ヴィーガンの人もそうでない人も。誰もが楽しめるカフェ「plant more」
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●わたしと未来のつなぎ方 54
食の嗜好にかかわらず一緒にテーブルを囲める
健康や環境問題の観点から、自分が何を食べるかを意識的に選択している人が増えている。例えば、できるだけオーガニックなものを選ぶ、グルテンフリーを心がける、といった具合だ。また、インバウンド需要が回復してきた影響もあってか、ヴィーガンやベジタリアン対応のメニューを展開するレストランも目につくようになってきた。
今年3月、ルミネ新宿 ルミネ1の6階にオープンした「plant more」は、ヴィーガンフレンドリーなカフェ。植物由来の食材だけで作ったミールプレートや、肉や魚と野菜をバランスよく食べられるメニューなど、多様な食のスタイルに対応している。手がけているのは「WIRED CAFE(ワイアード・カフェ)」などを運営する企画運営会社「カフェ・カンパニー」。運営本部の統括ディレクターの萩田千裕さんは、同店のコンセプトについてこう語る。
「今は食に対して、いろいろな嗜好や考え方をもっている人がいる時代。ヴィーガン、ベジタリアン、ノンベジタリアンといった食のスタイルにかかわらず、みんなが一緒にテーブルを囲める場を用意することで、個々の違いをお互いに尊重しながら受け入れていく世の中になればという願いを込めています」
卵や乳製品アレルギーの人も安心のスイーツ
同社は2020年から、パティシエの岡田春生氏による植物由来の食材だけを使用したスイーツ専門店「hal okada vegan sweets lab(ハル オカダ ヴィーガン スイーツ ラボ)」を運営している。現在plant moreがある場所で同社が以前展開していた「wired bonbon(ワイアードボンボン)」(現在は閉店)もヴィーガンスイーツに特化したカフェで、こちらのメニューも岡田氏が監修していたそう。plant moreのスイーツも同じく岡田氏が手がけたもので、すべて植物由来の食材のみを使用している。
「wired bonbonのヴィーガンスイーツはヘルシー志向の方にも人気で、卵アレルギーや乳製品アレルギーの方のニーズが多く、『本当に助かる』というお声をたくさんいただきました。そういったアレルギーの方も安心してスイーツを楽しめる場をなくしてはいけないと考え、plant moreのスイーツはすべて100パーセント植物由来の食材を使うことにこだわっています」
乳製品の代わりに使用しているのは、豆乳やアーモンドミルク。チョコレートケーキはプラントベースとは思えないほど濃厚で、さっぱりとした味わいの豆乳ホイップクリームやフランボワーズソースとの相性もよく、満足度の高い一品だ。季節限定のケーキや米粉のクッキーなども人気が高い。
特にソフトクリームサンデーはファンが多い。アーモンドミルクの香ばしい風味と滑らかな食感、コクはありながらも軽やかな食べ心地が癖になるおいしさで、「ヴィーガンではないけど、牛乳を使ったソフトクリームよりこちらのほうが好き」という声も寄せられるそう。ヴィーガンスイーツと知らずにケーキやサンデーを食べて、そのおいしさに驚き、プラントベースフードの魅力に開眼する人も少なくない。
食べ応えのある中東風プラントベースフード
もちろん、フードメニューもスイーツに負けない、文句なしのクオリティだ。植物由来の食材のみを使用したミールプレートは、緑豆入りのファラフェルに自家製タヒニソース(中東のゴマソース)を添え、ニンジンのラペやフムス(ひよこ豆のペースト)、ラタトゥーユなどをのせたバランスのいい内容になっている。スパイスがほどよく効いていておいしく、食べ応えも十分。
続いて人気があるのが、アボカドトースト。クルミとレーズン入りの香り高いライ麦パンにフムスとアボカドをのせ、自家製のザタール(中東のミックススパイス)で味と食感にアクセントをつけている。メープルシロップで味変するのも、意外なおいしさで楽しい。新メニューとして誕生してすぐにヒットし、今では上記のミールプレートに次ぐ人気メニューになったというのも頷ける。
今の世の中に求められている場として
カフェ・カンパニーという社名に含まれている「CAFE」という言葉の意味は、いわゆるカフェとは違うのだと萩田さんは言う。
「Community Access For Everyoneの略で、『みんなが集まるコミュニティの場』を意味しています。私たちがさまざまな業態の飲食店を運営しているのは、いろんな人と人とがつながり、共感が育まれていく場所を提供したいという思いがあるからです」
時代によってコミュニティのあり方は変化する。新宿という雑多なエリアに集う多種多様な人たちが一緒においしい食事を楽しめるplant moreは、まさに今の世の中に求められている場といえるだろう。
「ベジタリアンなど自分の食のスタイルが決まっている方に満足していただくのはもちろん、『昨日は仕事で疲れたからお肉をがっつり食べたけど、今夜はヘルシーにプラントベースフードが食べたい』『お肉を食べたいけど、野菜もしっかり食べたい』といったさまざまな嗜好に柔軟に対応できる場所でありたい。そういう意味でも、今後もさらにメニューを増やしていけたらと考えています」
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Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi
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