「いいね!光源氏くん」桐山漣と千葉雄大「おほほ」と睦まじい第四絵巻
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頭中将登場「おほほ」「うふふ」笑い声の癒し効果
頭中将「美しき人、何ゆえ泣いておるのだ」
沙織「あんた誰!?」
4月25日(土)放送のよるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)第四絵巻。
前話で、車に轢かれそうになった沙織(伊藤沙莉)を助けようとした光源氏(千葉雄大)は、その拍子にいなくなってしまった。光の帰りを待っていた沙織は、気持ちを切り替えて思い出を整理しはじめる。そんな折、沙織の部屋のすだれからまた平安貴族が現れた。それは、「源氏物語」では光のライバルとして登場する頭中将(とうのちゅうじょう)(桐山漣)だった。
中将は、光に劣らないプレイボーイ。そして、光には女性として意識されなかった沙織に、出会ってすぐに「美しい人」と声をかける。光がいなくてさみしいと感じていた沙織。そこで顔の美しい中将に見惚れるものの、流されずにビンタで拒否!
「いいね!光源氏くん」は、現代ではおかしく見える光や中将の平安貴族としての振る舞いが「コメディ」なのかと思っていた。もちろんそれもあるが、沙織が簡単に「ラブ」に流されず、麗しいディスタンスを取り続けることが、「コメディ」の軸になっている。
「平安貴族は慣れてるんで」と沙織は、光のときと同じく、中将を家に泊めてあげることに。スマートフォンも与え、SNSをすぐに開設。光はTwitter風のSNS、中将はInstagram風のSNSをはじめて、女性と思しきアカウントとダイレクトメールでやり取りしていた。
沙織「美人ばっかフォローして。好みとかないの? かなり系統違うけど」
頭中将「とりどりに美しい花に、優劣をつけられようか」
沙織「SMAPか」
頭中将「須磨?」
SMAPがいて「世界に一つだけの花」が存在する世界線! さらに、烏帽子をかぶって外出した中将を見たこどもが「おじゃる丸だー!」と指差す。知っている固有名詞が出てくるだけで、沙織たちの世界と自分のいる世界が地続きのように感じてちょっと嬉しい。
中将は、フォロワーに会うために外出をしていた。沙織はそれこそが光なのではないかと踏んでいて、これが的中。バラを持った中将が待つ場所には、バラを持った光が現れた。
光は、どうもハワイに行っていたらしい。なんで交通事故で消えてハワイに?フィリップ(厚切りジェイソン)殿って誘拐されてるけど大丈夫? とか疑問が残る。残るんだけど、光と中将が花を飛ばしながら「おほほ」「うふふ」と笑い合っているのを見ると、その疑問もゆるゆるとほどけかけて「まあいいか……」と忘れそうになってしまう。二人の「おほほ」「うふふ」のゆるゆる効果、すごい。
光と中将の違和感と徹底した沙織の生活感
漫画家・えすとえむが描く原作では、コミックス2巻から頭中将が登場する。原作の頭中将と演じている桐山漣の顔が似ている。スッと斜め上に伸びる眉の下に、重ためのまぶた、涙袋と下まつ毛で強調された黒目。横顔の上唇がクッと上を向いた感じも、原作そのままだ。対する千葉雄大の光は、原作よりもやや幼く見える。
漫画原作を実写化する方法について「これが正解」というものはない。原作に限りなく近づけることにこだわる作品もあれば、現実世界にキャラクターを溶け込ませるために様々な調整をしている作品もある。
「いいね!光源氏くん」は、光と中将という平安貴族が現代にいる違和感をはっきりとさせるために、他の部分はできるだけ現実感のある表現をしているように見える。
沙織の住む部屋、働いている会社も、ちょうど良く小ぢんまりとしている。置いてある小物も「手が届きそう」で、同僚女性も「会社にいそう」な感じ。なによりそこにいる伊藤沙莉。地に足がついた感が頼もしい。だからこそ、光と中将が引き立つ。そして、二人がいるからこそ沙織の生活も引き立つ。
いま、桐山漣が所属する事務所・ヒラタオフィスのサイトを見ると、長谷川博己や宮崎あおいのテイストが揃ったアーティスト写真と並んで、頭中将の姿をした桐山漣の写真が大きく出てくる。(参考:http://www.hirata-office.jp/topic/kiriyama_renn/hikarugenji/pre.html)ドラマの枠を飛び出した頭中将と桐山漣の「違和感」が愛されているのがうかがえる。
沙織「情けない。別れがこんなにつらいとは」(字余り)
次回、5月2日放送の第五絵巻では、沙織の妹・詩織(入山杏奈)の友人・カイン(神尾楓珠)が登場。カインの働くホストクラブに、平安系ホストとして中将が体験入店することとなる。「源氏物語」きっての色男の腕の見せ所だ。
一方、沙織は職場の同僚に誘われてお見合いパーティへ行く。詩織が興味津々なように、沙織と光か中将に何か恋愛的な発展があってほしいと期待してしまう。でも、沙織はなかなか光たちのほうを向かないようだ。
しかし、第四絵巻の最初のシーンを見返してハッとした。光がいなくなったことをさみしく感じる沙織のモノローグ。
沙織「情けない。別れがこんなにつらいとは」
和歌っぽくなっている(ちょっと字余り気味)。沙織は、歌を詠もうと意気込んでいるときは、指で字数を数えながらでないと詠めない。でも、ふとしたときに調べに乗せて思いを巡らせてしまう。それは、光が沙織の日常に馴染んで溶け込んでいく様子と繋がっている気がする。
「いいね!光源氏くん」は全8話、いまちょうど折り返し地点だ。5月2日の第五絵巻放送前、午後3時25分から5時21分まで一~四絵巻の再放送がある。これまでの放送を見られていないという場合も、おうち時間で十分追いつける。沙織と一緒になって、平安貴族のゆるゆる加減に溶け込んでみては。
よるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)土曜よる11時30分放送
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/hikarugenji/
NHK公式サイトで配信中
https://www.nhk.jp/p/ts/L2XV225GVX/
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