Ruru Ruriko ピンク 66

セクシュアリティーを決めないという選択

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、自分と向き合う時間が増えたルリコさんが考えたセクシュアリティーについて。みなさんは自分のセクシュアリティーについて深く考えたことがありますか?

●Ruru Ruriko ピンク 66

今年は自分と向き合ったり、1人で考える時間が多かった方も多いと思いますが、私もその一人です。移動や活動が制限される中で、自然とできる範囲で楽しみを見つけようと、今まであまり挑戦しなかったジャンルの本を読んだり、意外と行ったことがなかった近場に行ってみました。そんな中で自分自身について考える機会も多かったです。

以前記事にも書いた、アメリカを中心に世界的に起こったBlack Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)運動から、人種やセクシュアリティーについて以前よりも深く考え、今までとは違う知らなかった視点や、新しいメディア・文献から知識を得て、周りの人ともよりたくさん話し合うようになりました。

そんななかで、自分の性的指向や性自認について、何となく前からモヤモヤと感じていたことを友人たちと共有する機会がありました。

私は「女の子に恋をした」の記事でも書きましたが、女性にも男性にも恋をしたことがあります。でも今までお付き合いしたのは全員男性ですし、女性を好きになったのは1人だけなので、「多分バイセクシャル……?」と自分でもよくわからないなあとずっと思っていました。
現在のパートナー(男性)と数年お付き合いしていることもあり、周りからは異性愛者として見られることがほとんどです。私はパートナー以外の人とは恋愛をしていないので、ほかの人について考えることもなく、最近はあまりそのことについて考えませんでした。

しかし、以前から数名の友人に「あなたはバイセクシャルじゃなくてパンセクシャルなんじゃない?」と言われることがあり、数回試したネットのセクシュアリティー診断でも、パンセクシャルと結果が出ていました。

※バイセクシャル:男性、女性両方恋愛対象の人。両性愛者/パンセクシャル:恋愛相手の性別が関係ない人。全性愛者。

今まではそう言われてもあまりしっくりこなくて、「うーん、そうかなあ?なんか違う気がするけど」と思っていました。ところが、今年自分について考えた時に「あれ、確かに相手の性別は何でもいいかもしれない……」と気づき始めました。今思えば、以前はパンセクシャルやクイアについてあまり知識がなかったからしっくりこなかったのかもしれません。

性自認についても、95%は自分を女性だと思っていますし、女性でいることに対しての居心地の悪さを感じたりすることもありません。
しかし、例えば「女の子は○○だよね」と言われた際に(女の子は〜と決め付ける発言には本当にめんどくさくなりますが)「え? 私女の子なんだ?」と何だか一瞬困惑してしまいます。
友人にこの話をすると「私はそう感じたことはないし、自分は100%女性だと感じている」と言われ「あれ、私は100%かな? 絶対とは言い切れないな」と思いました。

今のところ、性的指向も性自認もよく自分でもわかっていないので、LGBTQのQ(クエスチョニング)なのかなと思っています。
今の私は自分にはセクシュアリティーのラベルは必要がないと思っていますが、ラベルは貼っても貼らなくてもいいと思うし、それは個人の選択です。
でも、今後はクイアに関する本や映画を見たり、コミュニティについても知っていきたいです。

若い世代はどんどん多様化されていますし、上の世代よりも人種やジェンダー、LGBTQに対しての偏見が少なくなってきていると感じます。アメリカでは、カマラ・ハリス氏が初の女性で黒人アジア系の副大統領になることが決まり「私は初の女性副大統領ですが、私が最後ではありません」とスピーチをしました。今の子どもたちが大きくなる頃には、女性が高い地位につくことが普通になるでしょうし、今後は今まで差別や偏見の目で見られていたことや人々に対して、世界の目は変わっていくでしょう。

私ももし100年前に生まれていたら、女性も好きなんて言えなかったかもしれませんが、今の世界では差別する人の方が間違っているとわかっています。親の世代と比べても、世界はどんどん変わっているなあと思うので、コロナや環境問題などまだまだ心配事もありますが、10年後20年後にはどこまで変わっているのか楽しみです。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。