【FP fumico】災害への備え、お金の面ではどうする?
後回しにせず備えを確認しよう
「災害は忘れたころにやって来る」という言葉がありますが、ここ数年の日本では、忘れる間もないほど毎年のように大きな災害のニュースに接しています。
何か対策をしておきたいと思ってはいるものの、日々の生活で忙しく、後回しになってしまっている方も多いのではないでしょうか。
このコラムを、備えるべきことを確認したり家族と話し合ったりするきっかけにして頂ければと思います。
「地震大国」日本で検討すべき保険は
保険は、「起こる可能性は低いものの、起こった時の影響が大きい」リスクへの備えに適していますから、自然災害への備えとしては大きな効果があります。
火災保険は名前から想像されるイメージとは異なり、補償される内容が幅広い。ただしノートにも書いたように、建物と家財を分けて契約する点には注意が必要です。
建物のみを補償対象として契約してしまうと、家財に損害が生じた場合の買い直し費用をすべてご自身で負担する必要が出てきますから、建物と家財の両方を契約するのがオススメです。ちなみに、賃貸住宅にお住まいであれば建物については家主が保険に加入していますから、家財のみが対象となります。
地震保険についても、大きな地震が起こるたびに話題に上りますが、2022年の世帯加入率はおよそ35.0%(損害保険料率算出機構より)。この数字には各種共済の加入者は含まれていないため、「全世帯の約1/3しか地震等による損害に備えられていない」というわけではありませんが、「地震大国」とも呼ばれる日本では、どこで大きな地震が起こっても不思議ではありません。地震や津波による被害の甚大さを考えると、なるべく多くの方に加入してもらいたいと感じます。
被災時の公的な備えを知っておく
生活の立て直しには、公的な支援の活用も欠かせません。
ノートに書いた以外にも、家族に万一のことがあった場合に受け取れる災害弔慰金の仕組みや、当面の生活資金が必要になった時に貸付を受けられる制度、子どもの就学を支援するため高校・大学等の授業料・入学料が減免される制度など、さまざまな“備え”があります。
ただし、これらは自分から申請しなければ受けられません。被災直後は「誰に何を聞けばいいのかも分からない」という状況だと思いますが、相談は自治体の窓口や税務署、社会福祉協議会など必ず公的な機関にするようにしましょう。
災害が起こると、住宅修理などを装って多額の費用を請求する悪徳商法のニュースを必ずと言っていいほど耳にするように、困っている人の心につけこむ人々が一定数いるのは残念ながら事実です。
能登半島地震の際には、SNSで虚偽の救助要請が多数投稿されたことも問題になりました。誰でも情報発信できる時代だからこそ、誤った情報を拡散してしまうことで被災している現場をこれ以上混乱させることのないよう注意することが必要です。
公的な“備え”は、災害が起こる前に活用できるものも。
お住まいの自治体が公表している災害の被害を予測したハザードマップや、避難場所や公共施設等を示した防災マップなどの情報を確認しておけば、ご自宅周辺の災害リスクや万が一の場合の避難経路等を知ることができます。
預金は分散しておくと安心
資産と負債については以前♯24『作ってみよう! あなたのB/S&P/L』でご説明しましたが、復習しておきましょう。
資産…現預金や国債・投資信託・株などの金融商品、自動車、自宅など「プラスの価値があるモノ」
負債…住宅ローンや奨学金、クレジットカードの利用代金など「将来返す必要があるモノ」
1人暮らしだったり主な稼ぎ手が1人だったりすると、災害により働けなくなった時に家計へのダメージが大きくなりますし、多額の住宅ローンを組んでいる場合、自宅が倒壊して住めなくなったとしても原則としてローンの返済義務は残るため、負担が重くなります。
「家計が常にギリギリの状態」という方は、災害に備える意味でも、できるところから見直しをしてみてくださいね。
大きな災害が起こった時には、国が金融機関に要請することにより、預金通帳や印鑑がなくても預金等の引き出しができることもあります。ただし1つの金融機関での引き出し額が制限されることもありますから、ある程度分散しておいた方が安心です。
自分が住む地域以外で災害が起こった時、力になりたいけれどどうすれば……と感じられたことがある方も多いかと思います。私の場合、まずはふるさと納税制度を利用して被災地に寄付をするようにしています(この場合、基本的に返礼品はありません)。
♯6『ふるさと納税 学んでフル活用!』でお話ししたように、事務手続きを別の自治体が代行するケースも増えていますから、「被災地の手間を増やしてしまうのでは」との心配は不要です。
災害への備えは、まだ起こっていない時だからこそ、落ち着いて準備することができます。「自分だけは大丈夫」と思ってしまわず、できるところから始めておきたいですね。
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