エアコン代わりにアイス。生きるためにアイスを食すチェコの人々
●PeLuLu×telling,
感動の、アイスクリームとの再会
今年もアイスクリームの季節がやってきた!
長い冬が終わると、チェコの人々はその反動で早くも夏気分。4月末くらいから、カフェはすでにテラス席を解放し、天気の良い日は、Tシャツにショートパンツ、サングラスをかけた人達がくつろいでいる。正直、私にとってはまだ肌寒い日もあるのだが(チェコの気候と気温は北海道に似ている)、みな一度掴んだ初夏の気配を逃すまいと早い者勝ちかのように夏を取り入れる。
日本とチェコ、アイスに対する考え方の違い
私が住んでいるのは、中心部だけなら10分あれば歩いて一周できる小さな街。その範囲に、今ざっと思い出せるだけでも7カ所のアイスクリームスタンドがある。そして、みんなよく買う。日本で例えるなら、自販機やコンビニでペットボトルを買うくらいの気軽さだ。
チェコ人がなぜそんなにアイスクリームを買うのか、私の考察はこうだ。
まず、チェコには、自販機やコンビニは駅などの限られた場所にしかなく、冷たい飲み物を買うのが手間であること。外で喉が渇いたら、選択肢は、スーパーマーケットでペットボトルを買うかカフェに入るか。その点、アイスクリームスタンドはどこにでもある上に、店に入ることなく買えるので手軽な。しかも、美味しいのだから言うことない。
チェコでは冷房を使うのは珍しいこと
さらに、冷房を使うことが一般的ではなく、エアコンを持っている家は珍しいし、店舗でも冷房を使わないところが少なくない。かといって、チェコの夏が暑くないのかといえば全くそんなことはなく、時には35度近くになる日もある。
では、エアコンの無い環境でどうやって夏を生き延びるのか?
冷たいもの(=アイスクリーム)を食べる!
嗜好品としてではない。チェコ人は、生きるためにアイスクリームを食べるのである。たぶん。
毎日のようにアイスクリームが買えるのは値段の安さも理由の一つだ。
スーパーに売っているパック入りも、フードコートのソフトクリームも、ケーキ屋の手作りアイスクリームも、値段に大差は無く100円前後。
幸運なことに、私の家の近くのスイーツショップでは、日替わりで10数種類のフレーバーを揃えている。旬のフルーツや木の実から作ったもの、チーズやヨーグルトを使ったサッパリしたもの、濃厚なチョコレートをたっぷり使ったもの。その日の天気や気分に合わせて、ひと夏の間、毎日でも違う味を選ぶことができる。
老若男女、そこかしこ、アイス・アイス・アイス!
日本との違いを実感するのが、「アイスの食べ歩きをしているのが女子だけではない」こと。おじいちゃんもおばあちゃんも、スーツ姿のサラリーマンも、マッチョなお兄さんも、男子高校生も、アイスを片手に闊歩している。男性が一人でコーンのアイスを持って歩いているのが恥ずかしいなんていう考えはこれっぽっちもないようだ。(だってアイスは水分補給であり熱中症予防だから?!)
5月に入ると一気に日差しが強くなり、本物の初夏になる。夏バテなんてしているヒマは無い。私もチェコ人にならってアイス片手に街を歩こう。
- 文・Noriko Naniwa
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