バツイチも婚活の視野に入れるべき? 離婚歴のある相手と結婚するメリット&デメリット
最初からバツ歴を知っての交際スタート
「大失恋した3日後に出会ったのが、今の夫です」
そう語るのは、8年前に結婚して今は2児の母となった、サチさん(仮名/39歳)。
当時、結婚を考えていた彼と破局し、落ち込んでいた時に友人から誘われたホームパーティーに参加。しかし全くテンションが上がらず、一人キッチンでお皿洗いに没頭していたサチさんに「一緒に飲もうよ」と声をかけてくれたのが、のちに結婚相手となるヒトシさん(仮名/52歳)でした。
話し始めると、ヒトシさんは最初から自分はバツイチであるとカミングアウトしてきたのだそう。それが分かった上で会話を重ねていくにつれ、サチさんはヒトシさんが“仕事好きで情熱的な人”だと直感。それはサチさんが何よりも結婚相手に求めることだったのです。
婚活女性の中には、「学歴」や「身長」を条件に入れる人もいますが、サチさんはこれらのスペックを全く気にしないタイプだそうで、実際にヒトシさんは高卒で身長も長身のサチさんと同じ背丈でした。
そしてホームパーティーで出会ったその日にヒトシさんから「結婚しよう」と言われて、その出会いから2週間で交際をスタート。1カ月後には双方の両親に挨拶に行くほど、とんとん拍子に結婚へと話が進んでいきました。サチさんが31歳、ヒトシさんが44歳の時です。
ところが、二人はここで一つの壁にぶち当たることになります。
親は結婚に猛反対!
もともと結婚願望があったサチさんは、喜んでヒトシさんを連れて実家の両親へ挨拶に行きました。
ところが、ヒトシさんが13歳年上のバツイチだと知った母親は、結婚に猛反対!
両家の顔合わせの時になっても、お母さんは泣いて泣いて反対していたのだそう。
しかし、そんな母親の反対も押し切って、二人は出会いから5カ月で入籍。そして翌月には妊娠が発覚しました。孫が生まれると、あんなに猛反対してた母親もやっと結婚を認めるようになったそうです。孫の力は偉大ですね。
そして二人目の子どもも生まれ、あっという間に4人家族となりました。ヒトシさんがまさに思い描いていた家族像が実現したのです。
前妻との離婚理由とは?
ヒトシさんが前妻との結婚生活を送っていた30代の頃は、長年勤めていた会社の子会社の社長に就任したばかりで、とても仕事が忙しく夫婦のすれ違いが多かったのだそう。それに加えて、夫婦ともに「子どもが欲しい」という思いが強くありつつも、なかなか子どもに恵まれなくて離婚に至ったとのことです。
幸いにも、サチさんと結婚してすぐに子宝に恵まれましたが、一度結婚に失敗しているからこそ「再婚したらもう二度と別れたくないし、絶対に幸せな家庭を築きたい」という思いが人一倍強かったヒトシさん。そのために常々「思いやりを忘れない」ということを意識しているそうで、喧嘩してもしっかりと話し合い、最後にはサチさんの意向を受け入れてくれるといいます。
現在は52歳のヒトシさんですが、一回り以上年上というだけあって「一通り遊び終わった感があるから浮気などの心配がない」という安心感や、一人暮らしの経験も長いため「家事や消耗品の買い出しなどが完璧」という、年上バツイチ夫ならではのメリットも多々あるのだそうです。
そして何より、念願だった子どもを2人も授かったこともあり、育児に全力で取り組んでいるといいます。
これまでヒトシさんに離婚歴があることで困ったことは何一つないとのこと。前妻との離婚理由をヒトシさんに聞くと、全て包み隠さずに話してくれるし、前妻を悪く言うことが一切ないことも、信頼につながっているといいます。
かつては自身も婚活にもがいていた経験があるサチさんですが、バツイチ夫との結婚はむしろメリットを感じることの方が多いと言い、「バツイチ子なしの男性はとてもオススメです!」と太鼓判。
婚活に悩んでいる女性にとって、とても希望になる話ですね。
最後に、「子どもを強く希望していたヒトシさんと結婚して、もし子どもができなかったらどうなっていたと思いますか?」と、サチさんに質問してみました。
すると、「もし子どもができなくても、この人となら大丈夫だと思った」との回答が。こうして心から信頼できるパートナーだからこそ、過去よりも未来を見て、ともに人生を進んでいけるのでしょう。
アラフォー女性の場合
新卒で入社したゲーム会社に人生を捧げてきたというアカネさん(仮名/41歳)。
もともと入りたかった業界で仕事ができる喜び、そして一度やると決めたら没頭する性格もあり、30歳を過ぎるまでほとんど恋愛とは無縁の生活でした。そんな中、がむしゃらに仕事をしていた職場で知り合った1歳年下のコウタさん(仮名/40歳)と交際に発展。
5年間の職場恋愛を経て、アカネさんが40歳を迎える誕生日に二人は入籍しました。
