「お洒落をする気もなくなって…」30代の私を苦しめた「産後の抜け毛」問題
シャワー後の排水溝を見て「え…ヤバくない?」
4人の子どもを持つライターのAさんが薄毛に悩み始めたのは、32歳で2人目を出産した直後だったといいます。
「お風呂に入ってシャワーをあびた後、毎回排水溝の抜け毛をその日のうちに掃除するんですが、たまった髪の毛の量を見て、『え…ヤバくない?』って。それまでの3倍くらい量が抜けて、黒い塊になっている。髪をとかしていても、どんどん床に落ちるから部屋の掃除も大変になって、髪を短く切るしかないな、と思いました」
もともと髪の量は多いほうだったというAさん。しかし、特に髪のトップのボリュームが目に見えて小さくなり、毛の一本一本も細くなってしまったといいます。
「産後の一時的なものだと思おうとしましたが、もう元のようには生えてこないんじゃないか、という考えも頭をよぎる。髪の毛の心配で、頭がいっぱいになってしまいました」
帽子をかぶることで頭を隠したい気持ちにもなったといいますが、赤ちゃんをおぶった状態だと帽子が落下した際に拾うのも大変なため、それもかないません。実際に誰かから薄毛について指摘されたことはなかったといいますが、Aさんは常に周囲の視線にビクビクする精神状態になってしまいました。
「電車に乗っているとき、窓ガラスに自分が映るとつい頭頂部に目がいってしまって……。子育ての忙しさのせいもありましたが、だんだん洋服を買う機会も、外に出て人に会う機会もなくなって、自分が老け込んでしまったような感じ。あの時期の自分は、いろいろなことに消極的になってしまっていました」
「恥をさらしたくない」と、ママ友に相談できず
そんな悩みを、相談する相手はいなかったのでしょうか。社交的なタイプのAさんですが、当時を振り返り「孤独だった」と振り返ります。
「夫は私の髪の毛のことになんか興味がないから、相談しても『へえ、そうなんだ』『そんなオシャレのこと考えてるヒマがあったら子供の面倒を見ろよ』と言われそうで、相談できませんでした。ママ友も、自分より若い20代の子に言うのは『恥をさらす』という感覚があって、無理でしたね。少数の同年代のママ友とは『すっごく抜けるよね』とお互いに共感しあえましたが、そもそも子育てが忙しくて、なかなか話す機会もなく……。基本、自分で抱え込むしかありませんでした」
最終的に3歳違いの4人の子どもの面倒を同時に見なければいけない状況だったAさんは常に忙しく、美容室に行くヒマもなかったといいます。30分1000円のお店などでカットを済ませていたため、美容室などで髪の悩みを相談することもできませんでした。
子育てのピーク越えとともに、戻ってきた毛量
結局、Aさんの悩みが晴れてきたのは、40歳前後のこと。一番下の子どもが2歳くらいまで成長し、子育ての忙しさがピークを越えてからでした。
この時期、ようやく生活に余裕が出てきたAさんは、傷んだ髪のケアに力を入れた美容室に通うようになり、頭皮のマッサージを受けたり、シャンプーを変えたりと、試行錯誤を繰り返しました。出産で消耗した体力が戻ってきたことや、育児の負担が軽くなってきたことも影響したのでしょうが、今では出産前の毛量に戻ったといいます。
「あの時期、ずっとモヤモヤしながら生きていましたが、今思えば髪の毛が薄くなったことによるコンプレックスがかなり影響していたように思います。私の場合はなかなか悩みを人と共有できなかったけど、もっと早くからケアの方法などを知っておけばよかったと思います」
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