ヒミツの台湾さんぽ04

ヒミツの台湾さんぽ ―歩道のお祈りテーブル#04―

夏休みシーズン真っ盛り。台湾に旅行される方ももしかしたらいるかも! そんな方にオススメしたい、台湾の街歩き。何気ない街角にこそそんな「胸キュン」が散りばめられていて、それはまさに宝探しのようです。この「ヒミツの台湾さんぽ」では、そんな街歩きのちょっとした楽しみをお伝えできればと思います!

●ヒミツの台湾さんぽ 04

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急に出現、お祈りのテーブル

 台湾の街を何気なく散歩していると、往々にして出会うのがコチラ。

 歩道の中央に堂々と、突如として出現するお祈りテーブル。きっと見たことがある方も多いのではと推測します。

 テーブルの上にはお菓子、フルーツ、飲みもの、だけでなくお香や、お祈り用の紙のお金まで盛り盛り。これは毎日あるわけではなくて、フラフラ歩いていて気づけばまたあるな〜という感じで、このあと紙のお金は横にあるバケツみたいなものの中で燃やされていました。

 なにしろここに行けばある!というものでもないので、長い間「なんだろなぁ」とモヤモヤしていたところ、たまたま台湾人の友だちといっしょに歩いていたときに遭遇。聞くと「土地の神様に商売繁盛のお祈りをしてるんだよ〜」とのこと!

 なるほど! だからお廟と同じようにお香や紙のお金も供えられていたわけかぁ。

 しかし待てよ。なんでわざわざ道ばたで? お廟にお参りに行けばいいじゃない? とかえってギモンふつふつ。ということでちょっと調べてみました!

キーワードは「土地公」(トゥーディーゴン)

 そもそも台湾にはいたるところにお廟や寺院があります。立派なところだけでなく街中にある小さなお廟でさえもきちんと祀られていて、暮らしに根付いている印象。お廟に行くといつも誰かが祈っています。

 なのに! なぜ人々は歩道に、わざわざテーブルを出してまで祈るのか…。その理由は先述の通り「土地の神様に商売繁盛をお祈りするため」なのですが、その土地の神様のことを「土地公」(トゥーディーゴン)といい、そこに暮らす人々を守ってくれる存在として親しまれています。

 市場の中に突然あるお廟とかが実は土地公を祀るためのものだったりして、ガッツリ生活の場に密着しているものも少なくないです。

 たとえばこちらは台北のMRT古亭駅近くにある土地公のお廟。昼間だからわかりづらいですが、外壁や柱のあちこちに電飾コードがぐるぐる巻き。しかも、よ〜く見るとこんなに明るいうちからすでに電飾オン。夜になればそれはそれはピカピカきらきらと輝きます。

 余談ですが、この古亭の土地公の右横(写真でちょうどお兄ちゃんが立っているところ)は短いですが細いストリートになっていて、そこにある四神湯(薬膳スープ)の店はおばちゃんが優しくてお気に入り。カフェもあって、地元っ子憩いの場って感じです!

 あと、そういえば台湾のお廟や寺院を夜に見たとき、はじめは電飾ピッカピカなことにめちゃくちゃ衝撃を受けました。え、お祈りの場にこれってアリ!?と思ったのですが、やたらと個性的できれいなんですよね。きっとこれも愛ゆえなのかと思ったら、なんだかほっこり。台湾らしいというか。

 そう、夜に輝くこのネオン!!! ステキ過ぎる…。祈りを捧げるおばさまも含めて、なんだか昔の香港映画みたいなノスタルジーに胸ドキュン。ここは台北のローカルピープルが集まる夜市「景美夜市」にある土地公のお廟。

 ちなみにこの夜市の奥の方にある油飯(台湾風のおこわ)の店はめちゃおいしかったです。マダムテイスト全開の謎Tシャツショップなんかもあって、個人的にも好きな夜市のひとつ。MRT景美駅の近くなのでアクセスもよく、割とおすすめです〜。

 で、話しがそれちゃいましたが、なぜに歩道でお祈りテーブルを出すのか、という問題について。調べたところ、商売をしている人は月に2回、建物の入口で土地公に商売繁盛の祈りと感謝を捧げるのが古くからの習わしだからのようでした。

 毎月旧暦の1日、15日(もしくは2日、16日)に商売人たちはそれぞれの入口にテーブルを設置してお供えを並べ、祈る。祈りに最適な時間は夜11時から夜中の1時で、土地公が目覚めたばかりで頭が冴えているのでおすすめらしい。けれど、けっこう昼間に祈っているところが多い気がする。そりゃそうか、営業時間内にしたいですよね。ウェブサイトによっては土地公の好物はジャガイモと書いてあるところもあって、なんだか親しみがわいてきます(だからポテトチップスを供えていたりするのだろうか?)。

 土地公ってほかの神様ほど決まりごとが多くなくて、どちらかといえば人々により近い、あたたかみのある存在みたいです。へぇ〜面白い。旅行のとき、泊まるホテルの近くにある土地公にお参りしてごあいさつをするというのもいいかもですね!

 月に2回の、昔ながらのお祈り習慣。旅行中、偶然この風景に出会ったらラッキーかも。

 何気ない暮らしの景色に潜む意味。それを知るほどにもっとさんぽが楽しくなって、ますます街歩きにハマっていってしまうのでした。

◆今回のさんぽMap

編集者。台湾に心奪われ隙あらば旅に、あげく勤めていた出版社を辞めて台北に語学留学。台湾や植物関連の書籍制作に携わる。ラブ台湾、ラブ植物!
ヒミツの台湾散歩