親子関係や“血の繋がり”を考えさせる『星降る夜に』6話 鈴と一星の“ラブっぷり”に胸キュンもとまらない

ドラマ『星降る夜に』(テレ朝系)は、とある理由から大学病院を辞めた産婦人科医・雪宮鈴(吉高由里子)と、ろう者の遺品整理士・柊一星(北村匠海)の、運命的な出会いから始まるラブストーリーです。第6話では、鈴と高校生の北斗桜(吉柳咲良)がともにバスに乗り、桜の生みの親へ会いにいく展開に。
鈴(吉高由里子)に迫る黒い影 『星降る夜に』5話は大切な人との向き合いも教えてくれた

『星降る夜に』の魅力は、胸キュンと社会的テーマのバランスの良さ

鈴(吉高)と一星(北村)の胸キュンシーンと、生死にまつわる価値観や生き方の選択肢など、社会的なテーマのバランスが取れている点が『星降る夜に』の魅力のひとつだとあらためて感じる。

前回5話の終盤、一星にキスをする桜(吉柳)の姿を鈴が目撃してしまう展開を受け、6話はまさに波乱の幕開けかと思われたが……。「もうガキじゃない。一星が好き」と手話で懸命に想いを伝える桜に対し、一星はすぐさま「俺は……」と反応する。

桜はそれをさえぎり、「一星が誰を好きでもいいの。でも私も言いたかった」と伝えた。桜自身、最初から叶わない恋だとわかっていたのだろう。

その後、嫌がらせを受けた鈴を心配する前に嫉妬心をぶつけた件について、鈴に素直に謝った一星。仲直りをした二人は、同棲するために家探しを始める。磯村勇斗がゲストで演じた不動産屋の担当者が、鈴と一星を夫婦と間違うほど、二人の“ラブっぷり”はとまらない。鈴が一星の髪を乾かしながら「一緒にいると楽しい」と伝え合い、お互いの良いと思うところを言葉にして交換し合う二人は、気づいたらもう離れがたい関係になっている。

このまま幸せな二人を見守っていたいと思う反面、一星に対する思いが届かなかった桜には、もう一つの試練が……。

桜が髪色をフォーエバーピンクに染めた理由

一星にフラれてしまった桜は、いきなり髪色を“フォーエバーピンク”に染めた。この色は、鈴が勤めるマロニエ産婦人科の看護師長・犬山鶴子(猫背椿)の息子である“チャーリー”こと正憲(駒木根葵汰)のトレードマークでもある。

桜は、一星の職場である「遺品整理のポラリス」の社長・北斗千明(水野美紀)の娘なのだが、血は繋がっていない。桜には、幼い頃に両親から「捨てられ」、血縁関係にない千明の元で育った背景がある。海外に移住する前に実の娘に一目会いたい、と生みの親から手紙が届いたことを機に、桜は鈴を巻き込んで会いにいくことを決める。

たとえ血が繋がっていなくとも、千明と桜の絆は確固たるものに見える。しかし、千明自身は不安で仕方がないようだ。いざ生みの親に対面したら、自分の元を離れていってしまうのではないかと焦り、泣きながらお酒を煽る。桜が突然髪色をピンクにしたのも、グレる前触れではないかと不安を助長させる要素になってしまった。

家族に血の繋がりは必要なのか。このテーマは、これまでの多くの映画やドラマで描かれてきた。直近では是枝裕和監督、ソン・ガンホ主演の映画『ベイビー・ブローカー』(2022)や、成島出監督、役所広司主演の映画『ファミリア』(2023)が記憶に新しい。

前者は、赤子の人身売買をめぐって複数人の男女が擬似家族のように絆を育む物語で、後者は山奥にひっそりと暮らす陶器職人が、異国の青少年と交流を深める展開があたたかく沁みる。どちらも、人が人を思う心や、相手の立場に配慮した声掛けが時には命を救う事実を、目をそらさず真っ直ぐに描き出した作品である。

血が繋がっていなくても、家族になれると信じたい

千明は不安で不安でたまらなかったようだが、桜ははっきりと「北斗千明だけが、私を捨てなかった」「本当の母親は、北斗千明だと思ってる」と言った。生みの親と対面し、帰ってきた後も「捨てられたのに、不思議と憎しみを感じなかった」「でも、また会いたいって思わなかったよ」と千明に直に伝えている。

千明と高校時代の同級生だった佐々木深夜(ディーン・フジオカ)が「それは桜が、北斗ちゃんに愛されて育ったからだよ」と言ったように、たとえ血の繋がりはなくとも、日頃から行動や言葉で愛情を受け取っていれば、寂しさが増幅することはない。そしてそれが、親子の絆へと移り変わっていく。

「絆」なんて、ある面では使い古された言葉かもしれない。けれど、桜が自分の元に帰ってきたことを泣きながら喜ぶ千明の姿を見ていると、この言葉がピッタリだとも思うのだ。血縁関係ではなくとも、親子になれるし、家族になれる。

一星も、夜空を見上げながら鈴に伝えていた。「星って、生と死の境目にあるような、生と死を繋いでる感じがする」と。分かちがたい繋がりを星にたとえて提示するこのドラマは、デリケートな問題も柔らかく包んで差し出してくれる。私たちが、日常のなかで考えを巡らせやすいように。

終盤、自転車に乗ったチャーリーが桜と話すシーンがある。「停学処分になっちゃうから」と髪色を元に戻した桜に対し、チャーリーが「似合ってたのに〜」と言う何気ない一幕だ。

しかし、桜にとっては、ずっと想いを寄せていた一星にフラれ、生みの親に対面する一大イベントを終えたあと。何のわだかまりもないチャーリーとのやりとりは、桜にとって一息つける時間だったはず。

これまでも、そしてこれからも、千明と桜は紛れもない親子のままだ。ほっこりとあたたかい気持ちのまま、第6話は幕を閉じるように思えた。しかし、最後の最後で鈴の前に、とある人物が姿を現す。またもや鈴の鼻先に、決して逃してくれない過去が突きつけられる。

鈴(吉高由里子)に迫る黒い影 『星降る夜に』5話は大切な人との向き合いも教えてくれた

『星降る夜に』

テレ朝系火曜21時〜
出演:吉高由里子、北村匠海、千葉雄大、水野美紀、光石研、ディーン・フジオカほか
脚本:大石静
音楽:得田真裕
主題歌:由薫『星月夜』
挿入歌:NCT ドヨン『Cry』
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、本郷達也(MMJ)
監督:深川栄洋、山本大輔

ライター。映画、ドラマのレビュー記事を中心に、役者や監督インタビューなども手がける。休日は映画館かお笑いライブ鑑賞に費やす。
福岡県出身。現在は大阪在住のイラストレーター&クリエイター。"変化を起こすトキメキ"をテーマにPOPなイラストを描いています。WEBサイト、ノベルティーグッズ、イベントロゴ、動画などでイラストを提供中。趣味は映画、ドラマ、アニメ、ミュージカルなど鑑賞に偏りがち。
ドラマレビュー