「セフレが彼女になりました」30歳男性の本音【第3話】
●となりのセフレさん 第3話
放っておいても女の子が寄ってくるタイプではない
私は今、以前にセフレ関係だった女性と付き合っています。つまり「セフレが彼女に昇格した」という形ですが、自ら決断してそうしたというよりは、成り行き上そうなったという感じです。
前の彼女と付き合っている時期は、数えきれないほど浮気をしていました。誘惑してきた女性とうっかりセックスをしてしまった、という受け身な浮気ではなく、ガンガン自分からクラブやバーなどの場に行っては女の子に声を掛け、運よく仲良くなれたら飲みに誘うというアクティブな浮気でした。
私は放っといても女の子が勝手に寄ってくるようなタイプの男ではないのです。
失敗もしますが、日常的にそういうことをしていると、うまくセックスにたどり着けることもたくさんありました。当然ですが、セックスをした人全てがセフレになるわけではありません。一夜を過ごした後に、相手から距離を置かれたり、自分から連絡を途絶えさせることもあります。
一夜限りとはいえ、体を許してくれた相手に対しては、基本的に感謝の念を抱いています。しかし、セックスを終えて性欲から解放された後で会話をしていると、失礼ながら「できるだけ早くこの人と別れて家に帰りたい」と思うことが大半でした。
たとえ見た目や体型が好みでも、自分よりいくらか若い子と話していると、身に覚えのある若さゆえの見栄のようなものが垣間見え、ノリがしんどくなってくることが多いのです。関係性が生じているからには、そのまま勝手に帰ることもできず、なんとなく適当な会話を続けている時間が不毛に感じることがよくありました。ルックスがかなりタイプの場合はそれでもまた数度は誘ってしまうのですが、2、3回セックスをすればさすがにもういいかな、という気持ちになります。
だからこそ、セックスを終えた後に話していても全く苦痛を感じない、むしろ快い安心感を得られるような女性と巡り会うと、とても嬉しくなりました。そういう人を月に何度か飲みに誘い、セックスをするという関係を相手が許す限りは続けていました。相手に彼氏ができて徐々に会わなくなることもありますが、入れ替わりを繰り返しながら、常に何人かはそういうセフレがいました。
中でも、今の彼女は特に波長が合うと感じる存在でした。年上の彼女とは好きなものや嫌いなものが似ていましたし、押し付けがましくない知的さも感じました。数ヶ月も過ごしていると、当時付き合っていた彼女よりも確実に相性がいいと思うようになりましたが、だからといって別れてそのセフレと付き合う、という考えにはなりませんでした。
“彼女”を裏切ってはいけないと思っていた
今更という感じですが、私にも一応の倫理観があります。というか、自分を最低の人間だと認めないでギリギリ正当化するための最低限のルールがありました。それは、彼女の有無を尋ねられた際に「いない」という嘘をつかないこと。そして、浮気相手を優先して自分から彼女に別れを切り出さないということです。
当時の彼女は、私を浮気するような人間だと予想していなかったでしょうし、無邪気に私のことを好きでいてくれたと思っています。浮気の罪悪感はすり減って、もうほとんどなくなりかけていましたが、瀬戸際では彼女のことを裏切ってはいけないという気持ちがありました。ゆくゆくは結婚などするのかなともぼんやり考えていたこともあります。愛情がなくなりかけている相手と結婚することを考えると憂鬱になりましたが、セフレと付き合ったところで、どうせ気持ちが冷めるだろうし、結局は誰と結婚しようと同じなのではないか、と自分を納得させていました。
しかしある時、予想外にも彼女の方から別れを切り出されることになります。浮気がバレたわけではありませんが、浮気の影響で彼女への対応が淡白になりすぎたことで、愛想をつかされたのです。
驚きましたが、数年付き合った彼女に振られたショックよりもセフレと正式に付き合えるという喜びの方が完全に勝っていました。そして満を辞して、現在の“彼女”と付き合うことになったのです。
元セフレの彼女と結婚すると思う
今の彼女に愛情がありますが、現在も懲りずに隠れて浮気を繰り返しています。もともとセフレだった彼女なので、浮気に寛容かと思っていたら、いざ付き合ってみるとそういうわけでもありませんでした。やはり、彼女になると彼氏の浮気は許容できなくなるようです。浮気しておいて何ですが、今の彼女とは仲が良く、いつか結婚するような気がします。彼女より浮気相手を好きになってしまうようなことが今後は起こらないことを願っています。