コウタさんと付き合うまでは、「仕事人間の自分に結婚は無縁だ」と思ってきたというアカネさん。しかし実際に交際していく中で、コウタさんとはプライベートから仕事のことまで何でも話し合える“生涯のパートナー”だという感覚が芽生え、結婚が少しずつ現実的になっていったと言います。
アカネさんが40歳になる節目で、コウタさん的にはけじめをつけたいという想いがあり、プロポーズしてくれたそうです。婚約指輪をもらい、新婚旅行にも行き、結婚式も挙げました。
ただ一つ、いわゆる“普通”と違ったのは、コウタさんにとっては、2回目の結婚式となったことでした……。
コウタさんは大学卒業後、会社勤めをしながら一人暮らしをしていました。
しかし、慣れない仕事終わりに誰もいない自宅に直帰するのが寂しくて、近所のスナックに寄って一杯飲んで帰るのが日課に。
そのスナックでアルバイトをしていた女子大生のA子さんと恋仲になり、A子さんは仕事帰りにコウタさんの家に泊まるような半同棲生活が半年ほど続いたのです。
すると、思いがけずA子さんが妊娠。当時、二人の恋は燃え上がっており、結婚・出産は時期尚早という思いはありつつも“別れる”という選択肢はなかったようで、子どもを産む決断をして結婚しました。
しかし、大学に通いながらの妊娠・出産は、A子さんにとって過酷なものでした。当初はコウタさんと二人で力を合わせて生活していく気持ちでしたが、実際に育児が始まるとA子さんは実家の両親に頼りきりになり、しだいに週末にしかコウタさんの家に行かない生活に。
そして子どもが1歳になる頃、とうとうA子さんの両親がシビレを切らし「この子はうちで引き取ります」という形で、離婚することになりました。
親権はA子さんが持ち、コウタさんは毎月の養育費5万円で合意。こうしてコウタさんは、離婚した26歳時から現在に至るまで毎月5万円の養育費を支払う生活を続けています。それ以来子どもに会う機会は年に1~2回ほどで、A子さんとは必要以上に連絡を取ることはないそうです。
このようなコウタさんの離婚歴や子どもがいることについて、アカネさんはどう思っているのでしょうか。
「子どもを産む」プレッシャーから解放された
「コウタに子どもがいることで、人生の選択肢を広げてもらっている」。意外にもアカネさんはこう言います。
というのも、アカネさんは結婚をした40歳のタイミングで、職場においても自分がいる部署のチーフプロデューサーの任命を受け、より責任とやりがいのあるポジションに就いたのです。
仕事面では「よし、ここからが本番だ!」と、やる気に満ちていたアカネさん。
しかし、40歳という年齢は、妊娠・出産を考えると時間の猶予がありません。
もちろん「子どもがいる家庭」に憧れる気持ちもゼロではなかった。でも、妊娠できるかが確実に分からない状況で、やっと手にした仕事のキャリアを自ら手放す選択は、アカネさんにはできなかったと言います。
そんな思いで葛藤する時、ふと頭をよぎる「コウタには前妻との間に子どもがいる」ということが、アカネさんにとってポジティブな発想となりました。もし、同じ状況下でコウタさんに子どもが一人もいなかったら「コウタの子どもを産んであげたい」というプレッシャーもあっただろうと。
もちろんアカネさん自身も“子どもが欲しい”とは思いますが、元々は「自分は結婚をしない人生かもしれない」と思っていただけに、コウタさんと縁あって結婚し、既婚者となれたことだけでもありがたいと思うのだそうです。
コウタさんとしても前妻との間に子どもがいるので、アカネさんに対しては「もし子どもを授かったら嬉しいけど、二人で生きていく人生もそれはそれでいいよね」と、子作りに関してはラフなスタンスです。
こうして考えると、結婚した夫が“バツイチ子あり”だったことが、アカネさんにとって「実はありがたい環境」だと言います。実際に、幸せな結婚生活を送りながらも、子作りにはプレッシャーを感じることなく、仕事に邁進できているのですからね。
懸念点を挙げれば、毎月5万円の養育費が出費となっていることでしょうか。でも現状は共働きで経済的に困っているわけではないので、大きな問題にはなっていないそうです。
経験値が生かされる
バツイチ男性と結婚した二人の女性にお話を伺うなかで、共通していたことは「夫に離婚歴があることが、メリットとなることもある」ということです。
「結婚する時よりも、離婚する時の方が大変」とはよく言いますが、一度結婚して苦労したことや反省点が生かされていたり、結婚経験者だからこそ分かったりすることも様々あるのでしょう。
女性の生き方が多様化している昨今。仕事の持ち方やキャリア形成、結婚、出産など、自分が選択しながら進んだ人生の中で、出会うパートナーにもそれぞれ人生の歴史があるわけです。
バツイチ男性との結婚は、必ずしもネガティブなことではありません。
婚活女性が、もし「離婚歴のある男性」を除外しているとしたら、チャンスを逃しているとも言えるでしょう。バツイチという経験も最大に生かし、自分たちらしいパートナーシップを築いていけたらいいですね。