Ruru Ruriko ピンク 55

日本人も考えるべき“Black Lives Matter”とは?

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は、5月25日にアメリカ、ミネアポリスで黒人男性が白人警察官に拘束され、死亡した事件を発端に起こっている黒人への人種差別抗議運動について。これは日本に住んでいる私たちには関係のないこと?Rurikoさんからのメッセージをお届けします。

●Ruru Ruriko ピンク 55

みなさんはBlack Lives Matter (ブラック・ライブズ・マター)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 今アメリカでは、黒人への人種差別抗議運動が広がっており、アメリカだけでなく世界各地で賛同する抗議運動も行われています。
日本でも少しずつニュースで取り上げられるようになってきています。

今回の大きなきっかけとなったのは、5月25日にアメリカ、ミネアポリスで黒人男性、ジョージ・フロイドさんが白人警察官に拘束され、死亡した様子が動画で拡散されたことでした。
Black Lives Matterは今回始まった動きではなく、2013年に黒人少年が白人警察官に殺されたことからSNSで広まりました。

 

人種差別は私たち日本人には関係ないこと?

みなさんは人種差別について考えたことがあるでしょうか?
今回のニュースを聞いて怒りや悲しみを感じ、行動しようと思いましたか? それともアメリカって大変だなと遠い国で起こっているから自分には関係ないことだと思いましたか?

確かにアメリカは遠いですし、白人でも黒人でもないアジア人には関係ないと思うかもしれません。しかし、日本にも人種差別は確実に、そしていたるところに存在します。
人種差別なんてないと感じる人は恐らく差別をされる側になったことがないからでしょう。
差別をしていても気づいていない人も多いでしょう。

人種差別について話すときにWhite Privilege(白人の特権)という言葉がよく出てきます。
これは白人でいることで、生まれた時から持っている特権のことです。
例えば、
・雇用の際、同等のスキルの有色人種と白人がいれば白人が採用される
・主流の映画や本は白人が主役
・何か問題が起こったら白人ではなく黒人や有色人種が最初に疑われる
・肌色(英語ではスキンカラー)は白人の肌の色
・部屋を借りる時に白人の現地人が優遇される

これらのことは、日本では日本人とそれ以外の人という構成に当てはまり、私の周りでも外国人というだけで不動産屋さんで断らるなどはよく聞く話です。みなさんも何かがあるとすぐに「あの人はガイジンだから〜」などと発言していませんか?あなたが外国で日本人だからとお店や不動産屋で断られたらどう思いますか?

日本とアメリカは歴史が違いますから、すべての差別の構成が全く同じとは言えません。
しかし、日本に差別がないというのなら日常に溢れている韓国や中国への差別発言はどうでしょうか?多くの日本人がK-POPや韓国ドラマ、中華料理など、彼らの文化を楽しむ一方で、差別発言や行動には目をつむります。

黒人に対しての差別もあります。日本のお笑い番組で、顔を黒く塗る”ブラックフェイス”のジョークが放送された時、たくさんの黒人がそれは差別に当たると抗議しましたが、「差別的な意味はない。日本では差別にならない」と差別された側の意見に耳を貸さない人もいました。
私の知人を含め、日本に住む多くの黒人男性は、何度も(横柄な態度で)職務質問されています。日本人の友人は、家族から「黒人とだけは交際するな」と言われた人もいます。
アメリカではコロナ対策でマスクとサングラスをしたいけれど、黒人男性がすると「怪しい」「危ない」と周りから見られるのが怖くて、マスクをしないという声もあります。例えばあなたがマスクをした黒人の男性を夜見かけたらどう感じるでしょうか?

 

差別を見かけても知らないふりをしていませんか?

人種差別主義者とは過激なヘイトスピーチや暴力を振るう人たちだけではなく、一定の国籍や人種の人をステレオタイプで見たり、差別を見かけた時に目をそむけて知らないふりをする人たちのことも含まれます。

私自身、差別に反対していたものの、今まで行動に移せていませんでした。アジア人としてヨーロッパに5年間住み、差別も経験しました。なかには、私を信じない人もいて、「ヨーロッパに差別なんてない」「未だにそんなことあるの?」と言われたこともありますが、多くの人は私に同情しました。ところが、いっしょに怒って反論してくれた人はほとんどいませんでした。
その辛さをわかっているのに、今まで私も他人に同じことをしていました。「大変だね」「ひどいね」と言うだけで、何も行動はしなかった。だからこれからはちゃんと声に出して抗議し、差別をなくす努力をしていきたいです。

I understand that I will never understand. However, I stand.
(私にはあなたの経験や気持ちが一生理解できないとはわかっているけれど、いっしょに立ち上がる)

SNSで広がるこの言葉。
今まで差別について考えたことがなかったり、経験がない人は差別をされる人の気持ちを想像するのは難しいでしょう。そして、日本人が黒人の気持ちや経験を理解することは不可能です。しかし、わからない、知らないでは、このまま一生状況は変わりません。
疑わずに、まず当事者の言葉に耳を傾けてください。

インターネットや本など情報はたくさんあります。誰かが丁寧に経験や気持ちを教えてくれるのを期待せず、自分で調べ、学ぶ姿勢を持ちましょう。自分は本当に差別主義者じゃないのか、誰かが不当な理由で傷つけられているのを、私にはわからないですませていいのか、自分自身に問いかけてみてください。

SNSではBlack Lives Matterについて理解を深められるオススメ映画、記事などたくさんシェアされています。チェックして、周りの人と話し合ってみてくださいね。

私のオススメはLizzyさんのInstagram

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私は今回、Black Lives Matterを支援する団体に少額ですが寄付もしました。お金に余裕がある人はこちらも調べてみてください。
私自身、学ぶべきことがたくさんあり、忙しい毎日の中で自分の時間を割き、常に関心を向けるのは難しいと感じることもあります。しかし、SNSに投稿し、1日で終わってしまうのではなく、継続して関心を持ち、学び続けることで大きな変化へと繋がっていくと信じています。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。