秋、新しい香水に会いに行こう
●PeLuLu×telling,名品図鑑
古いフランス語で「二つ折りの絵屏風」の意味を持つ、「diptyque(ディプティック)」。フランスでは、香りだけに止まらず、ギフトアイテムや文房具など幅広いアイテムを展開し、その独自の哲学を伝えています。
香りのアイテムの一つ一つにあるストーリーは、ミステリアスな魅力を感じさせながら、美しいデザインで世界観を余すところなく表現。香りそのものはもちろん、パッケージデザインからもブランドのDNAの息遣いを感じさせてくれるアイテムは多くの支持を集めています。
ブランドにとって大切な数字、“34”を付した限定コレクション
2014年から続く「コレクション 34」は、創業者3人の冒険を愛する精神へのオマージュ。毎年、少しずつ進化し続けるスペシャルな限定アイテムは、今年も8月の終わりに期間限定で発売されました。
キャンドルは、古代ギリシャの昼下がりを思わせるような、牧歌的な香りのフレグランス「オーデリード」を想い起こさせ、神秘的な香りで包み込んでくれます。ビターオレンジの皮に野生のラベンダー、そこにひとつまみのスパイス、ナツメグをプラス。マットな黒のパッケージに投影した香りに、モダンでクールな調和を感じさせてくれるはず。
一方のフレグランスも一貫して、“サン=ジェルマン大通り34番地”がテーマ。ダイナミックさのあるサンダルウッドをベースに、インドの起源するオーストラリア産のサンタルが混じり合った香りは、官能的でオリエンタルな雰囲気。これまでとは違う解釈で、新たな香りに出会わせてくれます。
切なくも美しい秋の季節を一緒に過ごしたい、2つの香り
幅広い世代で愛されている「diptyque」のフレグランス。レギュラーアイテムから、秋にぴったりの、重厚感のある人気の香り2種をご紹介します。
まずは、「オードパルファン テンポ」。パチュリをメインにした香りは情熱的で、滑らか。清冽な湧き水を想像させるほどのパワフルさに、やわらかいシダーノートを与えた香りは、スエードのようなやさしさを重ねさせてくれます。
そして、「オードパルファン フルール ドゥ ポー」は、ウッディさを内包したアイリスの花に存在感のあるムスクの組み合わせが、個性的でユーモラス。それでいて、どこかほっとする優しさを感じさせる人気作です。
「diptyque」フレグランスの歴史を紐解くと…
まだ「diptyque」をよくご存じない方もいるかもしれません。最後に少しだけ、このフレグランスの歴史を振り返ってみたいと思います。クリエイティブな仲間の3人によって誕生した「diptyque」は、パリのサン・ジェルマン通り34番地でスタートしました。
香水を作り始めたのは1963年。そのフレグランスキャンドルに続いて、1968年には最初のオードトワレ「ロー(L'Eau)」を発表。それらの作品の全ては、過去からの豊かな遺産に導かれているといい、他に見ることのない独特のフレグランスが生み出されています。
-
diptyque japan
tel:03-6450-5735
photograph:Hiroshi Nakamura
styling:Saori Ikeda
text : Akira Watanabe