【FP fumico】続・帰省シーズンに考える! 親のお金・介護・家問題は元気なうちから
介護やお金の話、家族とできていますか?
日本人はお金の話をあまりしません。それは家族間であっても同じです。
帰省した時に突然、金融資産や介護の話をすると、いぶかしがられるかもしれません。日ごろから老後の暮らしについて話し合っておくことが理想ですし、きょうだいがいる場合、情報共有しておくことも大事です。
そうはいっても、日々の生活で忙しく、なかなか時間を取れないという方も多いでしょう。昨年末の♯34『帰省シーズンに考える! 私、そして親の“老後”』でもお伝えしたように、このコラムを老後について考え、家族と話すきっかけとして使って頂ければと思います。
届け出印やパスワードはどこに?
急に親が倒れたりすると、必要なお金がどこにあるか分からない、印鑑が見つからなくて手続きできないと慌ててしまうことに。口座を持っている金融機関の一覧を作っておくなど、いざという時に備えておければ安心です。♯7『増やし過ぎ注意! 口座&クレカ』でお伝えしましたが、口座やクレジットカードなどの枚数を絞っておけば日常生活での管理もしやすくなります。
資産運用について、ネット証券での取引が増えてきているとはいえ、親世代は今も対面で取引している方が多いのではないでしょうか。「何度も勧められたから」「親切だったから」といった理由で多額の投資信託をスポット購入していることも。
私の周りでも、高齢の一人暮らしで、家族が知らないうちに何種類もの投資信託を購入し、大きな損失を抱えていた方がおられました。
「預金代わりに保有したい」「大きく増えなくていいから、お金が減る可能性の少ないものを選びたい」と考えているのに毎月分配型や新興国に投資する投資信託を購入しているなど、「考え方」と「実際に選んだ商品」に矛盾がないか確認しておきたいところです。
介護休業期間は「仕組みづくりのため」に
「自分の親は元気だから、介護はまだ先の話!」と思っている方も多いかと思います。ですが、高齢になると病気だけでなく転倒などをきっかけに、急に介護が必要になることも。焦らなくていいように、元気なうちだからこそ、話し合っておきましょう。
地域包括支援センターはあまり知られていませんが、介護認定の申請手続きができるだけでなく、地域の高齢者を支えるためのさまざまな事業を行っています。「困った時の相談先」として覚えておいてくださいね。
介護休業制度について少し補足しておきます。
介護休業は、対象となる家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。パート勤務であっても、要件を満たせば取得できますので、お勤め先に確認を。
休業期間は「介護のため」に使うというよりは、「介護の仕組みづくりのため」に使いましょう。介護認定の手続きや家族での役割分担、ケアマネさんとの話し合い、高齢者向け住居の見学などに活用してください。
介護休業以外にも、1日または時間単位で取得できる介護休暇もあります。
制度を知らないと、仕事と介護の両立ができず介護離職に繋がってしまうことも。こちらもぜひ覚えておいて頂きたいです。
家はどうする? きょうだい間でも確認を
自宅での転倒は意外と多く、高齢になると骨折の可能性も。
物が多かったり段差があったりすると転倒の原因になるので、事前に確認しておきましょう。
リフォームについては、要介護等認定を受けている方であれば、介護保険制度の住宅改修を利用して、手すりの設置や段差の解消ができます。自治体によっては、住宅改修と併用して住宅改造の助成を受けられる場合もありますから、気になる方は地域包括支援センターに相談してみてください。
ここでも、事前にしておくべきは情報収集。どんなところで困りそうか、困った場合はどのように対処するか、そのための費用は…といったところを事前にリサーチしておけば、いざという時に慌てずにすみます。
空き家は総務省の調査によると2018年に全国で約849万戸あり、総住宅数に占める空き家の割合は 13.6%。7軒に1軒が空き家となり、社会問題にもなっています。
管理がされておらず、放置できない状況にあると判断されると、固定資産税等の軽減措置が適用されなくなって税負担が増えてしまうケースもありますから、注意が必要です。
家については、相続時にきょうだい間でもめる原因にもなります。将来誰が住むか、相続した場合どれくらいの税金が発生しそうか事前に確認しておければ安心です。
自分の老後も考える機会に
家族とはいっても既に独立して生計を営んでいる方も多いでしょうから、子どもであるみなさんが管理したり責任を持ったりする必要は、基本的にはありません。
ただ、中には現役時代と変わらない感覚で生活費を使っていたり、貯金をどんどん取り崩していたりする場合もありますから、どのような暮らしをしているのか、家計管理に無理がないか、話しておくのがオススメです。
前回も書きましたが、お金を働かせ続けることも大切です。リタイア後は年金収入のみという方も多い。ご自身が老後を迎えた時、昨今のような物価高が起こっても、自分らしい暮らしを続けられるでしょうか? もし難しそうであれば、どのような準備をしておけばいいのか……。新しい年を迎えるにあたり、ぜひイメージしてみてくださいね。
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