ヒミツの台湾さんぽ02

ヒミツの台湾さんぽ ―電気ボックス #02―

台湾の街を歩いていると、ふとしたところに心ときめく「可愛い」があふれています。見ていると台湾の人たちの暮らしをどことなく感じられる気がして、なんだかうれしくなっちゃうようなすてきな景色たち。何気ない街角にこそそんな「胸キュン」が散りばめられていて、それはまさに宝探しのようです。この「ヒミツの台湾さんぽ」では、そんな街歩きのちょっとした楽しみをお伝えできればと思います!

気づけば街中あちこちに

 2012年末、はじめて台湾ひとり旅行をしたときのこと。急遽決めた目的地の花蓮(ホァリェン。台湾東部の海沿いにある大きな街)をぷらぷら歩いていると、住宅街の歩道沿いにこんな四角いボックスを発見。この深緑や赤色の漢字、“台電”のロゴマークに一目惚れして、思わず写真を撮ったことを覚えています。
 これです↓↓↓。

 漢字の横に書いてあるのは「注音符号」(ボポモフォ)と呼ばれる、台湾の平仮名みたいなもの。ちなみに「電気設備によじ登らないでください」という意味です。このボックス、わりと大きくて小学生の背くらいはあるので、道ばたではけっこうな存在感。

花蓮の街は広いけれど、歩いて回れるくらいの距離を行ったり来たりするだけでも楽しくて! オシャレな雑貨屋さんや落ち着くカフェめぐりに夢中になっていたら、気づけばまた道沿いに似たようなボックスが…。

 でも、なんか派手!! さっき見たのはシックな深緑だったのに、なにこの個性。急にオリジナリティ大爆発、どうした?

 そう思っていたら、もっと不思議な絵柄に遭遇。しかもなかなかに素人っぽいタッチでそれが逆にグッときて和みます。

 どうやらこの箱、場所によって絵柄が違うのかな? そう思えば思うほど気になって気になって、ここからこの「電気ボックス」(と、私が勝手に呼んでいる)ウォッチなトラベルがはじまったワケであります。いまや「電気ボックス」探しは習性化。どこに行っても珍しい絵柄がないか見ちゃいます。

もはや便利な棚状態

 さてこの「電気ボックス」。なんぞや? と思って台湾人の友人に聞いてみたところ「電気系統の設備が入った箱だから近づくと危ないよ!」って言われました。なるほど! 調べてみたところ、「台電」の愛称で呼ばれる「台湾電力」の「変電器」らしい。

 しかし!

 台湾の街を歩いていると、よ〜く目にするのが“電気ボックスは棚”な光景。

店の食材置き場として。赤いトレーが載ってます。
食材置き場パート2。乾燥にもってこい。なのか?
よくよく見ると、上に植木鉢。ディスプレーとして。

こちらも、上に堂々と植木鉢。

巨大タイプは、店のテントのつっかえ棒代わりに。
人気観光地の九份(ジゥフェン)では猫ちゃんたちのベッドとして。
夜になってもまだいた。相当いい感じらしい。

 と、台湾人の友人には危ないから近づかない方がいいよと言われた「電気ボックス」ですが、台湾の人々(と猫)の暮らしには、一部で便利な棚として根付いているようです。

デザインいろいろ! 「電気ボックス」コレクション

 ところ変わればデザインも変わる。「電気ボックス」にも地域性がある気がします。とくに台北は「電気ボックス」デザインの宝庫! 非常にバリエーションに富んだ、しかもなんだコレなものにもよく出会えるのでもっともオススメの「電気ボックス」ウォッチスポットです。

台北でよく見かける、水面に草のデザイン。

 同じデザインでもタッチが微妙に違ったりして楽しい。

こちらもポピュラーなピンクのお花畑デザイン。
灯台の絵。こんな珍しい絵柄に出会うと大興奮!

 孔子廟近くの「電気ボックス」は、昔の学者風イラスト。

孔子廟近くの「電気ボックス」は、昔の学者風イラスト。
連作という手の込んだものも。
仏の顔も何度まで? すごい仏度。しびれる!

 有名な茶館「紫藤盧」前の「電気ボックス」は、なんと白!

これも電気ボックス。

 途中で緑に塗るのをあきらめたらしい。

ビルドインタイプもございます。

 地方都市のコレクションもちょっとだけ。

嘉義(ジァイー)は岩モチーフ多め。
彰化(ザンホァ)は華やか!

 イラストの上にガッツリ詩が書いてある。黒板代わりか。

イラストだけでなく詩まで。
客家の街である苗栗(ミャオリー)は真面目系。

 風とビーフンとITの街・新竹(シンジュー)は、ところによりメルヘン。

 モダンな柄もあります。

 海水浴と駅弁の福隆(フーロン)は、やっぱ海柄!

高雄(ガオション)の旗津(チージン)は海の生きものシリーズ。

 なぜだか基本、白目。

 笑っていたのが消えちゃったのかも。それすらも愛おしい…。

 同じような街並でも、「電気ボックス」はひと味チガウ。これを気にし出すと普通の街歩きすらも、もっともっと楽しくなりました。そんなところからも台湾さんぽの楽しみを感じていただけたらいいなぁと思います。マニアックですみません。

 しかし一体どのようにテーマを決めて誰が描いているのか。もしご存知の方がいらっしゃいましたらぜひお教えいただけるとうれしいです!! いつか絵を描いているところに出くわすのが小さな夢。

 以上、「電気ボックス」さんぽのオススメでした!

◆今回のさんぽMap

編集者。台湾に心奪われ隙あらば旅に、あげく勤めていた出版社を辞めて台北に語学留学。台湾や植物関連の書籍制作に携わる。ラブ台湾、ラブ植物!
ヒミツの台湾散歩