなという感じがずっとしています。そんな剛力さん演じる明子が、「敏郎とよく付き合ってたな」(笑)とは思いますけど。

常に連絡を取れるからこその“すれ違い”

――突然、敏郎の前から姿を消す明子には多くの「謎」があるという設定。

三浦: 明子に関しては「ウラ世界」と描かれるくらいですから、敏郎は明子の一部分しか見えてない。様々なことを隠しているのを知らない敏郎にとっては、理想の女性だったのかもしれません。明子は色んな事情で結婚をしたくない人。敏郎は変わった人物かもしれないけど、身の上話とかもしてこないし、明子としては踏み込んで来ないと思って安心感を得て付き合ってたところもあり…。事情はあれど、普通の女の子かなと思っています。

――三浦さんご自身は女性の“ウラ”を見ようとしますか。

三浦: あんまり見ないですね。友達でもそうですが、ある程度の「共有」ができれば、言いたくないことは「話さなくていいんじゃない」と思っているタイプなので。

――大事なことを隠し、消息不明になった明子。「女性は怖い」と感じましたか。

三浦: 全て敏郎が悪いと思っているので、そうは思いません。僕自身、結婚願望はあまりないですが、結婚するなら付き合っている時から色々とコミュニケーションを取った方がいいとは思いました。

――携帯電話の普及もあり、連絡がうまく取れないなど“すれ違い”は起きにくくなっていると言われます。ただ今作でも明子が自身のことを敏郎と話そうとするタイミングで、電話が鳴ったりなど行き違う場面が描かれています。

三浦: 「いつでも連絡を取れる」と思っているからこその“すれ違い”ってあるでしょう。

僕はいつでも連絡し合える状況は好きではないです。待ち合わせても「昼頃、渋谷ね」みたいな話を3日前にして、当日の連絡で時間などを決めるのは好きじゃない。事前に時間や店を決めて会うことが、人間関係で大事だと思っています。

主人公・敏郎のことは嫌いでも、僕のことは……

――コロナ禍での撮影です。ご苦労などはありますか。

三浦: やっぱり気を使いながらになりますし、夜も遅くまで撮影はできません。スタジオではなくロケもあるので、一般の方のご迷惑にならないようにやらなきゃいけないなとも思っています。けど僕としては撮影が夜8時に終わるのは、「いいな」って感じていますね。

――改めて今作の見どころを教えてください。

三浦: 1話ずつは短いので、最後まで見て楽しんでもらいたいですね。次第にいろんな話のウラ側も分かっていきます。強調したいのは僕と敏郎は違うということ。敏郎のことは嫌いでも、僕のことは嫌いにならないでほしいな(笑)。

●三浦貴大(みうら・たかひろ)さんのプロフィール
1985年東京都生まれ。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業。2010年に「リポビタンD」のCMで16代目キャラクターを務めて注目され、同年5月に映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」で俳優デビュー。同作で第35回報知映画賞新人賞、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞、第86回キネマ旬報ベストテン新人男優賞。主な主演作に映画「ローリング」(15年)、映画「栞」(18年)、映画「大綱引の恋」(21年)などがある。

ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。
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