「カジュアルレイシズム」って?
●Ruru Ruriko「ピンク」32
身近にある人種差別
みなさんは「カジュアルレイシズム」って聞いたことありますか?
レイシズムは英語でRacism、人種差別という意味で、カジュアルレイシズムは日常生活に潜みカジュアルに行われる人種差別のことです。
日本人として日本に生まれ育つと、人種差別について考えることはあまりないかもしれませんが、みなさんは人種差別と聞くとどのようなことをイメージしますか?
多くの人は、アジア人に対する白人からの差別や黒人問題など、日本ではなく、海外で起きている出来事だと思うのではないでしょうか。
しかし現実、日本にも人種差別は存在します。映画で描かれるような暴力や明らかなイジメ以外にも、私たちがする普段の会話やTV、雑誌などいたるところに潜んでおり、多くの人がそれらを人種差別だと理解していないように感じます。
少し前にネット上で話題になった、ある着物屋さんの広告はまさにカジュアルレイシズムの一つです。
広告の内容は、着物を着て道を歩く日本人と思われる女性の写真の上に書かれている「ハーフの子を産みたい方に。」というコピー。つまりは、「着物を着ていると海外の方にモテますよ」というメッセージが暗に込められています。
「ハーフ」と呼ばれる人たちがいかに日本社会で、「別物」のように思われているかがわかるようです。
「ハーフ」「ガイジン」みたいなカジュアルレイシズムは本当に色々なところにあります。
雑誌や美容院でメイクや髪型を紹介する時に使われる「外国人風」という言葉。外国人ってどこの国の人のこと?アジアやアフリカも外国ですが、多くの場合は欧米圏の白人のことを指しているのではないでしょうか。
「あなたは日本人だから」
私は日本人女性としてヨーロッパに長期滞在する中で、暴力的だったり身の危険を感じるような人種差別にあったことはありません。しかし、カジュアルレイシズムは数え切れないくらい日常茶飯事です。何をしても「あなたは日本人だから~でしょう」と言われたり、少しでも彼らの思う日本人像と違うと「日本人っぽくないね」と自分の全てを、私という個人ではなく、日本人というフィルターを通してみられるようになります。
例えばもしあなたが何をしても「やっぱり東京の人はこうでしょ」「東京出身なのにこれ知らないの?できないの?変なの。そんなのおかしい」「見た目が東京出身には見えない」と日常的に言われたり笑われたりしたら、めんどくさい!東京出身とかいちいち関係ないし!となりませんか?
言っている方に悪意はありません。それどころか褒めていたり羨ましいとさえ思っているかもしれません。しかしながら他人を、勝手にあなたは外国人だから、混血だから、東京出身だからこうだ!と決めつけるのはとても失礼ですし、その人のことをきちんと知る機会も失い、もったいないと思います。
「外国人風」ってなに?
私自身、子供の時から欧米文化に憧れ、「ハーフ」の子を羨ましいと思ったり、「外国人風」に憧れていました。しかし、実際に自分が憧れていた欧米で暮らしてみて、自分は今まで外国人の人を「外国人」としてみていたなと気づかされました。日本人同士だったら普通にお互いの趣味の話などをするのに、外国人の人にはその国の話ばかりしたり、イギリス人ならこれ知ってるでしょ!と言うように話している自分に気づいたのです。
相手の国に興味を持ったり、お互いの文化の違いなどについて話すことは素晴らしいことですが、「あなたは~出身だから、~でしょ!」と決めつけるのは違いますし、それが褒めているつもりでも相手によっては失礼だと感じられます。
「ハーフ」や「ガイジン」と言っても当たり前ですが色々な人がいます。見た目がいわゆる日本人ではなくても日本に生まれ育つ人もいますし、日本人にも様々な人がいるようにどこの国の人にも様々な外見、考え方、趣味、性格の人がいます。
カジュアルレイシズムをする多くの人は人種差別をしている自覚症状がないと思います。褒めているつもりだ、悪意はない、冗談で言っただけ、しかし自分がされたらどうか考えてみてください。一度や二度ではなく日常的にです。なかなか難しいかもしれませんが、移民や外国人観光客も増えていっている今、きちんと考えていきたいトピックではないでしょうか?